国立天文台・乗鞍コロナ観測所 共同利用観測報告書 利用者氏名 綿田辰吾               所属 東京大学地震研究所        木挽俊彦   国立天文台 観測テーマ: 高地における連続微気圧観測 利用期間:2003年 8月 11日 〜  9月 30日 (観測実施日数 51日) 旅費の出所: ■ 国立天文台共同利用旅費   □ 国立天文台関係の科学研究費         ■ 利用者自身の負担      ■ 観測所職員旅費(国立天文台職員の場合) 使用機器:   □ 25cmコロナグラフ    □ G1焦点    □ G2焦点         □ 直接像         □ CCD         □ ポラリメータ         ■ 計算機         ■ その他(持ち込み機器など)微気圧計測 観測の目的、方法、今後の解析方針を簡単に記して下さい。 地球の大気中には数分から十数分の周期を持つ重力波と音波が存在している。重力波は 地表での圧力変動や散乱電波のドップラー変動からその存在が確認されている。一方、 長周期の音波は地球熱圏にくらべ低温の対流圏、成層圏、中間圏にエネルギーが捕獲 された状態で存在することが理論的に予言され、これまでの乗鞍コロナ観測所での 連続観測から音波と重力波の周波数帯域とそれらが存在しない禁止帯域が圧力変動 パワースペクトル中に明瞭に観測された。また重力波孤立群の分散現象が捕らえられた。 音波の個々モードに対応するスペクトルピークは同定できなかった。微気圧連続観測では、 大気中の長周期音波モードを圧力変動として世界で初めて捕らえることを目的とする。 理論上、高地での音波モードの大気中のエネルギー振幅分布は地表に節を持ち、 高所に行くほど急激に増大する。そのため、3000メートルに近い乗鞍コロナ観測所に 大気圧の100万分の1まで計測できる高感度微気圧計を設置し、また長期間のデータの スペクトル解析によりS/Nの向上を測る。微気圧計測システムは制御・記録を行うPC、 データ転送用の携帯電話モデム、携帯電話アンテナ、微気圧計、GPSアンテナ、 無停電電源装置からなる。重力波の伝搬を直接観測するため、宇宙線研究所乗鞍観測所にも 同様の計測システムを設置し、同時連続観測により音波モード検出の同定を確実にし、 重力波の複数点観測からその分散性を測定する。 今後も同一テーマで当観測所を利用する予定がありますか?   ある  観測所に対する意見、希望など: 共同利用者である天文台木挽技官には、共同利用観測に関する連絡と通行証の申請・発行の 手続きを行っていただきました。熊谷助手にはドーム下倉庫での電源不調を調査・復旧 していただきました。篠田技官にはコロナ観測所内のPCを借用させていただきました。 西野助教授にはドーム前駐車場での脱輪復旧をお手伝いいただきました。 ありがとうございました。