§21 太陽物理部にあって

 乗鞍コロナ観測所の母体となった東京天文台太陽物理部は,太陽コロナの試験観測が行われていた頃は,太陽係としてその陣容は10名であった。 昭和24年(1949)国立学校設置法の公布によって新しい大学制度が定められ,東京天文台は東京大学の附置研究所となり,台内の部課制機構の発足によって,太陽物理部として太陽面現象・彩層・コロナ・食の4研究課をもった。 昭和30年(1955)に天文台の部門増として太陽面現象部門(後の太陽物理部門)の新設が認められた。

研究観測用の設備や項目
1)20cm赤道儀(カールツァイス社)1939~現在:黒点・白斑の実視観測
   附属のシュタインハイル赤道儀(1911~現在)白色光の太陽面写真観測
2)分光太陽写真儀(スペクトロ・ヘリオグラフ:テッファー社)1909~1974:K線単色像の写真観測
3)太陽彩層実視観測装置(スペクトロ・ヘリオスコープ:日本光学)
  1947~1967:Hα線によるフレア・紅炎・暗条等の彩層内の監視
  1967以降は光電測光用に改造してフレア・サージ・紅炎の変化の記録
4)Hα線単色太陽写真儀(モノクロマティック・ヘリオグラフ:セカシ社)
  1957~現在:Hα線による太陽単色像の連続写真観測
5)Hα線単色太陽写真儀(日本光学)
  1976~現在:Hα線(狭帯域)による太陽活動域の微細構造の写真観測
6)日食観測:スワロフ島(南太平洋:1958),ラエ(ニューギニア:1962)
       ペルー(南アメリカ:1966),モーリタニア(北アフリカ:1973)
       オーストラリア(オーストラリア南部:1976),ケニア(東アフリカ:1980)
       ジャワ島(インドネシア:1983)などに参加
7)ロケット利用による観測:1971973975の太陽真空紫外分光測光器による観測
8)気球による観測:
  1971~ 5400Å付近の連続光による太陽粒状斑・黒点・白斑の写真観測
9)岡山・クーデ型太陽望遠鏡:1976~現在 太陽磁場の観測
10)太陽活動世界資料解析センター:1978~
11)真空紫外領域分光装置:1971~(後の分光部)
12)塔望遠鏡:1928~
13)科学衛星「たんせい4号」:1980~ 「ひのとり」:1981~1982によるフレアの観測
乗鞍に於て観測業務を行う以外に,上記の研究観測用器材を使用しての観測,機器の開発や各種測定機及び電子計算機などによる資料の解析整約を行っている。