過去の太陽活動 : 2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
国立天文台 太陽観測所

2013年12月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

12月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 12月の太陽活動は、南半球で活発な様子を見せました。太陽フレアはCクラスが157回、Mクラスが12回で、そのほとんどが南半球で起きています。黒点相対数は大きな黒点群が複数現れたために2013年で最大となりました。特に、太陽活動のほとんどが南半球で発生したように、南半球に集中して黒点群が発生したため、南半球の黒点相対数は現太陽活動周期で最大となりました。一方、北半球は黒点の現れない日が増えてきており、徐々に活動が低下しています。
 12日にはフィラメント噴出を伴うC4.6フレアが活動領域11912で発生しました(ムービー)。ムービーではこの領域に横たわっていたフィラメントが、揺らめきながら徐々に浮上していき、縁の外側まで飛んでいく様子が見られます。また、フィラメントが噴出した後には、フィラメントがあった場所を両側から挟むように2本の明るい筋状構造(ツーリボン)が見られます。
 21日には大きなフィラメントの噴出が発生しました(ムービー)。この現象はフィラメントが太陽の裏側にあるときに起きたため発生の瞬間は捉えていませんが、外側に向かってフィラメントがねじれながら勢いよく飛んでいく様子が見られます。

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図1:12日に発生したC4.6フレアとフィラメント噴出


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図2:21日に発生したフィラメント噴出。左図:輝度画像(太陽表面は白く塗りつぶしてある)、右図:ドップラーグラム(白が遠ざかる方向、黒が近づいてくる方向の運動を表す)

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国立天文台 太陽観測所

2013年11月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

11月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 11月の太陽活動は、黒点相対数、太陽フレアの活動ともに非常に活発でした。11月の平均黒点相対数は97.26と10月の102.17を少し下回りました。しかし、11月17日の黒点相対数174は、今年最大だけでなく、今太陽活動サイクル(2008年12月以降)もっとも多い日となりました。
 太陽フレアの数を見ても、Cクラスが225回、Mクラスが19回、Xクラスが4回と非常に高い活動度を示しました。特に活発だったのが、11月2日から15日に太陽面に出現したNOAA11890という黒点群です(黒点群の画像)。今月もっとも活発にフレアを発生しました(Xクラス3個,Mクラス5個,Cクラス45個)。これは10月中頃に出現した活動領域11861の回帰群に当たり、そのときもCクラスフレアの活動が顕著でした。
 特に11月5日8時7分(日本時間)に起きたX3.3フレアは今年最大のフレアになったと同時に、今サイクルでも3番目の規模になりました。残念ながらこのフレアは観測開始前に起きたものですが、11月8日13時20分(日本時間)に起きたX1.1フレアは太陽フレア望遠鏡でその経過を観測することができました(フレアのX線強度変化)。ムービーで見ると、黒点の東側がフレアリボンとして輝き、その後、西側でも明るく長くフィラメント状に光っていることがわかります(図1)。フレアのあとにはサージと呼ばれるガスの噴出現象も観測されています(図2)。
 これで今年に入って起きたXクラスフレアは12回を数えました(2012年は7回)。

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図1:11月8日に発生したX1.1フレアの2種類のフレアリボン

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図2:11月8日に発生したX1.1フレアのフレアリボンとサージ(左図)、およびドップラーグラム(右図、白が我々から遠ざかる方向、黒が近づく方向を示す)

