過去の太陽活動 : 2010年、
2011年、
2012年、
2013年、
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2015年、
2016年、
2017年、
2018年、
2019年、
2020年、
2021年、
2022年、
2023年
2019年12月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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12月は、三鷹の黒点観測日数18日間に対し17日が無黒点日でした (白色光画像の12月のデータベースカレンダー)。月平均黒点相対数で見ると三鷹の観測では、全球で0.61、北半球が 0.00、南半球が 0.61 でした。フレアの発生数で見ても12月は非常に低調で、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)によるクラス分けにてBクラス以上のフレアが1例も発生しませんでした。太陽の磁気活動は、引き続き2017年の終わりから続く極小期の水準を維持しています。この様に低調な太陽の磁気活動ですが、11月に引き続き次の太陽活動周期 (第25太陽活動周期) の立ち上がりを示唆する黒点群が2つ (NOAA ARs 12753 & 12754) 観測されました (図1、図2、図3)。このうちNOAA AR 12753は、第25太陽活動周期の特徴を示すものとしては初めて1日程度を超えて存続した双極型の黒点群でした(図1、図2)。
一般に1つの太陽活動周期内での黒点群の出現緯度を見ると、活動周期の始まりでは比較的高緯度 (30度程度) に現れ、活動周期の終わりでは低緯度 (赤道付近) に現れる傾向があります [蝶形図へのリンク]。また各黒点群内での東西の磁極の並び順を見ると、北半球、南半球それぞれで周期ごとにほぼ決まった磁極の並びを示します (図4)。12月に出現した2つの黒点群 (NOAA ARs 12753 & 12754) は、第24太陽活動周期ではなく第25周期の特徴を示しています。この様な黒点はこの2年ほどで何度か現れているのですが、どれも1日程度以下の寿命を持つ短命で微小なものでした。今回のNOAA AR 12753のようにはっきりと数日間にわたり存続したのは初めてです。いよいよ第25太陽活動周期の特徴を持つ黒点群が安定して出始めているのかもしれません。
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2019年11月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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11月は新黒点望遠鏡による黒点観測を21日間実施できましたが、自動検出システムで捕捉できる黒点が出現したのはただ1日 (11月5日) だけでした (白色光画像の11月のデータベースカレンダー)。NASAの太陽観測衛星Solar Dynamics Observatoryの観測では、この黒点は世界時で4日の6時頃から5日の10時頃 (日本標準時 4日15時頃から5日19時頃) まで北半球の緯度6度に見えていましたが、NOAA (※1) の活動領域番号は付きませんでした。黒点相対数の月平均値は0.52で、南北別に見ると北半球 0.52、南半球 0.00となりました。黒点観測の中央局であるSILSO (※2) が発表している欠測のないデータでは、11月に黒点が見られたのは4日間で、この月に出現した活動領域はNOAA 12750 (南緯28度), 12751 (北緯6度), 12752 (南緯23度) の3つです。ここで注目したいのはNOAA 12750と12752で、これらは南半球の緯度20°以上に出現して次周期の磁場配列を見せる活動領域でした。NOAA 12750とNOAA 12752は、太陽フレア望遠鏡でもとらえられています。図1は1日に撮影されたNOAA 12750、図2は14日に撮影されたNOAA 12752の連続光画像と赤外線偏光 (磁場分布) 画像を並べて見せています。赤外線偏光画像では、どちらの活動領域にも西 (W) から黒-白 (S極-N極) の並びの磁場ペアが見られますが、これは南半球では第25周期の磁場配列です。図1では、連続光の拡大画像中の白い矢印で指示したところにNOAA 12750の小さな黒点が写っていますが、自動検出の基準に満たない大きさでした。図2の連続光拡大画像では、NOAA 12752の場所には淡い白斑 (はくはん。周囲よりも明るい領域) が見えています。
第25周期の磁場特性を持ち活動領域番号が付けられた黒点は、7月に出現したNOAA 12744に続いて3つとなり、このような活動領域が1カ月のうちに2つ出現したのは2018年4月以降では初めてのことです。次周期に属する黒点が最初に出現してから1年以上が経過しましたが、そろそろ第25周期の活動の上昇が見られるかが注目されます。
