太陽活動世界資料室
太陽活動世界資料室 (Solar Activity World Data Center)
1957-58年の国際地球観測年(IGY)にあたり、国際学術連合会議(ICSU *)は観測データの流通・利用を促進するため、世界資料センター(World Data Center; WDC)のネットワークを作ることを提案しました。これに対応して日本では、東京天文台に大気光世界資料センター(WDC C2 for Airglow)、名古屋大学空電研究所に太陽電波世界資料センター(WDC C2 for Solar Radio Emission)などが設立されました。1969年からはまた、太陽光国内資料センターも東京天文台内に設置されました。これらの組織はIGY、IQSY(太陽極小期国際観測年:1964-65)、IASY(太陽活動期国際観測年:1969-71)などの国際観測事業経費により運営されましたが、常勤職員の配置はなされていませんでした。1975年に、国際測地学地球物理学連合(IUGG)は各国政府に世界資料センター維持の協力要請を行ない、これを受けた学術審議会、日本学術会議の議論を経て、1977年からWDCを運営する国内センターの整備が実施され、1977年に名古屋大学空電研究所太陽電波世界資料センター、1978年に東京大学東京天文台太陽活動世界資料センターの定員が措置されました。1979年には、それまでチューリヒ天文台が担当していた`Quarterly Bulletin on Solar Activity' (QBSA、太陽活動季報)の編集・発行を東京天文台太陽活動世界資料解析センターが引き継ぐこととなりました。QBSAはユネスコの補助により刊行される国際天文学連合の出版物です。この業務は、ICSU傘下の天文地球物理恒久事業連盟(FAGS†: Federation of Astronomical, Geophysical, and Data Analysis Services) が統括するいくつかのデータサービスの一つです。
太陽活動世界資料室はQBSAの編集局、太陽電波、大気光の世界資料センターを担当し、国内・国外の太陽活動観測資料や大気光観測資料の収集・整理・保管を行うとともに、編集・出版して内外の研究者に提供するなどの国際的資料サービスの業務を行っています。また、三鷹・乗鞍の太陽観測装置による太陽活動の長期間にわたるモニター観測の結果をデータベースとして維持・公開しています。
* ICSUは1931年にInternational Council of Scientific Unions(国際学術連合会議)として発足し、1998年にInternational Council for Science(国際科学会議)に改称されています。
† FAGSは2008年の世界科学データシステム(World Data System, WDS)の発足の際に、WDCとともにWDSに統合されました。