
黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。
前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。
現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。黒点相対数の減少の停滞期間は南北両半球のグラフ線で見られますが、北半球 (青線) のそれは顕著で2013年の初め頃から2016年末まで継続しました。南半球 (赤線) では、2017年の初め頃から2018年の初め頃まで減少の停滞が見られます。
現在も黒点相対数の減少は続いており、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ定まっていません。
→ 2019年の黒点相対数
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4月の月別平均黒点相対数は9.58となり、先月よりも黒点の数は多くなりました。南北半球別で見ると北半球の月平均黒点相対数は9.58、南半球では0.00で、4月に出現した黒点はすべて北半球のものでした (白色光画像の4月のデータベースカレンダー)。
4月に出現した活動領域はNOAA (※) 12737, 12738と12739の3群で、すべて現在の太陽活動第24周期に属する活動領域でした。その中でもNOAA 12738 (図1) は特に活発でした。この領域は4月9日に東リムに現れ4月19日に西のリムに消えるまで多くのBクラスフレアを起こしました。この領域で特に目立ったフレアは4月20日 0:50 UT (日本時間9:50) に西のリムで起きたB8.1で、このフレアにともなってサージ (Surge) と呼ばれる太陽物質の噴出現象 (図2) が何度も発生しました。その様子が太陽フレア望遠鏡で観測できました(ムービー)。
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※ NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)
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図1. 太陽面を移動するNOAA 12738の様子。
図2. 2019年4月20日に太陽の縁で観測されたフレアとサージが起こった場所を破線のボックスで表している。
ムービー. 太陽の縁で発生したフレアにともなって起きたサージの様子 (図をクリックするとムービーが再生されます。別の画面で見たい場合は「新しいタブでムービーを見る」)。
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