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2019年10月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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10月は15日間観測を行いましたが、自動検出にかかる大きさの黒点は現れず黒点相対数の月平均値は0.00となりました (白色光画像の10月のデータベースカレンダー)。三鷹での観測では黒点相対数がゼロとなりましたが、世界中の観測を集計しているSILSO (※1) のデータでは1日と2日に黒点が記録されていて、これにはNOAA (※2) が活動領域番号12749をつけています。図1は太陽フレア望遠鏡の連続光撮像装置がとらえた1日と2日の太陽面の様子で、一見無黒点に見えますが、白い枠内を拡大すると黒点があるとわかります。NOAA 12749は、黒点自動検出の判定基準に満たないほど小さくかすかな黒点でした。出現緯度は南緯7度で、緯度が低いことと磁場配置から現在の太陽活動第24周期に属する黒点と見られます。
10月の太陽は非常におとなしく目立った構造はあまり見られませんでしたが、太陽フレア望遠鏡では10月13日に東リムに出現したプロミネンスの形が変わっていく様子を捉えました。ムービーを見ると、Hα線観測では1:55 UTの時点で南側にループ構造があり、北側には独立したプロミネンスがあるように見えます。しかし、2:55 UTにはうっすらと北側のプロミネンスとループの片足がつながり、先ほどとは違う場所にループが形成されています。最終的には元のループの南側の足はHα線では見えなくなりました。ムービー の右パネルから、プロミネンスの変化は極端紫外線 (AIA 304 Å) 観測でも見られたことがわかります。Hα線画像から動きが見られたプロミネンスの部分を切り出して (図2の上パネル) 時間順に並べることでその時間変化を解析しました。(図2の下パネル)から、プロミネンス中の明るい部分は約15 km/sで南から北に向かって移動していることが読み取れ、一見静穏に見えるプロミネンスにも激しい物質の流れがあることがわかります。
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2019年9月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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9月の三鷹の黒点観測日数は30日中23日間ありましたが、このうちの20日間を無黒点日が占めました (白色光画像の9月のデータベースカレンダー)。月平均黒点相対数で見ると、全球で1.52、北半球が 1.52、南半球が 0.00 でした。三鷹で9月観測された黒点群は1日から2日にかけての1群と、23日に日本時間の昼間、短い時間出現した1群の計2群のみで、どちらも比較的低緯度に現れた第24活動周期に属するものでした。フレアの発生数で見ても9月は非常に低調で、米国 NOAA GOES 衛星 (※1, ※2) によるクラス分けにて、Bクラス以上のフレアが1例も発生しませんでした。今年5月前半に太陽極小期としては珍しく活発なフレアの活動を見せた後は、9月末まで4ヶ月以上にわたり、Cクラス以上のフレアが発生しておりません。太陽の磁気活動は、引き続き2017年の終わりから続く極小期の水準を維持しています。
その中でも、プロミネンスでは興味深い現象が見られました。図1およびムービー1は、国立天文台三鷹太陽フレア望遠鏡Hα撮像装置が9月19日から翌20日にかけて観測した太陽の南東のリム上空のプロミネンスと、その足元に度々現れ、膨張、上昇するバブル様の希薄に見える領域の様子です。膨張するバブル様の領域の頂上付近の一部が突き出し、プロミネンスの濃いガスの中をさらに上昇していく様子も見て取れます (プルーム)。これらの希薄に見える領域は、他の波長で見ると、温度が周りのプロミネンスガスよりも非常に高いことが分かっています。これを含め9月に見られた様々なプロミネンスの姿を、ムービー2 (ロングバージョン) で紹介しています。
