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国立天文台 太陽観測所(三鷹)将来計画

太陽周期活動望遠鏡

Solar Cycle Telescope

English / Japanese

 太陽は一見安定した不変の星のように見えますが、実はフレア爆発などを起こす激しい活動性を持っています。その活動には強弱があり、約11年毎に活動の盛んな状態(活動極大期)が巡って来ます。活動極大期にはフレア爆発の発生数が大きくなり、これが原因で地球では磁気嵐による電波通信障害や、多量の放射線による人工衛星のメモリー破壊が起こったりします。地球に降り注ぐ太陽の放射エネルギーも太陽の活動と共に僅かながら変化していて、地上の生体系への影響の定量的評価が大きな課題となっています。この周期性はまた時として乱れることがあり、17世紀には太陽の活動が異常に低く、地球の気候が寒冷な状態が50年以上も続いたことが知られています。太陽の周期的変動のメカニズムが解明されなければ、このような異常状態の再来を予測することは不可能です。
 太陽の活動レベルの周期的変動の原因は、太陽内部のプラズマの流れの発電作用によって生成される磁場であると理論的には予測されているものの、まだ確証がありません。太陽の周期的変動のメカニズムを実証的に解明するには、太陽の磁場とプラズマの流れの長期間にわたる高精度の観測が必要です。
 国立天文台・太陽観測所では、太陽の磁場・速度場の測定を高精度で長期間にわたって実施し、太陽の周期活動の駆動メカニズムを解き明かすために、「太陽周期活動望遠鏡」の建設を計画しています。この装置は、近年急速な進歩を遂げた赤外線検出器など新たな技術を投入し、岡山天体物理観測所のベクトルマグネトグラフや三鷹の太陽フレア望遠鏡で培った磁場観測の技術をさらに発展させたものです。ゼーマン効果の感度は波長が長いほど高くなるために、波長1.56ミクロンの赤外線領域のスペクトル線を用いてこれまでにない観測精度を目指しています。プラズマの流速の測定についても、ガス吸収セルや安定化レーザーを波長基準に使用することにより、従来の装置より格段に高い精度を実現します。

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button 赤外線1.56μmでの磁場試験観測(京都大学飛騨天文台、1999)
konicobs
button ヨウ素ガス封入セルの試験観測(京都大学飛騨天文台、2003)
i2cell profcell
button 強誘電性液晶偏光変調子の実験と偏光スキームの検討(2003)
polscheme
button リンク
SOLIS (Synoptic Optical Long-term Investigations of the Sun)
International Solar Cycle Studies
Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC)
NOAA Paleoclimatology Program
Past Global Changes (PAGES) Program
NASA Global Change Master Directory
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最終更新日: 2004年06月03日