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国立天文台 太陽観測所

2011年12月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

12月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 12月の黒点相対数は先月に比べ減少しましたが、太陽活動は活発でした。当月もフレアが多数回起こり、規模の大きめなMクラスフレアが8回、Cクラスフレアが50回以上起こりました。黒点相対数は、ここ一年以上にわたり太陽表面の北半球側に多い傾向がありましたが、今月は逆転して、南半球が多くなりました。今後、どのような傾向になるか注目されます。
 当月は、フレアが多数起こりましたが、プロミネンスの活動も活発でした。下図は太陽観測所の太陽フレア望遠鏡に搭載されている高速高解像Hαカメラで13日と23日に観測した画像です。13日には、規模の大きい噴出型プロミネンスが観測できました(ムービーはこちら)。23日には、3本の大きなダークフィラメントが見られ、25日にその中央の1本が消えてフレアを起こす現象が観測できました(ムービーはこちら。中央上の「三」に見える部分で、太陽の自転に合わせて右に動きます)。

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2011年12月に観測されたHα線画像
(左:噴出したプロミネンス、右:フレアを起こしたダークフィラメント)

(画像をクリックすると太陽全面像が表示されます)
国立天文台 太陽観測所

2011年11月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

11月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 11月の太陽活動はさらに活発になり、黒点相対数は引き続き今年の最高値を更新しました。黒点がより多く出現したのは北半球で、この傾向は2010年末から続いています。黒点数の増加に伴い、太陽フレアも数多く発生しました。特にCクラスフレアは毎日発生しており、合計でCクラスが171回、Mクラスが12回、Xクラスが1回発生しました。
 太陽フレア望遠鏡全面Hα線像は活動領域11356で多数発生する爆発現象を捉えました(ムービーはこちら)。ムービーでは東のリムから出てきたばかりのこの領域が中央付近へ回ってくる間の様子を示していますが、連続したフレアによるガスの噴出やフィラメントの放出が見られます。20日から23日までの4日間で16回のフレアを起こしたこの活動領域は、その後は活発な様子を見せず、太陽を横切って西リムから裏側に向かっていきました。11月はフレアが多く発生しただけでなく、他にも特徴的なプロミネンスやサージなどの活動現象が観測されています。その他の現象については、自動フレアパトロール望遠鏡のムービーをご覧ください。

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2011年11月24日の活動領域11356 (左:白色光、右:Hα線)

(画像をクリックすると太陽全面像が表示されます)
国立天文台 太陽観測所

2011年10月の太陽活動

solar cycle

 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

10月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 10月の太陽活動は引き続き活発でした。月平均の黒点相対数は先月と比べると、中旬に多くの黒点群が出現したので、わずかに上回り今年最多でした。Xクラスの大フレアは起こりませんでしたが、Mクラスのフレアが8回、そして123回のCクラスフレアが起こりました。
 太陽フレア望遠鏡太陽全面Hα線像では10月7日に西のリムにあった活動領域11305が起こした噴出現象を観測しました。彩層Hα線中心で撮られた像では、1日中何度もサージと呼ばれるジェット現象が繰り返されました(ムービーはこちら)。また、10月25日には東のリムで背の高いプロミネンスが見られました。このプロミネンスはこの日のうちに徐々に消えて、翌日には見えませんでした。さらに10月29日には西のリムで細く伸びた別のプロミネンスが観測されました。このプロミネンスも翌日には見えなくなっていました。

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2011年10月7日に何度も起こったサージ。左図:広範囲で起こったサージ(00:57UT)。右図:高く上がったサージ(04:59UT)。

国立天文台 太陽観測所

2011年09月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

9月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 9月の太陽活動は非常に活発で、黒点相対数は大幅に増加しました。フレアも活発に起こり、Xクラスフレアは4回、Mクラスフレアは20回以上、Cクラスフレアはほぼ毎日起こりました。
 活動領域11283は6日の22時12分頃と7日の22時32分頃(UT)にXクラスフレアを起こし、また、活動領域11302は22日の10時29分頃と24日の9時21分頃(UT)にXクラスフレアを起こしました。さらに、これらの領域でMクラスフレアが複数回同時期に起こり、それが地球方向を向いていたため、数日後に地球上で地磁気嵐が観測されました。活動領域11283と11302で起こったフレアの数は、今月起こった規模の大きいフレアの半数以上になります。また、このときの活動領域11302の黒点は、今期(サイクル24)で最大の面積を記録しました。
 下図は太陽観測所が観測した活動領域11283と11302のHα線と白色光画像です。活動領域11283では、黒点付近でフレア(Mクラス)が起こった様子が見られます。活動領域11302では、太陽の見かけの面積の百万分の1で換算した単位で1300程度に広がった大きな活動領域と黒点が見られます。

