過去の太陽活動 : 2010年、
2011年、
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2016年、
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2018年、
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2017年12月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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12月の月平均黒点相対数は 6.67 でした。南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が 5.26、南半球は 1.41 でした。今太陽活動周期極大期以降、この10月まで2桁を維持していた全球での月平均黒点相対数は、先月に引き続き一桁となりました。三鷹での今月の黒点観測は27日ありましたが、全球での無黒点報告日数は16日でした。月の半数以上が無黒点日でした。今月発生した個々の黒点群の寿命を見ると、二日以内に消失する短命なものが多く、唯一、下旬に北半球にて発生した活動領域 NOAA12692(図1, 図2) のみ比較的安定で、7日間黒点群として存在しました。12月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが0回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。Cクラスより下のサブCクラス(B5.0以上)まで数え上げてもわずかに3例と、先月に引き続きフレアのほとんど発生しない月となりました。サブCクラスのフレアのうち2例が、先ほどのNOAA 12692にて発生しました。
最後に、三鷹太陽フレア望遠鏡の観測装置が捉えた、2時間以上にわたり頻発したサージと呼ばれるジェット様の噴出群を紹介いたします(図3, ムービー)。図3のムービーは、活動領域 NOAA 12692を含む視野を、12月22日の世界時04:22から06:31まで Hα線にて観測したものです。フレア望遠鏡のHα線観測装置は、フィルターの透過波長を、Hα線中心波長に対し少しずつずらしながら(-0.8Å, -0.5Å, 0, +0.5Å, +0.8Å)観測しています。図3・右は、このうちのHα±0.8Åデータを用いて作成したドップラーグラムです。我々の視線に対するガスの運動の方向がわかります。一方、図3・左は、先ほどの透過波長5点でのデータを波長方向に積算したものです。サージと呼ばれる噴出現象はガスの運動の速度が比較的大きく、運動によるドップラー効果の結果、しばしば、ガスからの光の波長がフィルターの透過波長(FWHM 0.25 Å)の外側までずれて見えなくなってしまいます。ですが、この様に積算することにより、運動するガスの全体像を捉えることができます。この様にして作成したムービーを眺めますと、NOAA12692 の西の端のあちこちで2時間以上にわたり、絶え間なくガスが上方に噴出しては、重力に引かれて落ちるのを繰り返していたことがわかります。新しい浮上磁場領域が足元にあるような場所の上空にて、しばしば、この様な現象が見られます。マグネトグラム(図2)にて確認すると、実際に小さな正極と負極のペアがこの領域にあったことがわかります。
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2017年11月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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11月の月別平均黒点相対数が5.00と、10月の16.40に比べると下がりました。 南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が3.60、南半球は1.40でした。11月は晴天に恵まれ、黒点観測日数が25日ありましたが、無黒点観測日が18日もありました。11月全体で4つの黒点群の出現にとどまり、3群以上出現した日もないなど、低調な太陽活動となっています。1日で消えるような短寿命の黒点群もありましたが、 北半球にNOAA12689(※)は25日から 29日まで観測されました(図1)。
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2017年10月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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10月の月別平均黒点相対数が13.40と、9月の37.67に比べると下がりました。 南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が7.50、南半球は5.90でした。天候不良で10月の黒点観測日数が11日にとどまりましたが、10月9日から18日の間、 無黒点観測日が続きました(※1)。10月に出現した活動領域は6つありました。この中で、10月上旬に南半球に現れた NOAA12682(※2, 図2)は、9月に4つのXフレアを起こしたNOAA12673(図1,9月の太陽活動)が回帰したものです。この活動領域は7月にNOAA12665として出現して以来、12670,12673,12682として回帰し、さらに、10月下旬にもNOAA12685(図3)と回帰しています。