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国立天文台 太陽観測所

2013年10月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

10月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 10月の太陽活動は、黒点相対数、フレアの活動共に非常に活発でした。黒点相対数は、今回の極大期の最大レベルを記録しました。南北半球別で見ると、南半球側での黒点相対数の増加が著しく、一方、北半球側の黒点相対数は南半球の約半分という低調な値でした。南半球側の磁気活動優位の状況は、ここ5ヶ月間安定しています。同様に本極大期最大レベルの黒点相対数を記録した2011年11月期と比較すると、黒点相対数の分布が南北半球で逆転しています。
 フレアの活動を見ると、Cクラスが180回、Mクラスが33回、Xクラスが4回と、発生頻度、解放エネルギー共に、非常に高い値を示しました。これらのフレアは主に、形状が複雑な5つの活動領域、11861、1186511875、11877、11882にて発生しました。活動領域11875を除く他の4つの活動領域は、全て南半球側に出現しました。ただし、活動領域11875が最も活発にフレアを発生させました(Cクラス57例、Mクラス12例、Xクラス2例)。
 太陽観測所では、10月28日に活動領域11875にて相次いで発生した2つの大きなフレア(X1.0,M5.1)をとらえることが出来ました(図1,2)。図1左は、最初に発生したX1.0のフレアの軟X線ピーク付近での様子を、Hα中心波長にて示しています(ムービー1)。このフレアは、活動領域11875の黒点の南西側へ成長する様に発生しました。寿命の長いフレアに特徴的に現れるtwo ribbon構造と呼ばれる増光が見られます。図1右は、先ほどのフレアの2時間半後に発生したM5.1のフレアの様子を示しています(ムービー2)。このフレアは黒点の北側に展開する様に発生しました。もともとこの領域に存在していたダークフィラメントの一部をフレアの過程で巻き込み、大規模なフィラメント噴出を起こしています。

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図1:10月28日のX1.0フレア(左図)とM5.1フレア(右図)


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図2:10月28日に発生したフレアの時間帯を含む米国GOES衛星による軟X線総量曲線

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ムービー1:10月28日に発生したX1.0フレア
ムービー2:10月28日に発生したM5.1フレア

Hα中心波長(左図)とドップラーグラム(右図:ディスク上・リム外ともに青が我々に近づく方向、赤が遠ざかる方向を示す)
国立天文台 太陽観測所

2013年09月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

9月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 9月の太陽活動は、活動極大期にあるにも関わらず非常に低調でした。太陽フレアはCクラスが26回発生したのみで大規模なフレアは無く、黒点相対数も半年前の水準にまで落ち込み1ヶ月を通して大きな黒点群は見られませんでした(9月の太陽)。
 18日のC3.9フレアは9月に発生したフレアでは最大のものでした。南東の縁近くにある活動領域11846から発生したフレアで、ムービーではガスが勢いよく噴出している様子が分かります(ムービー)。引き続き活発な様子を見せると思われたこの活動領域ですが、その後フレアは1度しか発生しませんでした。
 30日には大規模なフィラメント噴出が発生しました。19日に東の縁から現れたこのフィラメントは10日間西に向かって静かに太陽面を移動していましたが、中心を過ぎた後、29日から30日の観測の間に太陽表面から突然飛び出しました(下図)。30日の画像ではフィラメントが消えているのが分かります。飛び出したフィラメントは惑星間空間を伝わって10月2日に地球に到達し、磁気嵐やオーロラを発生させました。

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図:9月30日に飛び出したフィラメントの様子(左上:21日、右上:24日、左下:29日、右下:30日。縦軸、横軸の単位は秒角)

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国立天文台 太陽観測所

2013年08月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

8月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 8月の太陽活動は、6・7月と低調だった頃に比べると少し持ち直しました。8月の黒点相対数は75.40でした(7月は63.90)。特に、NOAA11817とNOAA11818という黒点が大きく発達しました(図1)。黒点相対数がもっとも大きかったのは8月20日で、9群36個の黒点相対数126でした。この前後4日間は相対数120前後が続きました。
 ところが、太陽フレア活動としては、Cクラス以上が55回/月と7月の109回の約半分と低調でした。最も大きかったのは8月17日19時(UT)に発生したM3.3フレアで、前述のNOAA11818で起きたものです。8月30日にはNOAA11836で起きたC8.3フレアをとらえることできました。広がったツーリボン構造をしています(図2)。
 また、8月は大きなフィラメントがよく出現しました。フィラメントは数日から10日間ほど現れることが多く、主だったもので8/6-14(図3),8/17-20(図3),8/24-29(図4)に出現しています。たいてい最後はいつの間にか消えて次の日には見えなくなっています。しかし8月29日はフィラメント少しずつ上昇して、最後には吹き飛ぶ様子をとらえることができました。これをフィラメント噴出と呼びます。フィラメント噴出も太陽フレアと同じように、宇宙天気に大きく影響を与える現象です。

