
黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
→ 2017年の黒点相対数
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11月の月別平均黒点相対数が5.00と、10月の16.40に比べると下がりました。 南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が3.60、南半球は1.40でした。11月は晴天に恵まれ、黒点観測日数が25日ありましたが、無黒点観測日が18日もありました。11月全体で4つの黒点群の出現にとどまり、3群以上出現した日もないなど、低調な太陽活動となっています。1日で消えるような短寿命の黒点群もありましたが、 北半球にNOAA12689(※)は25日から 29日まで観測されました(図1)。
現在、太陽活動周期(サイクル24)は下降期に入っていますが、ついに初めて黒点相対数が一桁になりました。活動上昇期の2010年4月に一桁を記録して以来で、またサイクル23の下降期に初めて一桁となった2005年10月から12年になります。いよいよ極小期が近づいているようです。
黒点活動が低調な中、11月後半は目をひくフィラメントがいくつか観測されました。その一つが、11月19日から29日にかけて観測された、南半球で大きく蛇行した形状のフィラメントです。このようなフィラメントは数日で消失したりイラプションを起こすことがあるのですが、10日近く存在し続けました(動画)。11月19日や29日の画像では、フィラメントが太陽の縁近くにあるので、縁の外側では一部がプロミネンスとして見えています(図2,図3)。
図4は11月24日のHα全面像(左)と太陽磁場のマップ(右)を並べたものです。図4・左で、青の線で囲んだ部分がフィラメントで、図4・右には赤線でフィラメントの位置を示しています。左右の図を比較すると、フィラメントが磁場のN極(白い部分)とS極(黒い部分)の境界、磁気中性線上にあることがわかります。
※ NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration(米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)
(図1) 2017年11月26日の太陽黒点画像。北半球にNOAA12689が出現。
(図2・左) 2017年11月19日のHα全面像。
(図3・右) 2017年11月29日のHα全面像。
2017年11月19日から29日のHα全面像の変化を動画で示す。
図2・図3・動画とも上方が天球の北。太陽フレア望遠鏡 Hα中心波長狭帯域フィルター像 (FWHM 0.25 Å)
(図4) 11月24日のHα太陽全面像(左)と太陽磁場全面マップ(右)。青線及び赤線で囲んだ部分がフィラメントの場所を表している。
図4は上方が太陽の北。太陽フレア望遠鏡 Hα中心波長狭帯域フィルター像 (FWHM 0.25 Å)(左)、赤外線スペクトロポラリメータ(右)
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