ただし、10月20日のM1.1フレアを のぞくと、フレア活動はすっかり収まっています。北半球に出現したNOAA12683(図2)も、9月上旬に出現した12674が回帰したもの(図1)で、さらに10月下旬に12686(図3)として回帰しました。図1から図3の黒点を順に見ると、大きく発達した黒点群が、回帰ごとに単極黒点構造に衰退しつつも、しぶとく生き残っています。Hα線観測では、NOAA12685の北側に東西に長いフィラメントが観測されています(図4)。10月26日に、このフィラメントの中央付近で、小規模なフレアにともなう噴出現象を起こしています。図4の(a)で何度か光ったあと、0時40分(世界時)には、図5の(b)付近で、ツーリボンフレアのように急激に輝いています。このとき(b)のフィラメントが消失・出現を繰り返しています。そして、00時58分に図6の(c)で、フィラメント噴出が発生していました。このような現象が起こりましたが、フィラメント全体としては、10月31日まで存在が観測されています。
※1 SIDCによると、10月16日にNOAA12684が出現している。
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2017年9月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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9月の全球での月平均黒点相対数は 38.32 でした。南北半球別で見ると、北半球が 21.63、南半球は 16.68 でした。黒点相対数が南北半球共に本格的な下降傾向に入ったと3ヶ月前に報告しましたが、9月は例外的に活発で、この一年ほどの平均的な数値の倍程度の値を記録しました。しかしながら十分に太陽活動周期減衰期での数値です。9月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが68回、Mクラスが27回、Xクラスが4回でした。黒点相対数の増加に比して、エネルギーの大きなフレアの発生が非常に活発な月となりました。Xクラスのフレアの発生は、2015年5月5日の GOESクラス X2.7 のイベント以来、実に2年4ヶ月ぶりでした。それだけでなく、発生したXクラス4例のうちの2例は、それぞれ、X9.3、及び、X8.2 と、通常のXクラスの10倍 (X10クラス) に迫るX線強度を記録しました。これら2例は、今太陽活動周期最大のX線強度を持つフレアとなりました。9月に発生した全フレアのうち、Mクラス以上の全て(Mクラス27回、Xクラス4回)と、Cクラスの8割が、単一の活動領域 NOAA12673 (図1) にて発生しました。活動領域 NOAA12673 は、太陽の自転の2周にわたり存在していた活動領域の、その広範な残骸に囲まれた小さな黒点の脇に、新しい磁束が急速に浮上、発展したものでした(「トピックス」「8月の太陽」)。同様の条件で浮上した活動領域が、大きなフレアを複数起こす例を、各太陽活動周期減衰期に数例程度見かけます。9月は他に、もう一例、大きな活動領域が出現しました(NOAA12674: 図1)が、こちらでは、Cクラスのフレアが7回と、特別活発ではありませんでした。最後に、三鷹太陽フレア望遠鏡の観測装置が捉えた、準X10クラスフレア(10-Sep_2017 16:06UT: 図2) の、Hαポストフレアループと呼ばれる現象を、ひので衛星軟X線望遠鏡(XRT)が観測した、より高温の軟X線フレアループと比較しながら紹介いたします(図3, ムービー)。通常、寿命の長いフレアでも、7時間程度で元のX線強度に戻ります。ですがこのフレアは、14時間程度も増光していた非常に長寿命のものでした(図2)。図3は、軟X線ピーク後8時間でのものですが、まだ強く増光していたことがわかります。
Hαポストフレアループ(図3・左)と軟X線のフレアループ(図3・右)を比較すると、より低温(1万度程度)のHαポストフレアループでは、素直な丸い形状をしているのに対し、より高温(数百万度~1千万度程度)の軟X線フレアループでは、カスプ様構造と呼ばれる先端が尖った形状をしていることがわかります。
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2017年8月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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8月の平均黒点相対数は27.05とやや高い値を示しました。南北半球別では、 北半球が19.0、南半球が8.05でした。7月の黒点数と比べると倍近い黒点が出現し、太陽全体の相対数が20を超えたのは4ヶ月ぶりです。南北半球では北半球が南半球に出現した黒点を大きく上回りました。7月の南北非対称は逆転したものの、今月はそれ以前の傾向に戻っているようです。8月は観測日数が少なかったですが、概ね月の前半は南半球が活発で後半は北半球が活発という傾向にありました。また、国立天文台(三鷹)での観測では無黒点の日が一日もありませんでした。無黒点の日がない月は昨年の9月まで遡ります。それほど8月の太陽は活発であったと言えます。8月のフレアの発生数は、米国NOAA(※1) GOES衛星(※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが46回、Mクラスが1回、Xクラスが0回でした。