2017年1月の太陽活動 バックナンバー

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線は最近1周期における変動、青線と赤線は最近1周期における北半球(青)と南半球(赤)の変動、点線(黒)は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れました。現在の太陽活動は極大期を過ぎたところとなっています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでは北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えるという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2017年の黒点相対数

1月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 1月の黒点相対数は20.10と12月の12.08より回復しました。南北半球別では、北半球が18.90、南半球が1.21と、南半球の活動が非常に低くなっており、南半球の黒点も3日観測されただけでした。1月全体を通してみても、1月前半は黒点活動が低調、特に1月4日から12日まで無黒点日が記録されています。その後、1月13日からは、NOAA12625と12626、1月21日からは12627と12628が出現するなど(図1)、やや活発な様相を示しています。これは、太陽全球で黒点の出現が極端に非対称であることを示しています。


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(図1) 2017年1月21日の連続光画像。NOAA12625,12626,12627,12628が出現している。(太陽フレア望遠鏡 連続光で観測)

 太陽活動は極小期に向かうにつれて、黒点の出現緯度が赤道に近づくことが知られており、蝶型図で表すことができます。1月に出現したNOAA12625は、かなり太陽赤道に近づいた黒点となりました。さらに日ごとに赤道に近づく様子も観測されています。図2は1月19日の黒点画像で、NOAA12625の黒点の半暗部が赤道に重なっているように見えます。図3は、1月13日から22日までのNOAA12625の太陽面上の出現緯度を表したものです(※1)。 1月13日に出現したときは北緯0.325度でしたが、その後1月19日には北緯0.291度まで近づきました。その後、赤道を超えるかと思いきや、赤道から離れていきました。過去には赤道を越えるような黒点が観測されたこともありましたが、今回はそうはなりませんでした。


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(図2・左) 2017年1月19日の黒点画像。NOAA12625が赤道近くに存在している。(新黒点望遠鏡で観測)
(図3・右) 2017年1月13日から22日までのNOAA12625の緯度の変化

 1月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES 衛星(※2, ※3)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが8回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。うちCクラスフレア6回は、NOAA12628で1月21日に集中して発生したものです。、1月20日から22日にかけてのX線強度変化(図4)を見ると、1月20日から小規模なフレアが発生しており、21日にCクラスフレアが頻発しています。最大は21日7時14分(世界時)に起きたC9.1クラスでしたが、残念ながら観測時間外でした。それでも、NOAA12628のHα線観測を動画で確認すると、領域の一部が何度も輝いている様子がわかります。図5では、その場所を矢印で示しました。

 太陽フレア望遠鏡の観測している連続光・Gバンド・カルシウムK線の画像の公開を始めました。


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(図4・左) 2017年1月20日から22日のX線強度変化(NOAA/SEPC より)
(図5・右) 2017年1月21日2時から4時(世界時)のNOAA12628のフレア活動(太陽フレア望遠鏡 Hα線中心波長で観測) 静止画動画

※1 新黒点望遠鏡で自動検出した黒点の重心の位置を用いている。
※2 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration(米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)
※3 GOES: Geostationary Operational Environmental Satellite(米国の観測衛星)
※4 各画像は図4以外、クリックすると拡大されます。図4はクリックすると動画が再生されます。