自然科学研究機構
国立天文台 太陽観測科学プロジェクト
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近赤外線偏光分光装置SCIP

近赤外線偏光分光装置SCIPとは

その名の通り、太陽から放射される近赤外線を偏光分光観測する装置です。Sunrise Chromospheric Infrared spectroPolarimeterの一部の文字を取り, SCIP(スキップ)と呼んでいます。近赤外線帯における多数のスペクトル線を偏光分光観測します。
太陽大気中の運動は, 主に磁場によって支配されています。特に彩層は非常にダイナミックです。衝撃波が卓越し、波動が伝播し、さらに磁力線が繋ぎ変わることによるエネルギー解放(磁気リコネクション)現象が至るところに見られます。これらの現象はいずれも磁場が密接に関わっています。そのため、彩層における磁場構造を決定することが重要です。磁場の強度・向きを得るためには, スペクトル線の偏光情報から読み解くことができます。一方、磁場の強度が弱いと、それに伴う偏光信号も小さくなります。波動といった磁場の揺れは数ガウス程度であり、偏光信号としては0.1%程度の大きさしか現れません。SCIPによる精密な偏光分光観測は、この微弱な信号まで捉えられるよう開発した装置であり、0.03%の偏光信号まで捉えることが可能です。

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