8月に起きた最大のフレアは、活動領域 NOAA12672で8月20日1:36(世界時)頃に発生したM1.1クラスのフレアでした。日本時間にすると10時36分頃と昼間なのですが、曇りのため日本では観測されませんでした。今月の東京地方は天気が悪く観測時間が少ないのですが、太陽フレア望遠鏡で観測された回帰する黒点群を紹介します。この黒点は8月7日ごろ太陽の中心子午線を通過したNOAA12670という黒点群です(図1・右)。キャリントン経度(100-120度)を見ると、1周前は7月11日ごろに太陽中心子午線を通過したNOAA12665という黒点群であったと思われます(図1・左)。これらの群の中の最も大きい黒点重心座標を用いて計算すると、1周にかかった日数は26.97日と、低緯度での太陽の自転周期(約27日)とほぼ一致します。さらに8月29日ごろから見え始めたNOAA12673は、回帰した1周後の同じ黒点群と思われます(図2)。8月には単純な黒点があるだけですが、9月に入ると急激に発達しました(9月の太陽黒点のページへ)。
※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration(米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)
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2017年7月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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7月の月平均黒点相対数は 15.30 でした。南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が 5.17、南半球は 10.17 です。ここ数ヶ月は北半球の黒点数が優勢でしたが、7月は南半球の黒点数が卓越しました。三鷹での今月の黒点観測は23日ありましたが、全球での無黒点報告日数は 10日と(6月の無黒点観測日は4日)、極小期に向かう太陽を表しています。 その中、7月6日から17日にかけて出現した活動領域 NOAA12665は(図1)、典型的な双極群として存在感を示しました(※1)。
7月は太陽フレアがGOESクラスで(※2)、Cクラスが34個、Mクラス3個、Xクラスは0でした。Mクラスフレアが起きたのは今年の4月3日以来、約3ヶ月ぶりです。特にNOAA12665ではそのうち、Cクラスが29個、Mクラスが2個発生しています。Mクラスは7月9日に起こったM1.3フレアと7月14日に起きた M2.4フレアです。 |
2017年6月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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6月の月平均黒点相対数は 16.63 でした。南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が 16.05、南半球は 0.58 でした。今月は南半球側の太陽活動度が非常に低く、ひと月を通してほぼ無黒点でした。北半球側を見ると、黒点相対数は引き続き一定のレベルを保っています。ですが長期で見ると、昨年は概ね 20~30 程度の月平均相対数を維持していたものが、今年前半に入り、安定して10程度値を下げています。長期での傾向を13ヶ月移動平均で見ても(左の図)、北半球側の極大後しばらくは下げずに粘っていた北半球側の活動度が、とうとう下降傾向に入っていることがわかります。三鷹での今月の黒点観測は20日ありましたが、全球での無黒点報告日数は 4日でした。6月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが17回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。これらのフレアのうち16例が、活動領域 NOAA 12661 (図1,図2) にて6月上旬に発生しました。その後は目立つフレアの発生のない月となりました。
最後に、三鷹太陽フレア望遠鏡の観測装置が捉えた、サージと呼ばれるジェット様の現象を一例、紹介いたします(図3, ムービー)。2017年6月19日 世界時 04:30 頃より、太陽の縁の向こう側より、ガスの塊が、きつくねじられた構造がほどける様な様子を見せながら、噴出しています。ガスの視線速度の運動(ドップラーシフト)を示すドップラーグラムでは、この時ガス塊はこちらへ近づく運動成分(青方変異)も持っていたことがわかります。これらガスの運動は、運動の方向に沿った磁力線群がそこに存在し、ガスの運動がガイドされていたことを示唆します。噴出後期では、ガスが落下を始めると共に、ドップラーグラムでの信号が、我々から遠ざかる方向の運動へと転じます。ガスが落下する際、同じ磁力線群に沿って運動の方向を逆向きに転じたとすれば、うまく説明できそうです。尚、ドップラーグラムにて太陽のディスク全体が青い色を示すのは、太陽の自転によるものです。
