過去の太陽活動 : 2010年、
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2024年
2023年12月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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12月は天候に恵まれ、黒点観測を28日間実施できました。黒点相対数の月平均値は103.79(北半球54.20、南半球49.50)となり、 先月の97.10より若干上昇していますが、今年6月の129.33と比べると少ない値です。
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2023年10月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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10月は秋晴れで観測条件の良い日が多く、観測実施日は25日ありました。
月の後半は黒点数が少なく、太陽活動は静穏でした。黒点相対数は月平均79.60と今年で最も低い値となっています。
太陽正面が穏やかだった一方で、側面や極付近ではプロミネンス噴出やコロナ質量放出(CME)が良く見られ。リムのすぐ向こう側で発生してリム上に現れたフレアもたびたび観測されています。
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2023年9月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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1か月を通して太陽活動は活発でした。最大M8.7クラスの中規模フレアを含む、32回のフレアを観測しています。大きく目立つ黒点が少ない一方、小さな黒点が密集した黒点群が多く見られたのが特徴です。 その影響もあり黒点相対数の月平均は120.83、最も黒点の多かった9月24日は196.00を記録し、今年最高値となっています。
図1は9月24日に太陽フレア望遠鏡が撮影した太陽全面像です。連続光、G-Band,CaK線の観測からも全面に活動領域が点在していることが分かり、中でも丸で囲った活動領域NOAA13442,13445は、28個もの微小な黒点が見えています。
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2023年8月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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8月は先月と比べ、雲の出ている時間が増え、ゲリラ豪雨に見舞われる日も多くありました。そのなかでも29日観測することができました。 8月の黒点相対数の平均値は104.24でした。上旬から中旬にかけては黒点の多い状況が続いていましたが、下旬は少なくなり、7月と比べると若干減少しています。また北半球に比べて南半球が少ないのも特徴です。 今回は8月4日4時UT頃にとらえた、興味深いダークフィラメントの不安定化を紹介します。
ダークフィラメント(以下、フィラメント)は高温(約100万度)のコロナ大気中に持ち上げられた低温(約5千~1万度)のプラズマガスで、磁力線によって支えられています。
磁場の強度や分布によってフィラメントの形状も変わりますが、多くの場合は数日から数週間程度、安定した形状を保つことが知られています。
NASAのSDO衛星に搭載されたAIA装置による紫外線観測( ムービー1)では、フィラメントの北端に位置するNOAA13386の発光に伴い、フィラメントが切れて乱れていく様子が分かります。(AIA装置による画像は、NASA/SDO及びAIA科学チームの厚意により掲載しています。)
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2023年7月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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7月は例年以上の猛暑に苦しめられつつも、観測条件としては安定した快晴の日が多く。26日の観測ができました。 黒点相対数は129.33(北65.54、南64.79)と先月をわずかに上回り、Mクラス以上の太陽フレアの発生回数も54回と増加傾向にあります。 フレアは、太陽活動が活発になるにつれて回数も規模も増大していきます。2019年から始まった現在の第25周期も、2025年ごろが極大期になると予想されており、日に日に活発になっていく様子が、三鷹フレア望遠鏡の観測からも分かります。7月2日22:54UT(3日7:54JST)、活動領域NOAA13354で、X1.1クラスの大規模フレアが発生しました。 ムービー1はフレアの瞬間を極端紫外線でとらえたもので、活動領域上空に浮かぶ磁力線が非常に明るく光っている様子が見られます。図1はフレア望遠鏡で撮影したHα線画像です。 この活動領域は、黒点群発生からフレア発生まで急速に発達したことも注目すべき点です。図2は6月26日~7月2日の間に、フレア望遠鏡で観測ができた連続光画像を並べたものです。26日に微小な黒点が現れ、27日に活動領域としてナンバリング、28日にはすでに東西の広がりが地球約11個分になりました。7月2日までにCクラスのフレアも9回発生しています。 黒点は光球に現れた磁力線の断面であり、磁場の大きさや複雑さを示しているため、黒点の形状変化やその経緯を調べることは、フレアの発生時期や規模を予測するための重要な指標となっています。