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図1:8月14日のNOAA11817とNOAA11818

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図2:8月30日にC8.3フレアを起こした活動領域

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図3:8月6日から14日に出現したフィラメント(左図)。8月17日から20日に出現したフィラメント(右図)

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図4:29日に噴出したフィラメント

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国立天文台 太陽観測所

2013年07月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

7月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 7月の太陽活動は、6月に引き続き太陽活動極大期としては低調でした。特に北半球の黒点相対数が先月に引き続き非常に低い値を保持しているのが目立ちます。一方、南半球に目を向けると、直近一年間の値との比較で、かなり高めの黒点相対数を保持していました。個々の黒点群の特徴を見ても、少なくとも一例、規模が大きくかつ形状も比較的複雑な黒点群が発生しています。フレアの活動を見ると、発生頻度ではCクラス以上のフレアが109回程度/月とまずまずの数値を示しました。一方、解放エネルギーの大きなフレアはMクラスが1例のみでした。このMクラスのフレアは日本時間の夜に発生したため、太陽観測所のデータはありません。
 図1に、7月に観測された黒点群の中でもっとも規模が大きく形状も複雑であった活動領域11785の時間発展の様子を示します。この活動領域は、12日間の観測可能期間にCクラスのフレアを36例起こしており、7月において最もフレアの活発な活動領域のひとつでした。7月7日前後がフレアのピークで、その後7月12日頃にはフレアがほとんど起こらなくなります。この頃には黒点群もかなり崩壊しているのが分かります。
 図2では、この活動領域にて7月7日に発生した C6.1のフレアと、これに伴い噴出したサージ(surge)と呼ばれる現象を、太陽観測所フレア望遠鏡のデータを用いて紹介します(ムービー)。図2左ではHα中心波長にて、強い増光を示すフレアが観測されています。ほぼ同時刻に、観測波長を少しずらしてドップラー成分を撮ると、高速のガスが我々の方向に噴出しているのが分かります(surge:図2右)。一度噴出したガスは太陽の重力の影響を受け続け、フレアの後半に、我々から遠ざかる方向、太陽表面に向けて落下しているのが分かります。

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図1:活動領域11785の連続光領域での時間発展。7月7日から9日に太陽のちょうど中央付近を通過し、その後西に回っていきました。図では、それぞれの日付で撮像された画像を、領域を真上から見た様に計算機内で座標変換を施してあります(図の上が北、左が東)。


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図2:Hα中心波長(左図、太陽の周辺減光を除去して強調処理)とドップラーグラム(右図、青が我々に近づく方向、赤が遠ざかる方向を表す)。

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国立天文台 太陽観測所

2013年06月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

6月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 6月の太陽活動は、活動的だった5月とは異なり、全体的に低調でした。黒点相対数は3ヶ月前の水準にまで落ち込み、特に北半球は5月の半分以下にまで下がりました。また、黒点数が下がっただけでなく、黒点そのものの活動度も低く、フレアなどの現象は多くありませんでした。6月のフレアはCクラスが60回、Mクラスが4回、Xクラスが0回と、5月に比べて半分以下になっています。
 3日に発生したC9.5のフレアは、6月に発生したフレアの中では、比較的規模の大きなものでした(図1、ムービー:MPEGGIF)。このフレアが発生した活動領域11762は1日から2日にかけて急に現れているので(図3)、領域の急激な発達に伴う磁場の相互作用でフレアが発生したと考えられます。太陽の中心からは離れた場所で発生したために、このフレアによって噴出したガスによる地球への影響は見られませんでした。また、その他に17日にはねじれながらゆっくりと上昇していくプロミネンス噴出がありました(図2、ムービー:MPEGGIF)。