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2017年5月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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5月の平均黒点相対数は18.18と低い値を示しました。南北半球別では、 北半球が13.27、南半球が4.91でした。4月の南北半球の黒点数は同程度でしたが、5月はそれ以前の傾向と同じく、南半球が北半球の黒点数を大きく下回りました。これは2016年の初めから見られる傾向です。また、今月は黒点観測ができた22日の中で無黒点日が3日ありました。5月のフレアの発生数は、米国NOAA(※1) GOES衛星(※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが4回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。5月に起きた最大のフレアは、活動領域 NOAA12659で5月28日19:30(世界時)頃に発生したC3.3クラスのフレアでした。日本時間にすると5月29日の4時30分頃と夜中なので、日本では観測されませんでした。この領域は5月21日頃に発生し5月23日頃から急激に発達し、小さなフレアを何度も起こしました。5月30日には西のリムにありました。
今月の太陽は全体的に静かだったのですが、太陽フレア望遠鏡ではフィラメント消失を観測しましたので紹介します。このフィラメントは5月18日から22日に東側の半球に位置していました(図1)。図2のムービーでは22日まで見えていたフィラメントが23日にはすっかり消えて見えなくなっていました。フィラメントは一般的に磁気中性線上に分布しますが、Siの円偏光分布では非常に弱い磁場上空に位置しています。
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2017年4月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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4月の月平均黒点相対数は24.33と3月の12.48よりやや回復しました。ここ数ヶ月、黒点数は北半球優勢が続いていましたが、4月は北半球12.29、南半球12.05と南北半球でほぼ同数となりました。三鷹での4月の黒点観測は21日ありましたが、無黒点と報告された日は3日にとどまり、3月の12日より減っています。4月は太陽フレア活動が久々に活発となりました。米国 NOAA GOES衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが47回、Mクラスが7回、Xクラスが0回でした。Mクラスフレアが発生したのは2016年11月以来です。また、Cクラス以上の太陽フレアが52個起きていますが、これは2016年8月の65個以来です。7つの Mクラスフレアはすべて活動領域NOAA12644(図1)で発生しています。このNOAA12644は、3月22日に東の縁に出現し、4月5日まで西の縁に存在しました。 3月29日に最大面積を迎えて、一度衰退しかけましたが、4月2日から再度発達し、フレア活動も活発となりました。最大は4月3日に起きたM5.8ですが、日本では夜のため観測されていません。黒点の磁場配置もフレアが発生しやすいデルタ(δ)型となっています。NOAA12644はその後周回して4月17日から東の縁に再出現し、NOAA12651となって(図2)、18日にはC5.5フレアが発生しています。南半球には、NOAA12645が、3月27日から4月7日に出現し(図1)、東西に長く発達しました。32個のCクラスフレアを起こしていますが、Mクラスを起こすまでには至りませんでした。
三鷹の太陽フレア望遠鏡では、4月3日0時56分(世界時)に発生した M1.2フレアを観測することができました(図3、動画)。動画を見ると、複数のループ上の構造が繰り返し輝いているように見えます。動画後半では、ループの足元らしき場所が光っています。
このフレアのあとも、4時19分にC2.3フレア、4時55分にC5.7フレアが同じ領域で起きており、イラプション(噴出現象)もともなっています(図4、動画)。
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2017年3月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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3月の月平均黒点相対数は 12.48 でした。1月、2月と少し持ち直していた黒点相対数は、再び、今太陽周期極大期以降の最低レベルを記録しました。南北半球別で見ると、北半球の月平均黒点相対数が 10.48、南半球は 2.00 でした。北半球の黒点相対数は引き続き一定のレベルを保っています。今月は無黒点の観測日が目立ちました。三鷹での今月の黒点観測は23日ありましたが、このうち半数を超える12日にて無黒点が報告されました。3月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが11回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。フレアは全て、3/24 以降に相次いで浮上し、その後急速に発展しながら複雑さを増していく二つの活動領域、 NOAA12644, 12645 (図1, 図2) にて発生しました。このうち、NOAA12645 は、黒点の発生の低調な南半球にて久しぶりに出現した活発な活動領域でした。
3月は天候があまり良くなく、また上記2つの活動領域が本格的にその大きさと複雑さを増して行くのは4月に入ってからなのですが、いくつかの印象的な現象を、三鷹フレア望遠鏡の観測装置が捉えましたので、図とムービーにて紹介いたします。図3c のプロミネンスでは、プロミネンスを構成するガスが渦のような運動を示しながら、プロミネンス右上の暗い部分を埋めていく様子が見て取れます。(図3c, ムービー)
