§15 気象の観測と記録
気象の観測については,その折の山の天候状態を東京で把握しておきたいこと,太陽観測上の裏付けとしたいこと,また,日本では富士山測候所につぐ高地常住という環境にあることで,山岳気象の観測として天気(過去・現在),気温(現温・最高・最低),気圧の変化(59年中止)風向,風速を一日2回観測し略号に置き替えて昭和25年 2月10日から実施した。
其の後,昭和27年12月と昭和39年 7月,そして昭和50年 7月に一部略号型式の変更を行い現在に至っている。
一方,山麓の鈴蘭連絡所では,昭和45年より観測を始め,山頂との交信時に通報し,山頂より一括東京に連絡することとなった。
この気象観測に使用する機器としては微々たるもので,その殆どが目視的であり,信用度からすれば薄いものであることはいなめないが,長年の観測経験によって得られた資料としては,各方面からの利用申込依頼もあり,今後は気象観測機器を充実し,測定精度を向上させてそれらの要望にも答えたいと思っている。
一時資料の整理集計を行った(○中部山岳国立公園・乗鞍地区学術調査報告・乗鞍の気象-森下・日本自然保護協会調査報告36号.○乗鞍コロナ観測所における観測環境(気象的)について-東京天文台報(第56号)第15巻第1冊)。今後乗鞍岳と乗鞍高原の気象の形で,一層利用度の高いものとするための再集計を行いつつある段階である。