国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測

三鷹での日々の太陽観測状況はtwitter 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト (@naoj_taiyo) でもお知らせしています。あわせてご覧ください。

更新情報 : 2025年1月の太陽活動を公開しました。(2025.2.26)

更新情報 : 日食観測隊のページを更新しました。を公開しました。(2025.2.26)

更新情報 : 2023年4月の皆既日食に関する論文を掲載しました。(2024.11.07)

更新情報: “黒点計数のための汎用黒点自動検出手法の開発” 記事を公開しました。 (2023.1.4)

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最新画像

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黒点望遠鏡 黒点自動検出

白色光 全面像

白色光 全面像

線画

線画(自動スケッチ)

黒点 (群) 情報

黒点 (群) 情報の内容説明 (readme)

今月の太陽:白色光

太陽フレア望遠鏡 連続光・G-Band・CaK線観測, 黒点検出

今月の太陽:連続光/G-Band/CaK線, 黒点検出

連続光(Green) 全>面像

連続光(Green) 全面像

連続光(5300A) 全>面像

G-Band 全面像

CaK線 全面像

CaK線 全面像

黒点検出

連続光 黒点検出

黒点 (群) 情報

太陽フレア望遠鏡 Hα線観測 (一日のトピックになる画像を掲載しています)

サーバーメンテナンスのため、最新画像が更新されません。(2025/3/21~)
Ha fulldisk

Hα線 全面像

Ha050 fulldisk

Hα線±0.5Å 全面像

Ha080 fulldisk

Hα線±0.8Å 全面像

Hα線 リアルタイム画像

今月の太陽:Hα線

Ha+3.5 Cont

Hα線+3.5Å 全面像

Ha050 Doppler

Hα線±0.5Å 速度場像

Ha080 Doppler

Hα線±0.8Å 速度場像

太陽フレア望遠鏡 赤外線偏光観測

今月の太陽:赤外線偏光

He 10830I

He 10830Å 全面像

He 10830V

He 10830Å 円偏光像

Si 10827V

Si 10827Å 円偏光像

Fe 15648V

Fe 15648Å 円偏光像

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2025年2月の太陽活動 バックナンバー

solar cycle

 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2025年の黒点相対数

2月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年2月は天候や気温の急な変化があり春らしい観測条件でしたが、28日中26日観測することができました。平均の黒点相対数は115.85(北半球65.08、南半球50.77)でやや減少傾向にあります。最大が17日の187(g=13,f=57)で小さな黒点群が全面に散在していました。1月末から2月初旬にかけて北半球にはNOAA13976,77,78,81の4つの黒点群が密接して見えていました。表面活動も活発で、最大M7.5フレアが観測されています。 今月新たに出現した活動領域はNOAA13981~14008の27群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
ムービー1.:2025年2月の白色光画像。初旬にβγδ分類の複雑な黒点が北半球に見えた以降は、小さな黒点がまばらに出現している。

フレアの発生状況は、Xクラス1回(↓)、Mクラス49回(↑)、Cクラス245回(↑)で1月から活動度に大きな変化はありませんが、3日少ないことを考慮すると発生回数は増加しました。またCクラス以下のサブフレアの発生は明らかに増加しており、小さく複雑でない黒点群があちらこちらに出現したことが影響していると思われます。

ムービー2.2月4日のHα線全面像の動画。北半球に横たわるおおきなプラージュはNOAA13976,77,78,81が繋がっているもの。各所で燻ったような弱い増光が見られる。Cクラス以下のフレアが断続的に発生し、わずかにMクラスも観測されている。この領域は自転して一周してきたころには勢力が縮小していた。

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トピックス バックナンバー

黒点計数のための汎用黒点自動検出手法の開発

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 黒点や黒点群の数は、太陽活動の指標の中で、太陽の直接観測で得られるものとしては最も長い蓄積があり、長期にわたる太陽活動変動を知る手がかりとなっています。ただ、そのもとになる黒点検出は、今でも人の手によるスケッチが基準となっています。このような主観が入るデータは現在の科学では扱いづらく、また先端的な観測装置により光球からコロナまで多面的にその姿がとらえられる現代の太陽観測を運用する中で、スケッチに労力を投入するのは現実的ではありません。今後は、白色光画像をもとに黒点を自動検出することで黒点計数を継続していくことになると考えられます。

 国立天文台では、旧来のスケッチに代わり、1998年以降CCDカメラで撮影した白色光画像をもとに自動黒点検出を行ってきました。しかし、誤検出や検出漏れも少なくなくありませんでした。そこで今回、スケッチ観測の置き換えが可能となるような、より高精度に黒点を検出でき、かつ装置や画質が異なるデータにも対応できる黒点検出手法の開発を行いました。また、画像1枚だけから黒点を検出すると、シーイングの影響で生じた偽黒点をとらえることがあるため、連続して撮影された複数画像から黒点を検出して信頼性を上げることも可能としていて、眼視によるスケッチ観測での利点である、シーイングによる見え方の変化をとらえて黒点を判別するという方法を、自動検出で再現しています。図1は、実際に太陽フレア望遠鏡で得られた太陽画像像上の黒点を検出した例で、赤が半暗部、緑が暗部を示しています。

 この手法により、2021年の太陽フレア望遠鏡・川口市立科学館・アマチュアの森田作弘さん (いずれも複数画像を連続して撮影) という三様のデータを実際に処理して得られた黒点数と、スケッチ観測であるロカルノSpecola Solare Ticinese (黒点相対数算出の基準観測所) 及び京都大学花山天文台の黒点数の比較を図2に示しました。画像からの黒点検出で眼視観測に匹敵する結果が得られていることがわかります。また、誤って黒点を検出していないか確認したところ、自動検出での誤検出は0ではないが眼視観測と同等の少なさであることが確認されました。フレア望遠鏡のデータからの黒点検出は私たちのウェブページで公開中であり、また本手法は汎用的に使えるので、科学館・アマチュアなどでもスケッチの代替としての黒点検出を行うことができ、長期にわたって観測を持続すれば黒点相対数算出に貢献することができます。

 この研究成果は、Hanaoka, Y. “Automated Sunspot Detection as an Alternative to Visual Observations”として、Solar Physics誌 (2022, 297, 158; doi:10.1007/s11207-022-02089-z) に掲載されました。

Results of sunspot detections for some portions in a continuum image

図1. 太陽フレア望遠鏡で得られた白色光画像 (2014年2月28日) 上で自動検出された黒点。(a)-(c)の領域での検出結果が(d)-(f)で、検出された半暗部を赤で、暗部を緑で示しています。

Comparison between sunspot numbers derived from images with the automated detection and drawings

図2. (a) 2021年の太陽フレア望遠鏡 (SFT)・川口市立科学館 (KSM)・森田作弘さん (SM) の観測での自動検出による黒点数と、Specola Solare Ticinese (SST) 及び京都大学花山天文台 (KO) のスケッチ観測による黒点数との比較。(b) 太陽フレア望遠鏡と各装置の共通の観測日に検出した黒点の数を、太陽フレア望遠鏡の黒点数を1としたときの比で表したものの月平均。

2023年1月4日更新


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