国立天文台・乗鞍コロナ観測所 共同利用観測報告書 利用者氏名 : 綿田辰吾        所属 :東京大学地震研究所 観測テーマ: 高地における連続微気圧観測 利用期間:2005年7月 2日 〜10月11日 (観測実施日数 83日) 旅費の出所:■ 国立天文台共同利用旅費 □ 国立天文台関係の科学研究費       □ 利用者自身の負担    □ 観測所職員旅費(国立天文台職員の場合) 使用機器: □ 25cmコロナグラフ □ G1焦点 □ G2焦点 □ 直接像 □ CCD □ ポラリメータ □ 計算機 ■その他(持ち込み機器など)微気圧計測装置 観測の目的、方法、今後の解析方針を簡単に記して下さい。 地球大気中には太陽と同じく、対流圏・成層圏に捕獲された音波モードが存在すること が理論的に予言されている。本研究はその音波モード(およそ300秒)を、高感度 圧力変動計測から直接検出することを目的としている。 平成16年夏から平成17年夏まで、乗鞍観測所内に設置した空気電池駆動による 微気圧測定装置により連続観測に成功した。平成16年夏から平成17年夏までの連 続観測による、1-10mHz帯域の大気圧変動のパワースペクトルは、台風をのぞき、 冬季のパワーが大きいのは冬季の風速が概して大きく、高地でも低地と同じく 冬季にパワーが大きくなることが確認された。また、数観測点での越冬観測から、 冬季に10パスカルを超える大振幅の大気重力波が頻繁に観測されることがわかった。 重力波の発生前後では明瞭に大気擾乱パワーが変化しており、そのときの天気図を 調べると重力波の発生前後では荒れた天候から静穏な大気圧変動へ移行している ことから、異なる気団が山岳地域を移動するときに発生する山岳波と推定される。 平成18年夏季は、高感度圧力計を複数点に配置し、圧力波形の相互相関計測から 波動の性質(音波・重力波)を判定する予定である。 今後も同一テーマで当観測所を利用する予定がありますか?   ある 観測所に対する意見、希望など: 山崎氏・加藤氏には大雨のためエコーラインが三本滝から上が通行止めの になったとき、三本滝まで降りていただいて荷物を天文台ランクルへ移して 荷揚げを手伝っていただいた。また、西野さんには観測所内のLANと接続して いただき、衛星LAN経由で機器の動作状況が確認できたいへんたすかりました。 ありがとうございました。