領域情報ファイルの要素説明

対象となるファイルは、spotYYYYMMDD.txtおよびspotgroupYYYYMMDD.txt (ここでYYYYは年、MMは月、DDは日の整数) である。

P：太陽自転軸の傾き角 [単位は度]
B0：太陽面中央緯度 [単位は度]
L0：太陽面中央のキャリントン経度 [単位は度]
Radius：太陽半径 [単位は秒角]
Obs radius：CCD上での太陽半径 [pixel単位]
RMS：FITSデータsdYYYYMMDD.fts (#1) での太陽面の明るさの標準偏差 [10^(-4) I_c (#2) 単位]
North：北半球
South：南半球
Whole：全面
Center：中央領域 (中心を太陽面中央と同じくして半径が太陽面半径の1/2の円内の領域)

--- Observed Sunspot Parameters ---

No.：当日のスケッチでの個別黒点 (#3) の番号
position：個別黒点の中心位置の座標 [太陽面での緯度Lat (N, S) と中央子午線からの経度差Lon (E, W)。単位は度]
cos(t)：太陽面中央からの離角 tのコサイン
ap_area：見かけの黒点面積 [投影効果の補正無し. MSH (#4) 単位]
co_area：投影効果を補正した黒点面積 [MSH単位]
darkness：黒点の暗さ [-10^(-2) I_c 単位] (#5)
Group id：個別黒点が所属する黒点群の番号 (Observed Group ParametersのNo. と同一)

--- Observed Group Parameters ---
No.：当日のスケッチでの黒点群の番号
position：黒点群の位置代表点 (#6) の座標 [太陽面での緯度 (N, S) と中央子午線からの経度差 (E, W)。単位は度] 
Carr. Lon.：黒点群の位置代表点のキャリントン経度 [単位は度]
f：群内にある個別黒点数
center：黒点群が中心領域にあるか否かを表す：領域内にあれば1、領域外なら0。

--- Relative Sunspot Numbers ---
g：黒点群の数
f：個別黒点の数
10*g + f：黒点相対数 (補正係数k = 1)
Seeing：大気のゆらぎと透明度を考慮した太陽像の質 (1～5の5段階評価)

-----------------------------------------------------------------
(#1) sdYYYYMMDD.fts：周辺減光補正を行い太陽面中央付近の明るさで規格化された撮像データ

(#2) I_c：太陽面中央付近での静穏領域での1 pixelあたりの明るさ (カウント値) 

(#3) 個別黒点：
CCDで隣り合う2つ以上のピクセルの明るさがしきい値以下になるという基準で検出される。黒点検出のしきい値は、sdYYYYMMDD.ftsでの明るさの平均値miと標準偏差sd (RMSと同じ) を用いて以下の通り定義されている。

・半暗部：mi - (6.0×sd)・・・(a)
・暗部：mi ? (30.0×sd)・・・(b)

半暗部のしきい値以下のものはすべて黒点として数えるとともに、暗部しきい値以下のものは重複して計数に入れている。そのため、(a)のみを満たす黒点ではf = 1、半暗部の中に(b)を満たす暗部が1つある黒点ではf = 2となる。断り書きがないものは黒点検出のしきい値 (a) を満たす個別黒点、”Umbra only”は黒点検出のしきい値 (b) を満たした暗部のみを対象にしている。

(#4) MSH：太陽半球面積の100万分の1 (millionth of solar hemisphere)

(#5) darkness：個別黒点と同じ見かけ面積の静穏領域からの明るさの減少で黒点の暗さを表す。黒点部分の明るさの総和がX、黒点の位置にある静穏領域の明るさの総和がIであるとき、

darkness = {X ? I}/{-10^(-2)×I_c } 

で計算される。

(#6) 黒点群の位置代表点：
黒点群の中点の座標 [LatC, LonC] と重心の座標 [LatW, LonW] の平均値 

[(LatC + LatW)/2, (LonC + LonW)/2] 

で計算される。ここで、中点の座標は黒点群内で北端・南端の黒点の緯度値 (LatN, LatS) の中間点と東端・西端の黒点について中央子午線からの経度差値 (LonE, LonW) の中間点であり

[LatC, LonC] = [(LatN + LatS)/2, (LonE + LonW)/2] 

で計算される。重心は、群内にn個ある全ての個別黒点を対象にして、i番目の黒点の座標 [Lati, Loni] に荷重係数wi {投影効果を補正した黒点面積の平方根 (～直径)} をかけて 

[LatW, LonW] = [(w1×Lat1 + … + wi×Lati + … + wn×RLatn)/n, (w1×Lon1 + … + wi×Loni + … + wn×Lonn)/n] 

で計算される。上記の方法による黒点群の位置計算は、熟練観測者による黒点群重心の決定を再現できるように設定され、「中央領域 (Center) に入る黒点群」を判定するために用いる。