過去の太陽活動 : 2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
国立天文台 太陽観測所

2012年12月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

12月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 2012年12月の太陽活動は多くの活動領域が見られたものの比較的静穏だったと言えます。黒点相対数は2012年だけで比較すると最も低い水準でした(2012年の黒点相対数参照)。注視したいのは北半球に比べ南半球の黒点相対数が1/3ほどだったことです。このような傾向は黒点相対数が同様に少なかった2月と似ています。フレアの発生回数はCクラスが40回以上で、少ないとも言えない数でした。
 下図上段は、25日に活動領域NOAA11635をフレア望遠鏡で観測したHα線画像、He10830視線方向磁場画像、および黒点望遠鏡で観測した白色光画像です。複雑な形状の黒点周辺で小規模のフレアが多地点で起こっていることがわかります(ムービーはこちら)。この磁場構造はフレアの発生率が高いβγ型に分類されます。また、下図下段は、5日に東のリムで観測された静穏型プロミネンスで、しばらくダークフィラメント(Hα線画像でひも状の暗く見える部分)として観測されました(太陽の自転に伴って図の右斜め上に移動)。

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ha20121205 ha20121207 ha20121209

上段:活動領域11635の様子(左からHα線、He10830視線方向磁場、白色光)
下段:5日から9日までの大規模フィラメントの様子

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国立天文台 太陽観測所

2012年11月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

11月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 11月の太陽活動は活発で、黒点相対数は再び6月から9月のレベルまで戻しています。フレアの活動もまた活発でした。Xクラスのフレアは見られませんでしたが、Mクラスのフレアが13回、Cクラスが100回以上起きています。特に中下旬には順次太陽面上に出現した浮上活動領域(11613, 11618, 11620)がフレアを多数起こしました。
 下図上段は、これら3つの浮上活動領域の白色光での様子です。初めの活動領域11613では、もともと存在していた黒点のすぐ西側に新しい黒点群が浮上し、元の黒点との間でフレアを多数発生させました。次の2つの活動領域11618, 11620では、素性の異なる黒点同士がぶつかり>合う状況は同じですが、その全体が新たに浮上した活動領域でした。
 太陽観測所では、13日前後に発生した3つのMクラスのフレアを観測しました。下図下段は、活動領域11613で13日 05:50UTに発生した、M2.5クラスのフレアです(ムービーはこちら)。フレア上空で発生したフィラメント噴出が太陽の南>の縁まで達し、外側ではプロミネンスとして観測されるのが見て取れます。

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上段:活動領域11613, 11618, 11620の様子
下段:活動領域11613で起きた13日のフレアの様子

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国立天文台 太陽観測所

2012年10月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1年から3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

10月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 10月の太陽活動は、黒点相対数は減少したものの、依然活動的な状態が続きました。太陽フレアは、CクラスとMクラスの発生回数は先月とほとんど変わりませんでしたが、Xクラスが3ヶ月ぶりに発生しました。
 10月はさまざまなプロミネンス放出やフレアが観測されました。19日に観測されたプロミネンス放出は非常にゆっくりとしていて、約7時間掛けて太陽の表面から飛び出していきました(ムービー)。一方、22日に起きたプロミネンス放出は1時間半ほどで飛び出してしまいました。
 また、24日には活動領域11593と11598で発生したフレアを観測しました(ムービー:1159311598)。活動領域11593では規模の大きなフレアが1回、11598では規模の小さなフレアが複数回起きている様子が見られます。どちらの活動領域も、太陽の裏側に回るまで何度もフレアを発生させた活発な活動領域でしたが、特に11598では7月12日以来となるXクラスフレア(X1.8)が起きました。規模の大きな太陽フレアは地球に磁気嵐やオーロラを引き起こしますが、このXクラスフレアは太陽の東の縁に近い場所だったため、大きな影響を及ぼしませんでした。

