トピックス No.3

【お知らせ】

太陽観測所は、長期継続観測とデータベース構築の業績により、平成24年度国立天文台台長賞を受賞しました。受賞式の様子 表彰状 記念プレート

Ca-K

図1:20世紀前半の太陽活動周期変動を表わすカルシウムK線画像(疑似カラー)。通常見えている太陽の表面よりも上空の「彩層」と呼ばれる部分の構造を示しています。太陽活動は約11年周期で盛衰を繰り返していて、活発になると、周囲より高温のため写真で明るく(白く)見えるプラージュと呼ばれる領域が多く現れます。このプラージュは太陽のどこにどのような活動領域があるかを示すとともに、全体的な活動度のよい指標となっています。

図2:観測に使っていたシデロスタット(上図、太陽を追跡して鏡で光を観測室に導く装置)とスペクトロへリオグラフ(下図、スリット分光器と太陽像の走査の組み合わせで非常に狭い波長範囲の画像を記録する装置)が、三鷹キャンパスで稼働していた時の写真(写真提供:天文情報センターアーカイブ室)。

大正時代の太陽の姿がよみがえる
〜約60年分のカルシウムK線太陽写真をデジタル化して公開〜

 国立天文台太陽観測所は、1917年から1974年(大正6年から昭和49年)のおよそ60年にわたって観測された、カルシウムK線(注)太陽全面像の写真乾板・フィルムの記録を、デジタル化する作業を行ってきました。
 太陽活動の長期変動が話題になっている昨今、この約60年分の蓄積データを、多くの方に役立てていただくため、太陽観測所ウェブサイトにて公開することにしました(公開サイトはこちら)。

 国立天文台の前身のひとつである東京天文台は、1917(大正6)年から1974(昭和49)年にわたって、このカルシウムK線での太陽写真を、スペクトロへリオグラフという装置を用いて撮影してきました。
 1917年、当時東京天文台があった東京府東京市麻布区(現在の東京都港区)で観測を始め、1923(大正12)年の関東大震災の後しばらくして東京府北多摩郡三鷹村(現在の東京都三鷹市)へ移転し、観測を続けました。このおよそ60年の間に、通算8500日あまりの写真乾板やフィルムでの観測データが蓄積されています。

 太陽観測所は、この長期にわたる貴重なデータを多くの方に役立てていただくことができるよう、デジタル化して公開しました。私たちの他、インド・アメリカにも20世紀初めからのカルシウム画像データがありますので、これらを合わせると、100年間の太陽活動を詳細に知ることができます。
 400年の歴史のある黒点の観測などから、太陽活動には長期変動があることが知られています。一方、太陽の近代的な磁場観測は始まってまだ日が浅いため、カルシウム画像により太陽の磁気活動の様子を100年前までさかのぼって知ることは、その変動の地球への影響を研究する上でもたいへん重要です。

注:
太陽光スペクトルの紫色の波長帯には、カルシウムK線という吸収線(393.3ナノメートル)があり、この波長の光で撮影した太陽像は、太陽の磁気活動の様子や地球への紫外線の放射量をよく表すものとして知られています。

図3:太陽観測所で保管している、カルシウムK線太陽像が写った写真乾板。

2011年11月15日更新