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2019年8月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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8月は新黒点望遠鏡による黒点観測を24日間実施できましたが、このうちで黒点が見られたのはただ1日だけでした (白色光画像の8月のデータベースカレンダー)。黒点相対数の月平均値は0.46で、南北別に見ると北半球 0.46、南半球 0.00となりました。三鷹での観測では、3月以降は南半球の黒点相対数がゼロの状態が続いています。黒点観測の中央局であるSILSOが発表している欠測のないデータでも、8月は5日と7日の2日間で黒点がとらえられただけでした。太陽フレアは、米国NOAA (※1) のGOES (※2) 衛星がX線での観測を行っていますが、X線ピーク強度による評価で最小クラスのB1.0まで範囲を広げても発生数はゼロでした。このように黒点が少なくフレアも発生しない時期は太陽の平均11年周期活動の極小期に当たりますが、この時の太陽の極域では次の活動周期に向けた動きが見られます。図1は、太陽フレア望遠鏡が撮影した2019年8月25日の太陽の赤外線偏光画像で、太陽全面の磁場分布を見せています。極小期で黒点が見えなくても太陽には磁場があり、現在は北極域に正極 (N極)、南極域に負極 (S極) の斑点状磁場が集中しています。この時の太陽の磁場は、図2で説明されているように、棒磁石が描き出す磁力線に似た構造 (双極磁場) を見せます 。図3では、三鷹での黒点相対数と米国のWilcox Solar Observatoryで1976年以降観測が継続されている南北両極域磁場のデータを並べて見せています。太陽の極域磁場は、黒点が多い太陽活動の極大期 (黄色の網掛け部分) には弱くなって向きが反転し、極小期 (青色の網掛け部分) あたりで強くなって双極磁場を形成します。2019年現在の太陽の極域磁場は、ひとつ前の極小期 (2009年の初め頃) のそれとは極性が逆ですが 、磁場の強さ (磁束密度) は前回とほぼ同じかそれよりもわずかに大きくなっています。
1976年以降の太陽活動周期4周期分の観測から、極小期における極域磁場の強さ (磁束密度) と次に来る極大期における太陽活動度 (黒点相対数) の相関関係を示唆する結果が得られています。現在では、極小期における極域磁場は次の太陽周期の活動度を示す鍵と考えられており、極域磁場の観測と太陽磁場生成の理論をもとに今後の太陽活動を予測する研究が進められています。
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2019年7月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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国立天文台新黒点望遠鏡の観測では、梅雨による悪天候のために11日分のデータによる結果ですが、7月の月別平均黒点相対数は0.0となり、1か月を通して黒点の出現しない月は2月以来ということになりました (白色光画像の7月のデータベースカレンダー)。世界中の観測を集計しているSILSO (Sunspot Index and Longterm Solar Observations) のデータでも、7月は3日間黒点がとらえられただけで太陽活動は非常に低調でした。図1に象徴的な日 (7月17日) の太陽フレア望遠鏡での観測を示します。左の緑色の太陽は連続光 (グリーン) で光球を、右はHα線中心波長で彩層を撮像したものです。どちらもはっきりとした構造は確認されません。このほかの日もフィラメントやプロミネンスが現れた日もありました (例えば7月29日) が、天気が安定せず1日を通しての構造の変化は確認できませんでした。7月にNOAAによって番号が付けられた領域はNOAA 12744 (南緯27度) と12745 (北緯2度) の2つだけでどちらも小さな活動領域でした。注目すべきはNOAA 12744で、南半球で番号が付けられる領域が出現したのは2018年12月のNOAA 12729以来であり、実に7か月ぶりです。さらにSDO/HMIの磁場観測によると、この活動領域の磁場極性の配置が次の太陽周期のものになっていることがわかりました。残念ながらこの領域も太陽フレア望遠鏡では観測されませんでした。太陽活動が非常に低くなっている中で、第25周期に属するとみられる黒点が出現し活動領域番号が付けられたことは、次週期の活動の上昇が近いことを示しているかもしれません。
7月の初めには、南米のチリ共和国とアルゼンチン共和国で皆既日食 (2019年南米皆既日食) が見られました。弊プロジェクトの日食観測チームがチリ共和国のセロ・トロロ汎米天文台に遠征し、7月3日 (日本時間) に皆既日食の観測に成功しました。図2は、チームメンバーの1人がスマートフォンで撮影した皆既日食中の北西方向の風景です。中心が黒く抜けた白いリング状に見えるのが太陽のコロナで、夕焼け上空の暗い空は太陽を背にした月が地球に投げかけた影 (本影錐) です。