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図1(左):3日に発生したC9.5フレア。図2(右):17日に発生したプロミネンス噴出(太陽表面は白く塗りつぶしてあります)。


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図3:1日から3日までの活動領域11762の白色光画像

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2013年05月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

5月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 5月は4月に引き続き太陽活動が活発な月となりました。5月の平均黒点相対数は98.9と、4月の91.4より増えました。これは2011年11月以来(108.4)の多さです。一番多かった日は5月16日で、なんと11群48個で黒点相対数158。この前後は150前後の黒点相対数が4日間続きました。
 特に、13日から東の縁から現れた活動領域11748では太陽フレア活動が非常に活発で3日間で4つのXクラスのフレアが起こりました。そのうち2つを太陽フレア望遠鏡で観測することができました(下図1,2)。5月14日のフレアは、Hα線で太陽表面が光ったあと、その上空にポストフレアループを形成しました(ムービー:輝度分布ドップラーグラム)。Xクラスフレアが起きたのは昨年11月23日のX1.8以来です。この活動領域では、これらのXクラスフレアに加えて、Mクラスフレアが5回、Cクラスフレアが18回、起こりました。
 大きなフレアこそ起こりませんでしたが、5月後半には11755と11756も特徴的な活動領域でした。赤道をはさんで北半球・南半球に東西方向に長い黒点群を形成し(下図3)、Hα線では黒点周辺に広く明るいプラージュ領域(下図4)が観測されました。図4をクリックすると、5月23日から27日のプラージュの変化を追うことができます。
 14日からは、twitter(アカウント:naoj_taiyo)を始めました。日々の太陽観測状況を発信しています。

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図1(左):14日に発生したX3.2フレア。図2(右):15日に発生したX1.2フレア。

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図3(上):26日の白色光画像。図4(下):26日のHα線画像。

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国立天文台 太陽観測所

2013年04月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

4月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 4月の太陽活動は活発で、ここ2ヶ月ほど太陽活動極大期としては非常に低調であった黒点相対数が、今回の極大期の最大レベルにまで増加しました。直近の太陽活動極小期からの急な立ち上がりを見せ、フレアの活動も非常に活発であった、2011年後期と同じレベルです。4月のフレアの活動を見ると、発生頻度ではCクラス以上のフレアが170回以上と、相応の大きな値を示しました。一方、解放エネルギーの大きなフレアに限って見ると、Mクラスのフレアが4回となり、過去2年間の月毎での黒点相対数やフレア発生数と比較すると、かなり低い値となりました。
 太陽観測所では、11日に太陽中心近くにあった活動領域11719で起きたM6.5 クラスのフレアを観測しました(下図上段, ムービーはこちら)。このフレアは4月に起きたフレアの中で最大のものでした。2リボン構造と呼ばれる Hα観測にて特に長寿命のフレアに特徴的な構造がよく見えます。
 もう一例、26日に活動領域11726において発生したC7.0 クラスのフレアを紹介します。活動領域11726は、その浮上後8日間でCクラス以上のフレアを54例起こしており、4月後半のフレア活動を特徴付ける活動領域でした。下図下段はこのフレアのピーク時の様子をHα複数波長にて観測したものです(ムービーはこちら)。小規模なHα増光を示すフレアに伴い大規模なガス運動が見られます。画像下向きの見かけの速度は130km/s程ですが、我々から遠ざかる方向にも30km/s程度で動いています。

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上段:11日に発生したM6.5クラスのフレア
下段:26日に発生したC7.0クラスのフレア(右図のドップラーグラムは青が近づく方向、赤が遠ざかる方向の運動を表す)