発達した黒点群の形状を分類する方法にマウント・ウィルソン(Mount Wilson)分類というものがあります。
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2023年6月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。三鷹地上観測の結果では、第24周期は2014年2月にピークを迎え、極大値は111.30でした。2023年6月の黒点相対数の月平均は129.23で今年最高を更新し、第24周期を大きく上回るペースで増加傾向にあります。
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6月は関東が梅雨入りしたことが大きく影響し、観測実施日は18日でした。 Mクラス以上のフレアは26回と先月よりは少ないですが、6月20日16:42UTには活動領域NOAA13341でX1.1フレアが発生し、その前後数日でMクラスフレアが太陽のあちこちで見られました。 今回はプロミネンスやフィラメントの特徴的な動きがあったため、そちらを紹介します。
図1は三鷹フレア望遠鏡が撮影した6月7日のHα線全面像です。まず注目していただきたいのが東の縁(左側)にある大きなプロミネンスです。プロミネンスは、太陽コロナ中に浮かんだ低温のガスの塊で、数日~数週間は形を保つ比較的安定した構造です。太陽の正面にある場合は、太陽面と比べて暗く、黒い筋状に見えるため、ダークフィラメントと呼ばれます。北半球の極付近を見ると、東西方向に横たわる太いフィラメントが見てとれます。これは、ポーラー・クラウン・フィラメントと呼ばれています(図1 Polar Crown Filament)。
フィラメントは太陽表面の磁場分布の正極と負極の境目の上空に発達するという特徴があります。黒点を伴うような活動領域は東西に極性を持つため、活動領域付近のダークフィラメントは南北方向の成分を持ち、複雑な磁場の影響で蛇行しやすくなります(図1 Quiescent Filament)。一方で、極付近に見られるポーラー・クラウン・フィラメントは東西方向に横たわるように発達するのが特徴です。太陽表面には、赤道から極方向へのゆっくりとした流れがあり、活動領域の磁極は極方向に移動していくことが分かっています。ポーラー・クラウン・フィラメントは、集まってきた活動領域の磁極と、極の磁極の境目に発達すると考えられています。 |
2023年5月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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2023年5月の太陽活動は先月に増して活発で、観測されたMクラス以上のフレアは55回(前月比+35)でした。
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2023年4月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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2023年4月も比較的活発な太陽活動が続きました。特に注目されるのは、現太陽活動周期で最大となる磁気嵐を引き起こしたコロナ質量放出が発生したことです。コロナ質量放出は日本の夜に起こりましたので私たちの観測はありませんが、噴出を起こした活動領域を紹介します。この領域はNOAA13283で、4月15日ごろ東リムから見え始め、4月26日ごろに西に沈んでいきました。図1に、太陽フレア望遠鏡でとらえたこの領域の様子を示しています。この領域に属する黒点は、上の白色光像に矢印で示したものだけで、まわりの黒点は別の領域のものですから、小さい黒点だけを持つ小規模群のように見えます。しかし、下のHα線像では、大きなフィラメントを従えているのが分かります。図1でもフィラメント周辺が光っているのが見えているように、このフィラメントは活発な活動を示していました。図2 (ムービー)は、4月20日のこのフィラメントの様子です。上にHα画像、下に同じHαでの視線速度場図を示しています。速度場図では、赤と青で向こうへ去っていく動き(赤方偏移)とこちらへ向かってくる動き(青方偏移)を示しています。Hα画像でも速度場図でも、フィラメントでは1日中ずっとプラズマの流れが見えており、ムービーに見える他のフィラメントと異なり顕著なプラズマの運動があることが分かります。なお、この4月20日には、オーストラリアやインドネシアで見られる金環皆既日食が起こり、日本の一部での部分食が見られましたが、三鷹は範囲外でした。この4月20日には大きな噴出は無かったのですが、その後4月21日18:12UTにM1.7フレアが起こり、このときに、このフィラメントの一部の噴出を含むコロナ質量放出が発生しました。放出されたコロナプラズマは4月23日には地球に到達し、地球磁気圏のやや大きな変動を引き起こしました。地磁気の変化は、Dst指数(地磁気変化量を示す指数のひとつ)で-187nT(ナノテスラ)に達し、現太陽活動周期で最大を記録しました。