![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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8月の平均黒点相対数は27.05とやや高い値を示しました。南北半球別では、 北半球が19.0、南半球が8.05でした。7月の黒点数と比べると倍近い黒点が出現し、太陽全体の相対数が20を超えたのは4ヶ月ぶりです。南北半球では北半球が南半球に出現した黒点を大きく上回りました。7月の南北非対称は逆転したものの、今月はそれ以前の傾向に戻っているようです。8月は観測日数が少なかったですが、概ね月の前半は南半球が活発で後半は北半球が活発という傾向にありました。また、国立天文台(三鷹)での観測では無黒点の日が一日もありませんでした。無黒点の日がない月は昨年の9月まで遡ります。それほど8月の太陽は活発であったと言えます。8月のフレアの発生数は、米国NOAA(※1) GOES衛星(※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが46回、Mクラスが1回、Xクラスが0回でした。8月に起きた最大のフレアは、活動領域 NOAA12672で8月20日1:36(世界時)頃に発生したM1.1クラスのフレアでした。日本時間にすると10時36分頃と昼間なのですが、曇りのため日本では観測されませんでした。
今月の東京地方は天気が悪く観測時間が少ないのですが、太陽フレア望遠鏡で観測された回帰する黒点群を紹介します。この黒点は8月7日ごろ太陽の中心子午線を通過したNOAA12670という黒点群です(図1・右)。キャリントン経度(100-120度)を見ると、1周前は7月11日ごろに太陽中心子午線を通過したNOAA12665という黒点群であったと思われます(図1・左)。これらの群の中の最も大きい黒点重心座標を用いて計算すると、1周にかかった日数は26.97日と、低緯度での太陽の自転周期(約27日)とほぼ一致します。さらに8月29日ごろから見え始めたNOAA12673は、回帰した1周後の同じ黒点群と思われます(図2)。8月には単純な黒点があるだけですが、9月に入ると急激に発達しました(9月の太陽黒点のページへ)。
※2 GOES: Geostationary Operational Enviromental Satellite(米国の観測衛星) 三鷹太陽フレア望遠鏡 連続光 太陽全面像。 |