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2017年2月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線(黒)は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、特に深い極小でまた時期も遅れました。現在の太陽活動サイクルは、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えました。その後、極小期に向かっていますが、北半球の黒点数がゆるやかに減少しているのに対し、南半球は無黒点日が増加するなど先行して急速に減少しており、前サイクルとは異なった様子を見せています。
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2月の平均黒点相対数は17.04と、先月に引き続き低い値を示しました。南北半球別では、 北半球が15.27、南半球が1.77でした。北半球が南半球の黒点数を大きく上回っています。これは2016年の初めから見られる傾向です。2月のフレアの発生数は、米国NOAA GOES衛星の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが6回、Mクラスが0回、Xクラスが0回でした。2月に起きた最大のフレアは、活動領域 NOAA 12638で(図1)、2月22日13:27UTに発生したC4.1クラスのフレアでした。この領域は25日頃に太陽面の真ん中を通過し、すべてのフレアはγ型と呼ばれる複雑な磁場分布の領域で発生しました。それ以外はフレアが起きにくいα型やβ型の単純な磁場分布の領域でした。
今月の太陽活動は全体的に静かだったのですが、太陽フレア望遠鏡では2月24日にプロミネンスのダイナミックな運動を観測しました。このプロミネンスは2月24日には太陽の北西部の静穏領域に位置していました(図2の矢印)。図3は、図2の矢印のプロミネンスを拡大したものです。ムービーにすると、画像中央にあるプロミネンス内のガスが南北に運動する様子が見られます。特に4:00UT前後に北側の大きくはっきりとしたプロミネンスから南側に向けて運動したガス(図3の矢印)のスピードを見積もると秒速37kmでした。
(図1・左) 2017年2月22日の連続光画像。NOAA12638が画像左上に存在している。(太陽フレア望遠鏡 連続光で観測)
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2017年1月の太陽活動 バックナンバー
![]() 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線は最近1周期における変動、青線と赤線は最近1周期における北半球(青)と南半球(赤)の変動、点線(黒)は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れました。現在の太陽活動は極大期を過ぎたところとなっています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでは北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えるという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
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1月の黒点相対数は20.10と12月の12.08より回復しました。南北半球別では、北半球が18.90、南半球が1.21と、南半球の活動が非常に低くなっており、南半球の黒点も3日観測されただけでした。1月全体を通してみても、1月前半は黒点活動が低調、特に1月4日から12日まで無黒点日が記録されています。その後、1月13日からは、NOAA12625と12626、1月21日からは12627と12628が出現するなど(図1)、やや活発な様相を示しています。これは、太陽全球で黒点の出現が極端に非対称であることを示しています。![]() (図1) 2017年1月21日の連続光画像。NOAA12625,12626,12627,12628が出現している。(太陽フレア望遠鏡 連続光で観測)太陽活動は極小期に向かうにつれて、黒点の出現緯度が赤道に近づくことが知られており、蝶型図で表すことができます。1月に出現したNOAA12625は、かなり太陽赤道に近づいた黒点となりました。さらに日ごとに赤道に近づく様子も観測されています。図2は1月19日の黒点画像で、NOAA12625の黒点の半暗部が赤道に重なっているように見えます。図3は、1月13日から22日までのNOAA12625の太陽面上の出現緯度を表したものです(※1)。 1月13日に出現したときは北緯0.325度でしたが、その後1月19日には北緯0.291度まで近づきました。その後、赤道を超えるかと思いきや、赤道から離れていきました。過去には赤道を越えるような黒点が観測されたこともありましたが、今回はそうはなりませんでした。![]() ![]() (図2・左) 2017年1月19日の黒点画像。NOAA12625が赤道近くに存在している。(新黒点望遠鏡で観測)
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