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国立天文台 太陽観測所

2013年03月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

3月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 3月の太陽活動は依然として低調でした。形状が複雑な活動領域が少なかったために、フレアの発生回数も多くなく、Cクラスが49回、Mクラスが3回程度となりました。黒点相対数は先月より若干増加したものの、 極大期に近い時期としては未だ低い水準を保っています。
 静穏な活動領域が多かった中で、活動領域11692は比較的活発な活動を見せていました。10日に東の縁から現れたこの活動領域は、太陽中心付近にいた15日にMクラスのフレアを起こしました。その後しばらくは静穏でしたが、西の縁に近づくにつれて再び活動が活発になっていき、19日から22日までにCクラスフレアを14回、Mクラスフレアを1回起こしました。下図は22日(日本時間)に発生したMクラスフレアの様子です(ムービー:輝度分布ドップラーグラム)。ポストフレアループと呼ばれるループ構造に沿ってガスが流れ落ちていく様子が見えています。また、その他に活動領域11698でも10回以上の小規模なフレアが発生しました。

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22日(日本時間)に発生したMクラスフレア
左図:輝度画像、右図:ドップラーグラム(黒が近づく方向。白が遠ざかる方向)

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2013年02月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

2月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 2月の太陽活動は極大に近い時期としては低調で、先月持ち直した黒点相対数も再び減少に転じ、2012年5月から11月の平均の6割程度となりました。個々の黒点の大きさも小さなものが多く、黒点群の複雑さも、正負ペアの磁極が南北半球毎の黒点磁極分布の大勢に従って東西方向に並ぶ素直なもの(β型)、ないし、単極の黒点で安定したもの(α型)、のみが見られました。結果、フレアの活動も低調で、Mクラスのフレアが1回、Cクラスが30回起きたに留まりました。
 2月に見られた興味深い現象として、ここでは10日に太陽の東の縁で発生した、ダイナミカルな運動を伴うプロミネンス噴出を紹介します(下図。ムービーはこちら)。フレア望遠鏡の太陽彩層全面像観測では、観測対象の視線方向速度を求める目的で、Hα吸収線近傍で波長を少しずつずらしながら撮像しています(観測波長の図)。我々に近づく方向にも遠ざかる方向にも速度40km/sを超える運動が見えており、プロミネンスの噴出が単なる一方向へのガスの流れではなく、複雑な磁場の変化と一体となった爆発的な現象であることを示しています。

ha20130210

10日に発生したプロミネンス噴出
左図:複数波長の観測データを足し合わせ、広い速度域に渡ってプロミネンスガスの速度によらないようにした輝度画像
右図:ドップラーグラム(青が近づく方向。赤が遠ざかる方向)

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国立天文台 太陽観測所

2013年01月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2013年の黒点相対数

1月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 1月の太陽活動は、大きな活動領域やプロミネンスが複数現れたために、活発な様子を見せました。太陽フレアはCクラスが103回、Mクラスが5回発生しています。黒点相対数も2ヶ月前の水準にまで戻りました。
 特に大きな黒点群だった活動領域11654は、現太陽活動周期の中でも最大規模のもので、その面積は地球の7倍、長さは地球の直径の19倍にもなりました。8日に北東の縁から現れたこの活動領域は、1週間かけてゆっくりと大きくなっていきました(下図)。この間にフレアを多数起こしています(ムービー:GIFWMV)。その後は活動も収まり、21日には太陽の裏側に回ってしまいました。黒点群が大きい割に大規模なフレアが起きなかったのは、黒点群の磁場分布がそれほど複雑ではなかったことが原因と考えられます。
 その他の活動としては、31日に南東の活動領域から大規模なフィラメント放出が起こりました(ムービー:GIFWMV)。

wl201301

活動領域11654の黒点群が進化していく様子

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過去の太陽活動 : 2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年