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2019年6月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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6月の三鷹の黒点観測日数は13日間にとどまりましたが、このうち無黒点日は11日、月平均黒点相対数は、全球で1.69、北半球が1.69、南半球が0.00 でした (白色光画像の6月のデータベースカレンダー)。三鷹では、5月19日から36日間に渡り連続して、観測日には無黒点でした。三鷹で6月に観測された黒点群は、全て第24太陽活動周期に属する短命なものでした。これらの傾向はSILSO (Sunspot Index and Longterm Solar Observations) の全世界集計を用いて観測欠損日なく見てもほぼ同じでした。フレアの発生数で見ても6月は低調で、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)によるクラス分けにてCクラス以上のフレアは発生せず、Bクラスまで下げてもB2.2のフレアが1例起きたのみでした。5月前半には、太陽極小期としては珍しく活発なフレアの活動を見せましたが、その後すっかり静かになってしまった様です。太陽の磁気活動は、引き続き2017年の終わりから続く極小期の水準を維持しています。
この様に静かな太陽が続くと、その前に太陽表面に現れた活動領域が時間と共に崩壊していく様子がよく見えます。この様な例として、5月に特に活発であった二つの活動領域 (NOAA 12740と12741) が崩壊する様子を国立天文台三鷹太陽フレア望遠鏡搭載の複数の観測装置のデータを用いて紹介します(図1、図2、図3)。それぞれ、図の左側が5月10日の太陽像 (図1a, 図2a, 図3a)、一方で図の右側はそこから太陽の自転一周後の6月6日の太陽像です(図1b, 図2b, 図3b)。太陽の自転一周分の時間が経つと、光球及びその少し上を観測しているG-bandでは黒点が消失しているのですが (図1)、その上空の彩層では活動領域の残骸が周辺に広がったプラージュやダークフィラメントとして確認できます (図2)。足元の光球面磁場分布を見ても、強く収束していた磁極群が、バラバラになりながら広がっていることがわかります (図3)。静穏な太陽がこのまま続けば、7月にはこれらの痕跡も目立たなくなるでしょう。
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2019年5月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
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5月は黒点観測を25日間実施でき、このうち12日間は無黒点でした (白色光画像の5月のデータベースカレンダー)。黒点相対数の月平均値は10.16で、月平均値が10.0以上になったのは2017年10月以来のことです。黒点は北半球でだけ見られ、南半球の黒点相対数は2か月連続でゼロでした。5月に出現した活動領域はNOAA (※1) 12740と12741の2群で、両者とも現在の第24周期に属する活動領域でした。この2つの活動領域の黒点は三鷹の太陽フレア望遠鏡でも観測でき(図1)、黒点が少ないこの時期においては目立つ存在でした。太陽活動の極小期付近としては珍しく活発な活動を見せ、NOAA 12740はGOES (※2) 衛星のX線強度測定の評価でC 9.9を筆頭にCクラスフレアを12回発生し、NOAA 12741もC2.0フレアを起こしました。5月6日に発生したC 9.9 フレアは近年では珍しいMクラスに迫る規模のもので、直近でこれより大きなフレアは2017年10月20日のM1.1であり、およそ1年6か月ぶりの発生です。5月に起こったフレアはその発生時刻が日本での日没後であったものがほとんどで、6日の昼間に発生したC 9.9フレアとC 1.7フレアも天気不良のため三鷹では満足な観測が行えませんでした。
第24周期に属する活動領域が出現する一方で、次の太陽活動周期への切り替わりが着実に進んでいます。5月4日に太陽フレア望遠鏡が北半球の高緯度に出現した小さな黒点をとらえました。図2は、4日に撮影された太陽の連続光全面画像と磁場分布画像を並べて見せています。図中の四角で囲まれた場所の中心に黒点があり、その位置は北緯28.8度、中央子午線からの経度差は東4.2度でした。
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2019年4月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。黒点相対数の減少の停滞期間は南北両半球のグラフ線で見られますが、北半球 (青線) のそれは顕著で2013年の初め頃から2016年末まで継続しました。南半球 (赤線) では、2017年の初め頃から2018年の初め頃まで減少の停滞が見られます。 現在も黒点相対数の減少は続いており、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ定まっていません。
