
黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。緑線は最近1周期における変動、青線と赤線は最近1周期における北半球(青)と南半球(赤)の変動、点線(黒)は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は極大期を迎えています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでは北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して、南半球は遅れて上昇し、2014年に極大を迎えるという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2015年の黒点相対数
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12月の平均黒点相対数は42.92でした。南北半球別では、北半球が 18.04、南半球が24.88 でした。黒点相対数は2014年初頭にピークとなりましたが、2015年2月以降は両半球とも相対数が50を超えることはなくなり、太陽全球にわたり黒点相対数が減少期に入ったと言えそうです。
12月のフレアの発生数は、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)の観測結果によると、X線強度別に、Cクラスが95回、Mクラスが6回、Xクラスが0回でした。全球での黒点相対数が減少に転じてからも、しばらくは活発であったフレアの発生数も、10月頃より目に見えて落ち始め、特にエネルギーの大きなMクラス以上のイベントの発生数の減少が目立ちます。12月に比較的フレアの活発であった活動領域として、NOAA 12473 (Cクラス27, Mクラス4; 図1左) 、NOAA 12472 (Cクラス18, Mクラス2; 図1左) 、及び、NOAA 12470 (近傍の NOAA 12469 と共に Cクラス17; 図1右)をあげておきます。
最後に、太陽観測所フレア望遠鏡Hα観測装置が12月に捉えた印象的なフレア 2例を紹介します。図2は、12月24日に活動領域NOAA 12473 にて発生した GOES Class M1.1 のフレア(ムービー)。図3は、12月18日に活動領域NOAA 12469 と 12470 の間にて発生した GOES Class C4.6 のフレア(ムービー)です。フレア発生の際、太陽彩層にてしばしば観測される「フレアリボン」と呼ばれる増光の発展がよく見えます。フレアリボンは、活動領域上空を繋ぐフレアに関与した磁力線群の足元にペアで現れることがわかっています。12月18日のイベントでは、磁場の強い黒点の近くと磁場の弱いより外側の領域で、大きさのかなり異なるフレアリボンが現れているのが見てとれます。
※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration(米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)
※2 GOES: Geostationary Operational Enviromental Satellite(米国の観測衛星)
図1(左): 2015年12月にもっともフレアが活発であった太陽活動領域 NOAA 12473、及び NOAA 12472
図1(右): エネルギーの大きなフレアは起こさなかったものの、12月に出現した太陽活動領域の中では規模の大きかった NOAA 12470:
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図2: 2015年12月24日にNOAA 12473 にて発生したMクラスフレア Hα線中心波長狭帯域フィルター像 (FWHM 0.25 Å)
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図3:2015年12月18日にNOAA 12469 と NOAA 12470 の間にて発生したCクラスフレア
Hα線中心波長狭帯域フィルター像 (FWHM 0.25 Å)
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