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上段:活動領域11283(右:白色光、左:Hα線;画像をクリックするとムービーが見られます)
下段:活動領域11302(右:白色光、左:Hα線;画像をクリックすると太陽全面像が表示されます)

国立天文台 太陽観測所

2011年08月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

8月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 8月の太陽活動は、黒点相対数は過去3ヶ月と同程度でしたが、1ヶ月の間に90回以上フレアを起こすなど先月に引き続き活発な様子を見せました。特に活動領域11261と11263は活発で、8月に発生したフレアのほとんどはこの活動領域で起きました。回数だけでなく、規模の大きなMクラスやXクラスのフレアも複数回起きています。
 活動領域11261では8月4日にM9.3のフレアが起きました。Hα線全面観測の画像から、光球(Ha+3.5Å)で見られる黒点の上空で明るく輝くフレアが起きているのが分かります。また、9日には活動領域11263で今活動サイクルで最大となるX6.9のフレアが発生しました。このフレアは、規模は大きかったものの太陽の縁で発生したため、爆発による地磁気への影響はほとんどありませんでした。

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左:M9.3のフレアを起こした活動領域11261
右:X6.9のフレアを起こした活動領域11263

(画像をクリックすると太陽全面像が表示されます)
国立天文台 太陽観測所

2011年07月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

7月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 7月の太陽活動は概ね過去2ヶ月と同程度のやや活発な状態が続いていましたが、月の終わりになって大きな活動領域11260・11261・11263が相次いで現れました。特に活動領域11260・11261はMクラスのフレアを発生しています。
 三鷹では7月9日にサージと呼ばれるジェット現象が観測されました。西のリムで05:20UTに始まったこの現象は特に大きく、たった12分で約20万kmもの長さに成長しました(ムービーはこちら)。つまり、このジェットが太陽の縁から外側に垂直に伸びたとすると、およそ秒速250kmで噴出したことになります。この現象の最後には太陽表面に戻っていく様子が見られます。

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左:7月30日の白色像。
右:7月9日のHα線像。サージの様子。

国立天文台 太陽観測所

2011年06月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

6月の太陽:白色光Hα線赤外線偏光

 6月の太陽活動は、5月下旬に躍動的だった複数の活動領域が6月になっても継続して見られたため、活発でした。6月下旬になると、黒点数は減り、太陽活動は静穏になりましたが、平均黒点相対数は、5月に比べて微増しました。今節の太陽は、活発な時期と静穏な時期を繰り返しており、活動の推移が注目されます。
 下図は6月に太陽観測所で観測されたHα線像です。左図と中図は、6日の同時刻に東と南のリムで発生したプロミネンスを拡大した図です(画像をクリックするとムービーが見られます)。6日は、他にも複数の地域でプロミネンスが見られました(Hα線撮像試験データ)。右図は日本時間7日15時過ぎに活動領域NOAA11226で発生したMクラスのフレアを拡大した図です(画像をクリックすると全体図が見られます)。このフレアによって、放射線嵐やコロナ質量放出が発生し、11日やその前後に地球上でオーロラが見られました。

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左:6日に放出されたプロミネンス(東リム)
中央:6日に放出されたプロミネンス(南リム)
右:7日に発生したMクラスフレア

(現象を強調するため太陽本体は黒く塗りつぶしてあります)
国立天文台 太陽観測所

2011年05月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

5月の太陽:白色光Hα線

 5月の太陽活動は全体的に静穏で平均黒点相対数も先月を下回りました。しかし、月後半になると大きな黒点群が現れ始めたり、25日に現れた活動領域11126が1週間で40回以上のフレアを起こすなど、太陽活動はまた活発になりつつあります。
 三鷹では2つのプロミネンス放出現象が観測されました。18日の太陽西側で観測された放出現象は、上空の高い位置に浮かんでいたプロミネンスがゆっくり上昇していくと同時にガスの一部が太陽へ落下していく様子が見られます(ムービー)。また、同日の東側に見られる大きなプロミネンスは、ガスを揺らめかせながら数日間安定して浮かんでいましたが(20日のムービー)、21日になって放出されました(21日のムービー)。

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左:18日に放出された太陽西側のプロミネンス
右:21日に放出された太陽東側のプロミネンス

(現象を強調するため太陽本体は黒く塗りつぶしてあります)
国立天文台 太陽観測所

2011年04月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

4月の太陽:白色光Hα線

 4月の平均黒点相対数は3月を少し下回りましたが、黒点群が次々と現れました。太陽活動は、多くのCクラスフレア (102回)が起きたり3回のMクラスフレアが起きたりと、活発な様子を示しました。
 三鷹で4月に観測された現象を2つ紹介します。1つは15日に北西のリムで起きたプロミネンス消失です。このプロミネンスは前日まで静穏型のプロミネンスでしたが、この日04:04UTに見えていた背の高いプロミネンスが観測再開後(05:45UT)では見えていません。この間に消失しました。もう1つは27日に起きた小さなフレア (NOAA 11201)です。発生当時は活動領域が生まれたてで黒点が観測されませんでした (位置はN17E57)。フレア開始前にフィラメント放出が起き、フィラメントの両側の足元が光り始め、明るい領域が徐々に広がっていきます。その後、急激な増光とともにこの両足元をつなぐような構造が現れました。最後には2本のリボン状の領域が残りました (フレアの様子、ムービーはこちら)。このようなフレアはツーリボンフレアと呼ばれています。ツーリボンフレアの後この領域では小さな黒点が出現しました。