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4月の月別平均黒点相対数は9.58となり、先月よりも黒点の数は多くなりました。南北半球別で見ると北半球の月平均黒点相対数は9.58、南半球では0.00で、4月に出現した黒点はすべて北半球のものでした (白色光画像の4月のデータベースカレンダー)。
4月に出現した活動領域はNOAA (※) 12737, 12738と12739の3群で、すべて現在の太陽活動第24周期に属する活動領域でした。その中でもNOAA 12738 (図1) は特に活発でした。この領域は4月9日に東リムに現れ4月19日に西のリムに消えるまで多くのBクラスフレアを起こしました。この領域で特に目立ったフレアは4月20日 0:50 UT (日本時間9:50) に西のリムで起きたB8.1で、このフレアにともなってサージ (Surge) と呼ばれる太陽物質の噴出現象 (図2) が何度も発生しました。その様子が太陽フレア望遠鏡で観測できました(ムービー)。
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2019年3月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。黒点相対数の減少の停滞期間は南北両半球のグラフ線で見られますが、北半球のそれは顕著で2013年の初め頃から2016年末まで継続しました。南半球では、2017年の初め頃から2018年の初め頃まで減少の停滞が見られます。 現在も南北両半球で黒点相対数の減少が続いており、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ定まっていません。
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3月の三鷹の黒点観測日数は23日間でしたが、無黒点日は12日間、月平均黒点相対数は、全球で7.30、北半球が 6.83、南半球が 0.48 となりました (白色光画像の3月のデータベースカレンダー)。2018年12月や2019年2月と比べると活発でしたが、無黒点日数、黒点相対数ともに引き続き2017年の終わりから続く太陽の磁気活動の極小期の水準でした。3月のフレアの発生数を見るとここ一年ほどに比べ少し活発で、米国 NOAA GOES 衛星 (※1, ※2) によるクラス分けにてCクラスのフレアが13例発生しました。このうち、C5 クラス前後まで到達するものが3例ありました。Mクラス以上のフレアはありませんでした。活動領域別で見ると、軟X線強度の大きな3例を含むCクラスのフレア12例が一つの活動領域 NOAA 12736 にて発生しました (図1)。この領域は、規模も大きく複雑な形状の黒点群を持ち、極小期としては珍しい活動領域でした。Bクラス以上の小さなフレアも絶え間なく発生し、領域が出現している間、軟X線の総フラックスが上昇するほどでした (GOES衛星が観測した軟X線フラックスのグラフ)。この活動領域は、太陽活動周期第24期の磁場配置を持つ低緯度の群であったことを付け加えておきます。今までのサイクルの磁気活動が、相変わらず北半球で見られることを示しています。3月は他に2つの活動領域が出現しましたが、これらは少数の黒点を持つシンプルな形状で、フレアも少数起きたのみでした。
最後に、国立天文台三鷹太陽フレア望遠鏡Hα撮像装置が観測したCクラスのフレアのムービーを二例紹介いたします (図2・ムービー1 、図3・ムービー2)。図2は、2019年3月8日の世界時3時頃に活動領域 NOAA 12734にて発生したGOES クラス C1.3 の長寿命フレアを捉えたものです。1時間以上光っていました。Hα線で観た長寿命フレアに特徴的な、フレアリボンと呼ばれる2本の帯状の光る構造が見て取れます。図3は、2019年3月22日の世界時0時30分過ぎに発生したGOES クラス C2.1 のフレアを捉えたものです。活発な活動領域 NOAA 12736 にて発生しました。図中矢印で示した増光がこのフレアですが、ムービー2を見ると活動領域のあちこちにてより小規模の増光が絶え間なく起きていたことが見て取れます。
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2019年2月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。黒点相対数の減少の停滞期間は南北両半球のグラフ線で見られますが、北半球のそれは顕著で2013年の初め頃から2016年末まで継続しました。南半球では、2017年の初め頃から2018年の初め頃まで減少の停滞が見られます。 現在も南北両半球で黒点相対数の減少が続いており、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ定まっていません。
