通常の交替では、大雪渓を雪上車に揺られ観測所に向かうこの時間、車内は重い空気につつまれる。3週間の監獄暮らしが待っているからである。それに比べ運転席の二人は妙に浮き浮きしている。明日は下山だからだ。そう言えば運転手は女衒のおじさんに見えなくもない。