フレアはM1.7と特に大きなものではなかったのに磁気嵐としては規模が大きくなったのは、フレアが太陽の中央やや西という、放出されたプラズマがちょうど地球へ向かって来やすい位置で起こったことなどの他、フィラメント周辺の磁場構造にも原因があります。図3に、4月21日のフィラメントとその周辺の磁場の様子、SDO衛星AIA装置でとらえられた紫外線でのフレアループの様子を示しています。緑の四角がフレアの中心部分です。Hα+磁場の図では、白と黒がそれぞれ太陽表面上のN極・S極の分布を示しており、両極の間に細いHαフィラメントが見えています。右の模式図に示したようなN極からS極へ向かう磁力線に沿うループが紫外線像で見えています。右図のように地球の北の方向はやや傾いているため、おおむね地球の南方向を向いている磁力線がフレアにより惑星間空間へ放出されたと考えられます。 地球の磁場は、南極から北極へ向かう北向きであるため、地球に向かって飛んできたコロナプラズマが南向きの磁場を持っていると、容易に磁気再結合を起こして地磁気の乱れを発生することになります。今回の磁気嵐はまさにこのような条件で発生しました。太陽表面のフィラメントや磁場の観測は、磁気嵐という地球での現象がどのように起こるか、の情報ともなるものなのです。
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2023年3月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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2023年3月も活発な太陽活動が続き、2月に続いてXクラスフレアが発生しました。ひとつは2月に既に現れていたNOAA13234で3月4日に発生したX2.1フレアです。この領域はフレアの後すぐに西の縁に沈んでしまったのですが、その後も衰えなかったようで、3月13日にはおそらくこの領域起源と思われる大規模コロナ質量放出が、太陽の向こう側で発生したことが確認されています。その後この領域は、3月19日に東の縁から現れたNOAA13260として、黒点は小さくなってはいましたが、回帰しました。もうひとつは3月29日にNOAA13256にて発生したX1.2フレアで、こちらは太陽フレア望遠鏡でとらえることができました。図1に、NOAA13234の、2月に大きな黒点を有した姿、3月4日のXクラスフレア直前の姿とともに、3月20日のNOAA13260の画像を示しました。図1で同じ3月20日に南半球で大きな黒点を見せているのがNOAA13256で、西のリム近くに移動した3月29日に発生したX1.2フレアのHα線像も載せています。3月には興味深いプロミネンス噴出の様子がとらえられましたので、紹介します。図2 (ムービー)は、3月12日に東のリムで起きたフィラメント噴出を、雲が多い中、太陽フレア望遠鏡がHα線でとらえたものです。太陽フレア望遠鏡ではHαのドップラー速度をとらえる観測も行っています。図3に、プロミネンス噴出のHα像とドップラー速度画像を示しました。図を見ると、噴出の間ずっと、もともとプロミネンスの下側(太陽面に近い側)だったほうが私たちから遠ざかっていき(赤方偏移)、上側がこちらに近づいている(青方偏移)ことがわかります。プロミネンスはもともとらせん状の磁場に支えられていると考えられるのですが、図4に示すように、プロミネンスの片方の端が地面から離れて上昇し始めると、らせんがほどける方向に磁力線が回転します。これにつれてプロミネンスの物質も回転しますので、図3のような赤方偏移・青方偏移が隣り合った姿は、プロミネンスが回転しながら噴出している様子を示しているわけです。
プロミネンス噴出は、NASAのSDO衛星のAIA装置による紫外線観測でも見事にとらえられていますが、これだけだとプロミネンス物質が近づいているのか遠ざかっているのか知るのは困難です。地上のHα観測は、プロミネンス噴出での3次元的な運動をとらえる重要な手段になっています。
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2023年2月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
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2023年2月は引き続き太陽活動が活発で、X2.2という大きなフレア(2022年4月20日のものと並んで今周期ではこれまでで最大)をはじめとする顕著なフレア活動も見られました。ここでは、このX2.2フレアを起こした活動領域NOAA13229を紹介します。図1に、この領域が太陽面上を進んでいく様子を、連続光とHαで示します。この領域は太陽面のこちら側に現れる前から活発で、2月16日にはM1.1フレアを起こしました。太陽フレア望遠鏡でとらえたこのフレアのHα線で見た姿を図2 (ムービー)に示します。活動領域はリムの向こう側にあるのですが、フレアに伴ってHαの明るいループ構造が膨張していく様子が見えています。その後この領域は、2月17・24・25日(いずれも世界時)ににそれぞれX2.2、M3.7、M6.3の大きなフレアを起こします。残念ながらすべて私たちの観測時間前に発生したため、図3に、GOES衛星が観測したX線強度変動と、SDO衛星AIA装置が観測したフレアの様子を示しました。