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2月は太陽の観測ができた19日間には全く黒点が見られず、黒点相対数の月平均値は0.00でした (白色光画像の2月のデータベースカレンダー)。2月以前に黒点相対数の月平均値がゼロになったのは、直近では2018年12月でそれより過去は前回の極小から間もない2009年8月でした。この事実と2017年11月以降の月平均値が10未満で推移していることから、現在の太陽活動が極小に近い状態であることがうかがえます。活動領域が1つも出現せずCクラス以上のフレアも発生しなかった月でしたが、2月14日から25日にかけて広がった磁場を持つプラージュ (Hα線で明るい領域) が太陽面にあり、20日と24日にこの領域でフィラメント噴出が起こりました。ここでは、2月20日のイベントを紹介します。図1 は2月20日に太陽フレア望遠鏡で撮影した太陽のHα線画像と磁場分布画像で、中央の北半球側にプラージュとフィラメントがあり、プラージュの場所に磁場のペアが見えています。磁場の並びは西 (右) 側から黒-白 (S極-N極) となっていて、現在の第24周期に属する領域であることがわかります。フィラメントは、20日の世界時4時14分 (日本標準時13時14分) に噴出しました。図2・ムービー は、黒い筋状のフィラメントが噴出して見えなくなっていく様子とその最中におけるプラージュの一時的な増光 (Hαフレア) を画像と動画で示したものです。
噴出したフィラメントは、NASAの太陽観測用人工惑星 STEREO-A 搭載のコロナグラフでも地球向きのコロナ質量放出として観測されていますが、地球には到達しませんでした。
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2019年1月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。黒点相対数の減少の停滞期間は南北両半球のグラフ線で見られますが、北半球のそれは顕著で2013年の初め頃から2016年末まで継続しました。南半球では、2017年の初め頃から2018年の初め頃まで減少の停滞が見られます。 現在も南北両半球で黒点相対数の減少が続いており、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ定まっていません。
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1月の月別平均黒点相対数は7.68となりました。相対数が5以上になったのは、2018年8月以来のことです。黒点が無かった12月と比べると活発でした。南北半球別で見ると北半球の月平均黒点相対数は7.68、南半球では0.00で、1月に出現した黒点はすべて北半球のものでした (白色光画像の1月のデータベースカレンダー)。1月に出現した活動領域はNOAA (※) 12732と12733の2群で、どちらも現在の太陽活動第24周期に属する活動領域でした。その中でもNOAA 12733 ( 図1 )は特に活発な活動を見せました。この領域は1月21日に急激に発達し、多くのBクラス・Cクラスフレアを起こしました。Cクラスのフレアは、1月26日の13:22 UT (日本時間 22:22) にC5.0 フレアが発生したのを皮切りに5回起きています。前回C5.0以上のフレアが起きたのは2018年2月7日 で、この規模のフレアは実に353日ぶりでした。この領域での最大のフレアは1月30日 6:11UT (日本時間15:11) に起きたC5.2で、このフレアにともなってサージ (Surge) と呼ばれる太陽物質の噴出現象 ( 図2 ) が発生しました。NOAA 12733ではC5.2フレアが起こる前にも何度もサージが発生しており、その様子が太陽フレア望遠鏡で観測できました。ムービー1 では、NOAA 12733で発生した一連のサージが見られます。1月6日には部分日食が起きました。国立天文台三鷹キャンパスがある東京地方の食の始まりは日本時間の8時43分49秒で終わりは11時36分32秒でした。この食の最大は10時06分01秒で、太陽の面積の割合で約30%欠けました。当日は曇りがちな天気でしたが、三鷹キャンパスでは太陽フレア望遠鏡で観測を行いました。ムービー2で見ると、太陽の北西 (右上) から東 (左) 方向へ月が通過し、太陽のディスクが欠けていくのがわかります。太陽の北西と北東 (左上) の縁にはプロミネンス (Prominence. 太陽の縁から飛び出して見えている構造) があり、食の進行にともなってそれらが月に隠されたり月の影から出てきたりする様子も見られます。
ムービー2はHα線 (水素原子が出す波長656.3 nmの光) で撮影しましたが、太陽フレア望遠鏡ではそれ以外にも連続光、Ca II K線 (電離したカルシウム原子が出す393.4 nmの光)、Gバンド (波長430.5 nmの光) で観測しており、それらの光で撮影した部分日食の画像を連続光・G-band・CaK線観測2019年1月の1月6日 (20190106) で公開しています。
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