ホ.雪上車に関する事項
乗鞍に観測所が出来て17年,観測所員の平均年齢も年毎に高まる一方で,冬場における人夫雇上げにも時代の変化に伴う困難さがあらわれ,近い将来何とかしなければと真面目に考えたものである。一方南極に於ては時の流れに乗って外国産,国産と雪上車が活躍して居り,国内でもNHKや各地のスキー場などで使用されるようになった。そこで,乗鞍でも導入出来ないものかと考え,極地研究所に村山雅美氏を訪ね相談の結果,国産車では乗鞍は乗り切れないから,外国産の中から選んだ方が良いとの指導を受けた。従ってスノートラック(スウェーデン)・スノーキャット(アメリカ)及び国産車などについて細かく調査した結果,やはり国産車では自信がなく,スノートラックはキャタピラが2枚で硬質ゴムであり,凸凹の多いところや氷層上では十分な活動が出来ないと判定,スノーキャットに的を絞って予算要求をした。そして予算が着くまでにはいろいろ曲折があったが,宇宙線とコロナの共用ということで,昭和41年 9月28日に第1号が入り,同年11月24日試運転の上,12月 1日施行として内規を作り運用となった。
昭和50年12月22日に更新(2号)をして1号と同型のものが,昭和60年10月 5日には再更新(3号)として新型が入った。
昭和41年 9月28日 1号入る
〃 11月24日 試運転
〃 12月 1日 内規によって運用開始
昭和45年 1月 9日 メタル焼付く
〃 2月16日 振子沢で故障-3月3日
昭和46年12月22日 故障
昭和50年12月22日 更新により2号入る
昭和54年 1月26日 故障
昭和56年 5月13日 キャタピラ軸折れる
昭和59年 4月22日 後輪シャフト折れる
昭和60年10月 5日 更新により3号入る
雪上車使用内規 宇宙線観測所・コロナ観測所
1.免許証(特殊免許)を有しない者は絶対に使用することはできない。
2.原則として宇宙線観測所一位ヶ原間の観測・及び機材・人員,その他の輸送に使用
する。
3.使用する場合予め責任者の承認を要する。
4.使用の前後確実に点検整備を行い,所定の記帳を行なう。
5.天候地形(積雪状況)コースの選定等を考慮し事故なきよう万全をきす事。
6.特殊な機材輸送その他の目的のために宇宙線観測所一位ヶ原以外に使用する場合は
予め所長の許可を要する。
附則 この内規は昭和41年12月 1日から施行する。
*昭和42年12月 7日 一部改正
改正箇所 宇宙線観測所一位ヶ原を宇宙線観測所-冷泉小屋に
*昭和43年11月 4日 一部改正
改正箇所 宇宙線観測所-冷泉小屋を 宇宙線観測所-黒い沢に
雪上車 1号・2号 3号 会社名 タッカースノーキャット社 タッカースノーキャット社 取扱会社名 K.K. パティネ商会 K.K. パティネ商会 名称型式 SNO-CAT 443-A SNO-CAT 1500 全 長 4.8m 4.7m 全 巾 1.9m 2.44m 全 高 2.24m 2.3m キャタビラ巾 45cm 70cm 車両重量 1.675~1.900kg 2.850 ~ 2.950kg 定 員 8名(or750kg) 10名(or860kg) 接地圧 0.055~0.0735kg/cm2 - 索引力 1.360kg - エンジン クライスラー水冷4段32-115HP クライスラーV8 変速段数 前進4段 後退1段 前進4段 後退1段 最大出力 115HP 155HP 総排気量 4.343cc 駆動方式 前後輪駆動式 最高速度 24km/h 登坂能力 クラスト42° 50cm沈下 30°~ 32° 最大安定傾斜度 38° 回転半径 5.4m 燃料消費率 1.7 ~ 3.4km/L 〃タンク容量 約 133L ボディー 軽金属 キャタビラ特徴 金属四輪 誘導輪 金属