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15日のプロミネンス。一番右の絵で南のプロミネンスが消失しています。画像をクリックすると拡大されます。

国立天文台 太陽観測所

2011年03月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

3月の太陽:白色光Hα線

 3月の平均黒点相対数は、先月に引き続き増加しており、現活動サイクル(第24活動周期)の最大値を大きく更新しました。GOES衛星の観測によると、今月もフレアレベルの中で最も高いXクラスのフレアが1回発生(世界時間9日23時22分)し、2番目にレベルの高いMクラスのフレアが21回発生しました。太陽観測所の観測でも躍動的な太陽が観測されており、太陽活動が活発になっていることが覗えます。
 下図左と中央は3月9日と3月17日に太陽観測所で観測されたHα線像で、フレアに伴うプロミネンス(ポストフレアループ)が見られ、放出されたガスがエネルギーを失い、彩層に落ち込む様子(コロナルレイン)が見られます。右図も同様にHα線像で、3月25日に黒点近傍で発生したフレアと、それに伴って繰り返しガスが噴出される様子(黒い筋状の現象)が見られます。

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左:9日の活動領域NOAA11165, 11170、中央:17日の活動領域NOAA11169、右:25日の活動領域NOAA11176の様子。9日と17日は見やすくするために太陽を黒塗りしています。それぞれの画像をクリックするとムービーが見られます。

国立天文台 太陽観測所

2011年02月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

2月の太陽:白色光Hα線

 2月の平均黒点相対数は、大きな黒点群が複数現れたため現活動サイクル(第24活動周期)の最大値を更新しました。また太陽活動も活発になっており、現サイクルで最初のXクラスフレアが発生しました。
 2006年12月以来となるXクラスフレアは2月15日に太陽中心付近にいた活動領域NOAA 11158で発生しました。前日から活発な様子を見せていたこの活動領域は、1度フレアを起こしたのち、01:40UT頃から急激に明るくなっていくと、01:56UTに最大光度に達し、その後は爆発を繰り返しながらゆっくりと暗くなっていきました。三鷹ではこれらの現象を連続して観測しています(ムービーはこちら)。また、フレアによってガスが噴出していく様子も観測されています。この吹き飛ばされたガスは惑星間空間を伝わり、3日後に地磁気嵐やオーロラを引き起こしました。この活動領域はその後も小規模なフレアを繰り返しながら20日には太陽の裏側へ消えていきました。

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Xクラスフレアを起こした活動領域11158 (左:フレア発生前、右:フレア発生時)の様子

国立天文台 太陽観測所

2011年01月の太陽活動

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 黒点相対数の変動(13カ月移動平均)。赤線は最近1周期における変動、黒線は過去の周期における変動を極小を揃えてプロットしたもの。今周期においては極小が深くまた遅れましたが、現在太陽活動が回復傾向にあることがわかります。
→ 2011年の黒点相対数

1月の太陽:白色光Hα線

 1月の平均黒点相対数は12月を少し上回る程度でしたが、太陽活動は前半には5回のCクラスフレア、後半には多数のフレア(Cクラス13回、Mクラス1回)やプロミネンス噴出現象を起こすなど、活発な様子を示しました。特に、21日には活動領域NOAA 11147や11149などで1日に7回Cクラスフレアが発生しました。
 三鷹では1月28日に起きた大きなイベントを2つ観測しています。1つは活動領域NOAA 11149で起きたM1.4クラスのフレア(最大01:03UT)です。このフレアを起こした領域は西のリムにあったためフレア自体は見えませんでしたが、フレア開始時に噴水のようにガスが吹き上がった後、ループが形成され成長していく様子が観測されました(ムービーはこちら)。もう1つは東のリムにあったプロミネンス噴出現象で、27日23:50UT頃から28日03:50UT頃にかけてゆっくりと噴出していく様子が観測されました(ムービーはこちら)。このプロミネンスが太陽のリムに垂直な方向へ等速で噴出したとすると、速度は15km/秒ほどです。

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   左:Mクラスフレアに伴う噴出が見えているHα線像
   右:プロミネンス噴出が始まった後のHα線像

(太陽のリム現象を強調するため太陽本体は黒く塗りつぶしてあります)
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