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活動領域11593(左図)と11598(右図)の様子

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国立天文台 太陽観測所

2012年09月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

9月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 9月の太陽活動は先月同様、やや活動的な状態が続きました。黒点相対数(左図参照)も同様で、ここ5カ月ほど横ばいの状態が続いています。フレアの発生回数は、Mクラスが4回、Cクラスが100回以上でした。
 下図は、活動領域NOAA11564をフレア望遠鏡に搭載している高速高解像度カメラで観測した連続光とHα線の画像、および赤外マグネトグラフで観測したSi(シリコン)吸収線とHe(ヘリウム)吸収線の視線方向磁場の画像です。連続光とSi吸収線は光球を、Hα線とHe吸収線は彩層を観測しています。連続光画像では黒点が複雑に分布している様子がわかり、Hα線画像では小規模のフレアが複数地点で起こっていることがわかります。また、Si吸収線とHe吸収線の視線方向磁場の画像では活動領域が概ね双極構造(白がN極、黒がS極)であるものの、反対極性が入り込んだ複雑な形状をしていることがわかります。この磁場構造はフレアの発生率が高いと言われているβγ型に分類されています。実際、9月8日17時35分(UT)と9月9日21時50分(UT)に連続してMクラスのフレアを起こしました。また、9月6日4時6分(UT)にMクラスのフレアを起こした活動領域NOAA11560はβγδ型に分類されています(ムービーはこちら:活動領域11560活動領域11564)。

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Si20120904 He20120904

活動領域11564の様子。(上段左)連続光、(上段右)Hα線、
(下段左)視線方向磁場(Si 10827吸収線)、(下段右)視線方向磁場(He 10830吸収線)

国立天文台 太陽観測所

2012年08月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

8月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 8月の太陽活動は、黒点相対数は7月と変わらないものの、活発な活動領域は少なくフレアの発生回数は7月の半分程度でした。黒点の出現緯度は、7月は南半球に集中していましたが、8月は北半球と南半球で同程度となりました。
 8月は、フィラメントやプロミネンスに関連する現象がいくつか発生しています。7日には南半球のフィラメントが激しく揺らめいている様子が観測されました(ムービーはこちら)。このような運動はフィラメントが放出する前兆としてみられるもので、このフィラメントも次の日(8日)に放出されました。31日にも大規模なフィラメントの放出が起きており、これによって、数日後には地球で地磁気嵐やオーロラが観測されました。また、16日や26日にはプロミネンスが放出される現象も観測されています(ムービーはこちら:16日26日)。こちらは地球への影響は観測されませんでした。

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7日にとらえた放出前日のフィラメントの様子(左図)と16日、26日に起こったプロミネンス放出(中央、右図)

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2012年07月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

7月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 7月の太陽活動は複雑な構造を持つ活動領域が多かったこともあり、フレア活動が活発で、それに伴うCMEやエネルギー陽子の地球への飛来も観測されました。特に南半球では、活動領域11515で7月6日23:01UTにX1.1クラスフレアが発生し、活動領域11520では7月12日15:37UTにX1.4クラスフレアが発生していました。その他、Mクラスフレアが47回発生していました。
 7月10日は太陽観測所でMクラスフレアがM1.7 (04:58UT)、M2.0 (06:05UT)と2回連続観測され、フレアの発生するメカニズムの解明となると考えられ注目される現象です (ムービーはこちら)。この2連発のフレアを起こした活動領域11520は磁極性の入り組んだ複雑な構造をしていて磁場の持つエネルギー蓄積量が多かったので、その蓄積されたエネルギーを徐々にフレアの形で解放することで12日のX1.4フレアを含めて激しい太陽活動を行っていたと考えられます。下図は活動領域11520を黒点望遠鏡で観測した白色光像とフレア望遠鏡で観測した鉄15648吸収線を用いた光球の視線方向磁場です。N極が白、S極が黒を表しており、このような白と黒が隣り合いながら入り組んでいる構造の黒点はβγδ型と分類され、非常にフレア発生率が高い構造である特徴を持っています。

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7月10日の活動領域11520の様子。左図:白色光像。右図:光球面の視線方向磁場。

