コロナ観測所 共同利用観測報告書


利用者氏名    : 内山明博      所属  : 気象庁気象研究所
              :  山崎明宏                  :  同上
              :  戸川裕樹                  :  同上

観測テーマ: 分光直達日射計の検定 

利用期間:2001年 7月 23日 ~  8月 31日 (観測実施日数40日)

旅費の出所: ■ 国立天文台共同利用旅費   □ 国立天文台関係の科学研究費
             ■ 利用者自身の負担         □ 観測所職員旅費(国立天文台職員の場合)

使用機器:      □ 25cmコロナグラフ      □ G1焦点             □ G2焦点
                □ 直接像
                □ CCD
                □ ポラリメータ
                □ 計算機
                ■ その他(持ち込み機器など)

観測の目的、方法、今後の解析方針
 直達分光日射計の検定を行うために、晴天日に太陽直達光の分光観測を行う。
検定のために、大気が安定している晴天日に、大気路程が違う状態で太陽直達光を
測定し、データ取得する。取得されたデータから大気圏外の太陽入射エネルギーが
入力した時に対応する日射計の出力を外挿する事によって推定し、検定定数
(機械定数)を決定する。このような方法により、直達日射計を検定するには、
大気が清澄で且つ変化が小さい場所で行う必要がある。このため大気境界層の上で
ある高度3000m級の高山で行う。
 観測期間中に得られたデータの内から検定に使えるデータを選び出した。
その結果、7月30日、8月13,14,16,17,18,23日のデータが使えることが分かった。
これらの日のデータを使って直達分光日射計の大気の窓の波長域で検定を行った。
その結果、波長1μm以下では検定定数のばらつきが0.1%以下(標準偏差/検定定数)、
波長1μm以上ではばらつきが0.3%以下と精度良く決定できた。これらのことより、
限られた波長であるが、検定定数を決定するためのデータの取得が乗鞍コロナ
観測所で可能なことが分かった。
 今後は、検定定数の経年変化がどれくらいあるか調べることと、波長1μm以上では、
検定定数を決める際、どの日にも同じような誤差の時間変化が見られるのでその
原因を明らかにすることで検定精度の向上を図る。また、検定された直達分光日射計
を用いて、大気の透過率を求め、エアロゾルの光学的厚さ、気柱水蒸気量の推定を
行う。

今後も同一テーマで当観測所を利用する予定がありますか?   ある

観測所に対する意見、希望など: 
 平成13年度は、夏季の期間観測を行ったが、次回は可能ならば、秋季(移動性
高気圧が通過する晴天日)に観測を行うことを希望します。