図1の連続光画像と比べると、X2.2フレアを起こした後しばらくは発達した黒点が見られるものの、その後黒点が衰えていく中でM3.7、M6.3フレアが発生したことが分かります。 一方、図1のHα画像で見ると、活動領域を貫くように横たわるフィラメントが継続して見えています。図3でわかるように、X2.2・M3.7・M6.3はいずれも長くX線強度が尾を引く長時間フレアです。このようなフレアは、フィラメントを含むコロナプラズマが大規模に惑星間空間に噴出することで起こります。NOAA13229では、黒点が縮小しながらも活発なフィラメント形成が続き、Mクラスフレアを起こしたと考えられます。M6.3フレアは磁気嵐も起こしており、地球に影響する太陽フレアが小さな黒点群でも起こることがわかります。このことは、太陽フレアの発生と影響を予測するには、黒点ばかりではなく、彩層・フィラメントの観測が重要であることを示しています。
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2023年1月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年5月以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年5月に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。太陽活動第23周期から第24周期にかけての極小 (2008年12月) は、極小になった時の黒点相対数の値が小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、太陽活動第23周期は平均よりも長く1996年5月から12年以上継続したサイクルになりました。太陽活動第24周期は、2008年12月から2019年12月までの11年間継続し、継続期間は平均的な長さでした。一方で活動度は低調で、三鷹での1929年以降の観測では黒点相対数の極大が最も小さく、世界中の観測を集計したSILSOの記録でも108年ぶりに低い極大となった周期でした。2019年12月の極小値も前回を下回り、三鷹での観測では黒点相対数が過去最低となっています。南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。 太陽全体での黒点相対数は、2020年1月から増加しており、現在の太陽活動サイクルは第25周期です。
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2023年1月は、黒点観測を26日間実施できました (白色光画像の1月のデータベースカレンダー)。NOAA (※1) が認定した活動領域は、前年12月に見られたNOAA 13172・13173・13175~13177・13179・13180の7群が引き続きあり、NOAA 13181~13207の27群が新たに出現しました。黒点相対数の月平均値は、太陽全面と南北両半球で前月よりも増加し108.08 (北半球 62.81、南半球 45.27) となりました。2カ月連続で全面の月平均値が100を超え、太陽活動の順調な上昇がうかがえます。フレアの発生も活発でした。GOES (※2) 衛星のX線観測では、X線強度Bクラス以上のフレアが279回確認されました。Mクラスフレア発生は41回で前の月と同水準だった一方、Xクラスフレアは3回発生しました。Xクラスフレアの日時・規模と発生領域は、1月6日0:57 UT (9:57 JST) のX1.2 (NOAA 13182)、9日18:50 UT (10日3:50 JST) のX1.9 (NOAA 13184)、10日22:47 UT (11日7:47 JST) のX1.0 (NOAA 13186) となっています。1月6日のX1.2フレアは、日本での日中の時間帯に発生し、三鷹の太陽フレア望遠鏡と野辺山の強度偏波計で同時観測できました。まず、太陽フレア望遠鏡での観測結果を紹介します。図1で見られるように、X1.2フレアを起こした活動領域NOAA 13182は連続光では大きめの黒点群が確認でき、カルシウムK線の画像では黒点群を取り囲んで明るく見える領域 (プラージュ) がよくわかります。Hα線画像と見比べると、フレアの主要な発光はプラージュの南側の端近くで起こっています。ムービーでは、太陽表面から炎が噴き出るように発光している様子が目を引きます。現周期に入って初めて三鷹で観測できたXクラスフレアです。
次に、野辺山強度偏波計での観測結果を紹介します。この観測装置は、太陽から放射される電波をモニタリングしていて、今回X1.2フレアに伴う電波バースト (電波強度の一時的な増加) をとらえました。図2に4つの周波数でのグラフを示します。観測された電波は、主として太陽フレアで発生した高エネルギー電子から放出されたものです。35 GHz・3.75 GHzといった高周波側がピークとなった00:56 UT頃にはHα線でも最も明るい輝点が出現しており、電波の源であるフレアのエネルギー解放の現場の様子がうかがえます。一方、低周波側の1 GHzの電波とX線強度は遅れて0:57 UT頃にピークになり、さらにその後1:00 UT付近にHαでのフレア領域全体の明るさが最大になっています。これらは高エネルギー電子により生成された高温プラズマのふるまいを示すものです。このような電波・Hα線・X線の時間変化の違いは、フレアで解放されたエネルギーの変換過程を反映しています。
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