(画像をクリックすると太陽全面像が表示されます)
国立天文台 太陽観測所

2012年06月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

6月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 6月の太陽活動は先月に引き続き活発でした。規模の大きなフレアであるMクラスが16回、Cクラスが130回以上起こりました。黒点相対数は、これまで概ね南半球よりも北半球で優勢でしたが、今月はその関係が明らかに逆転し、南半球で優勢になりました。北半球と南半球の太陽活動の遅延は、ここ半世紀続いている現象です(左図参照)。このまま南半球の活動は北半球に数ヵ月から数年遅れてピークを迎え、減衰傾向になると予想されます。このような傾向は太陽活動を駆動する機構を解明するための手がかりになると考えられ、今後とも注目されます。
 下図上段は太陽観測所で6月1,15,30日に観測した白色光像です。この画像から、北半球に比べ、南半球の黒点数が多いことが分かります。下図下段は太陽フレア望遠鏡に搭載している高解像高速Hα線カメラで6月29日に観測したHα線中心、ドップラーグラム(Hα線中心±0.5Å)、連続光の画像で、リムに躍動的なプロミネンスが見られます。その右上の活動領域11515では、Cクラスフレアが見られ、フレア爆発後、噴出流がリム上でプロミネンスとして見えます。ドップラーグラムでは特にそれが上昇流(黒色)として見られます(ムービーはこちら)。

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上段:6月1日,15日,30日の白色光像(赤線は太陽の赤道。画像の上が太陽の北、左が東)
下段:6月29日の活動領域11515付近のHα線像(左:Hα線中心、中央:ドップラーグラム、右:連続光)

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国立天文台 太陽観測所

2012年05月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

5月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 5月の太陽活動は前半は黒点相対数が4月から増加し、活発でした。特に5月6日から5月18日に観測されていた活動領域11476は複雑な磁場構造を持っており、累計9回のMクラスフレアが発生していました。これらのMクラスフレアの中には、三鷹太陽フレア望遠鏡で観測されたものもあります。5月6日01:12UTに活動領域11476で観測されたM1.2フレアでは、Hα線のデータから爆発現象と共に発生した彩層におけるガスの噴出が確認できます(ムービーはこちら)。また下の図は三鷹で観測された白色光と光球の視線方向磁場強度による活動領域11476の構造の変化を表しています。この図から活動領域の磁場構造がフレアを起こす複雑な構造から徐々に単純な構造に変化している様子が分かります。
 後半の太陽活動は黒点相対数と共にフレアの頻度も落ち着き比較的静穏でしたが、全体的な黒点相対数のグラフをみるとこれからが太陽活動の極大期の時期にあたることがわかります。またこれまでの研究から、太陽周期の後期に大規模なフレアが発生することが多いため、今後の太陽活動にも注意が必要です。

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白色光(上段)と光球の視線方向磁場強度(下段)による活動領域11476の変化の様子

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国立天文台 太陽観測所

2012年04月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、緑線と青線は最近1周期における北半球(緑)と南半球(青)の変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。前太陽活動サイクルから今サイクルにかけて極小が深くまた遅れましたが、現在は太陽活動は順調に上昇しています。ここ半世紀にわたって北半球の活動が南半球より1〜3年先行する傾向が続いており、前サイクルでは北半球は2000年初めに極大となった一方、南半球では2002年初頭が極大で、またその後の極小も北半球が2008年初め、南半球が2009年前半でした。今サイクルでも特に異常はなく、現在既に極大に近い北半球に対して南半球は遅れて上昇しているという、全く従来と変わらない傾向が見られます。
→ 2012年の黒点相対数

4月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 4月の太陽活動は、黒点相対数は先月よりも減少しましたが、変わらずに活発でした。前半は特徴的な活動も少なく比較的静穏でしたが、後半(15日以降)は毎日フレアが発生していました。黒点の数は少なかったものの、活動的な黒点が多く発生したためだと考えられます。
 三鷹の太陽フレア望遠鏡では活動領域のフィラメントの運動とそれに伴う増光現象を観測しました。3月末、北東に現れた長いフィラメントを持つ活動領域11451は、自転によって太陽面に現れるにつれて、その活動度を徐々に増していきました。2日から6日にかけては、フィラメントの南端でガスがフィラメントに沿って流れている様子や放出されていく様子が見られます(ムービー : 2日6日)。また、フィラメントの周辺では何度か明るくなる現象も見られます。その後、この活動領域はフィラメントの大部分を消失してしまい、静穏な領域となりました。

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上段:2012年4月6日のHα線全面像(左図はHα線中心(波長6563Å)、右図はドップラーグラム(±0.5Å))。
下段:2012年4月2日,6日,9日の活動領域11451の様子。

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国立天文台 太陽観測所

2012年03月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2012年の黒点相対数

3月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 3月の太陽活動は、1月に活動的だった領域が太陽の自転に伴って地球側に現われたためか、活発でした。7日には、現在の太陽活動サイクル(サイクル24) で2番目に大きなX5.4フレアが活動領域11429で起こり、地球方向を向いていたため人工衛星などへの障害が懸念されましたが、大きな問題は報告されませんでした。黒点相対数は、2月よりも増加しているものの、ピークを過ぎて減少傾向になっているようです。引き続き今後の傾向が注目されます。
 下の左図は、3月12日に太陽観測所の高速高解像Hαカメラで撮影したHα線画像で、北半球に大きなダークフィラメントとプラージュ(活動領域11432, 11429)が見られ、南半球の東のリムには噴出型のプロミネンスが見られます(ムービーはこちら)。下の右図は、3月27日のHα線画像で、北半球の活動領域11444でフレア(最大C5.3)が見られ、その領域のドップラーグラム(Hα線中心±0.5Å)では、ガスの上昇(黒色)と下降(白色)が見られます(ムービーはこちら。左からHα中心, Hα中心±0.5Å, 連続光で、Hα中心で白く光っている部分がフレアカーネルです。その部分はHα中心±0.5Åで黒色に見えますが見掛上だけで、周囲の噴出物が上昇流と下降流です)。

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左図:2012年3月12日に観測されたプロミネンス噴出
右図:2012年3月27日に観測されたCクラスフレア

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2012年02月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2012年の黒点相対数

2月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 2月の太陽活動は、1ヶ月を通じて低調で、フレアはCクラスが29回、Mクラスは1回しか起きませんでした。黒点相対数も先月に続いて減少傾向で1年前の水準にまで下がりました。このまま太陽活動は下がっていくのか、それともまた活発になってくるのか、今後も継続した観測が重要です。
 10日に中心付近にあった活動領域11416では、黒点の形が変化していく様子とそれに伴う増光現象が観測されました(ムービーはこちら)。光球(ムービーの左図)では次第に左右の黒点の間隔が広くなったり、新しい黒点が現れたりするなど変化している様子が見られますが、これは太陽内部から磁場が浮上してきていることを表しています。
 その時、上層にあたる彩層(中央図)では、黒点の間をつなぐようなアーチ状の構造の中をガスが動いている様子が見られました。また、同時に観測されたドップラーグラム(右図)からはガスの上昇、下降運動も確認できます(黒い部分が上昇、白い部分が下降するガスの運動を表しています)。ガスが運動している間に、彩層では明るく輝く現象も幾度か見られますが、これは光球から浮上してきた磁場とその上空にあらかじめ存在していた彩層の磁場との相互作用で発生したと考えられます。

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2012年2月10日に観測された太陽
上段:Hα線全面像(左図はHα線中心(波長6563Å)、右図はドップラーグラム(±0.5Å))。
下段:活動領域11416の拡大像(左図は連続光、中央図はHα線中心、右図はドップラーグラム)。

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国立天文台 太陽観測所

2012年01月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2012年の黒点相対数

1月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 1月の太陽活動は、北半球が再び優勢となりましたが月平均の黒点相対数では昨年9月以来の少なさでした。一方フレアはCクラスのものが80回以上起こり引き続き活発でした。特に1月中旬北半球に出現した活動領域11401と11402は活発で、23日にはコロナ質量放出(CME)とともに大規模なプロトン現象を起こしたM8.7フレア、さらに27日にはX1.7の大フレアを起こしました。
 太陽フレア望遠鏡太陽全面Hα線像では1月5日に南半球にあった活動領域11389が起こしたフィラメント消失現象を観測しました(ムービーはこちら)。ドップラーグラムはHα線中心から±0.5Å離れた波長で観測され、黒い部分が上昇、白い部分が下降するガスの運動を表しています。この日の東のリムには巨大なプロミネンスもありました。こちらは活動領域と活動領域の間にある静穏なプロミネンスで、ゆっくりと消失しました。

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2012年1月5日に観測されたHα線画像(上段:全面像、下段:活動領域11389の拡大像)。左側はHα線中心像(波長6563Å)、右側はドップラーグラム(±0.5Å)を表しています。

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