1958年10月12日 スワロフ島日食

(詳細(日食帯など)(仮))
1.観測日:
1966年10月12日
第1接触 18 h 43 m 44.4 s UT, 第2接触 19 h 55 m 6.2 s, 第3接触 19 h 57 m 52.9 s, 第4接触 21 h 18 m 50 s
2.観測場所:
南太平洋クック諸島スワロフ島
西経163°6.3′,南緯13°14.7′海抜4 m (現地で水路部班が天測で求めた値)
3.天候:
第2接触の約1分後まで完全に晴れていたが、その後は薄い雲が流れ出し、第3接触も薄雲の中で撮影ができた。
   その後雲が厚くなった。測光用キャリブレ―シォンは第1接触前後で済ませ、第4接触前後でも行う予定であったが、雲に阻まれできなかった。
4.メンバー:
末元善三郎,日江井榮二郎,清水 実,山下泰正,田鍋浩義,加藤 正,橋本 勇
5.観測項目:
1.コロナの偏光観測
  • 目的:コロナの輝度と電子密度の測定
  • 装置:
    • 4連カメラ(D=10.55cm、f=228cmおよびD=6.7cm、F=30cm、赤道儀)
    • ポラロイド板,6200 Å干渉フィルター
  • 内容:45°ずつ偏光面の異なるポラロイド板を用い、内部コロナおよび外部コロナ(40Rまで)の偏光写真を撮影
  • 担当:清水、山下
2.分光観測(フラッシュスペクトル)
  • 目的:光球・彩層・コロナおよびその遷移層の解明
  • 装置:30cmシーロスタット、20cm反射回折格子、水平カメラ(F=300cm)
    新たに斜入射方式を採用
  • 内容: 分散度2 Å/mmで毎秒1コマの連続撮影
  • 末元、日江井、橋本
3.黄道光と夜光の観測
  • 目的:外部コロナから黄道光への移り変わりの解明
  • 装置:30cmシーロスタット、20cm反射回折格子、水平カメラ(F=300cm)
    新たに斜入射方式を採用
  • 内容:分散度2 Å/mmで毎秒1コマの連続撮影
    • 赤青フィルターと偏光板を装着した光電子倍増管で皆既中の空を観測し、オシログラフに自記させる。
    • 皆既食中の夜光を調べるため、リオフィルターを用いて5577Åのオーロラ線とナトリウムD線の絶対強度も自記させる。
  • 担当:田鍋、加藤
  • その他:タイム(加藤)、機械(橋本)
4.京都大学隊(3名)
  • 内容:分光観測
    30 cmシーロスタットとf=3 mのカメラを使い,フラッシュスペクトルとコロナの分光観測を行った。
5.東北大学隊(4名)
  • コロナのF、K分離
  • CaⅡ線による単色像の撮影と、スペクトル撮影
  • 地磁気の測定
  • 地磁気の脈動(周期30秒)の日食効果検出と、磁場の日変化に対する日食の影響の検出
6.水路部(3名)
  • 接触時刻の測定
  • 実視法,写真法,光電法それぞれの精度比較
  • コロナの直接像の撮影
  • ※水平カメラ(f=220 cmおよびf=50 cm)使用
6.旅程
  • 1958. 8.25 東京竹芝桟橋から北海道大学水産学部の練習船おしょろ丸(616トン)で出発
  • 1958. 9.23 スワロフ島到着
  • 1958. 9.24 観測地整備,荷揚完了
  • 1958. 9.25 ピアのコンクリート打ち,観測用テント設営完了
  • 1958. 9.27~10.8 観測機器セット完了
  • 1958.10.9~11 観測予行演習
  • 1958.10.12 日食観測
  • 1958.10.18 スワロフ島出発
  • 1958.10.28 ホノルル着
  • 1958.11.22 帰国
  •  
7.フォトギャラリー
8.参考文献
 <観測一般について>
大沢清輝:本年10月12日の皆既日食 天文月報1958年9月号,166p
月報アルバム:スワロフ島への出発 天文月報1958年10月号,196p
表紙写真:スワロフ島の日食観測団テント村の夜景 天文月報1958年11月号
東京天文台・日食観測隊:スワロフ島だより 天文月報1958年11月号,210p
月報アルバム:スワロフ島の日食観測団 天文月報1958年11月号,216p
表紙写真:スワロフ島皆既日食の際の太陽コロナ 天文月報1958年12月号
末元善三郎:日食観測隊だより(Ⅱ) 天文月報1958年12月号,228p
月報アルバム:スワロフ島だより(Ⅱ) 天文月報1958年12月号,233p
秦茂:思いでの日食遠征⑦ペルー日食(1966年) 日食情報1988年No.1,26p
表紙写真:スワロフ島皆既日食の際の閃光スペクトル 天文月報1959年2月号
表紙写真:スワロフ島皆既日食の際の偏光写真 天文月報1959年4月号
日江井榮二郎:1958年の日食観測 太陽は23歳!?,1p,岩波書店,2009
日江井榮二郎、山下泰正:1958年スワロフ島皆既日食
藤田良雄:本年中におこる二つの日食について 福井県博物館同好会会報、5巻、5p、1958
中桐正夫:ニューギニア・ラエ日食記録映画発見 アーカイブ室新聞7号,2008年5月9日
中桐正夫:1958年スワロフ日食時のスワロフ島海図発見 アーカイブ室新聞21号,2008年6月12日
中桐正夫:スワロフ日食(1958年10月12日)記録写真のデジタルアーカイブ アーカイブ室新聞91号,2008年11月6日
中桐正夫:1958年スワロフ日食観測隊のスライド 312 枚を収蔵 アーカイブ新聞943号,2016年7月7日
中桐正夫:1958年スワロフ日食の清水実氏の写真-その1-アーカイブ新聞974号,2016年11月11日
中桐正夫:1958年スワロフ日食の清水実氏の写真-その2-アーカイブ新聞976号,2016年11月22日
中桐正夫:1958年スワロフ日食の清水実氏の写真-その4-アーカイブ新聞978号,2016年11月29日
中桐正夫:1958年スワロフ日食の清水実氏の写真-その5-アーカイブ新聞979号,2016年11月29日 <観測隊員について>
日江井榮二郎:追悼-見事な一生を過ごされた末元先生 天文月報1992年6月号,269p<
中桐正夫:橋本 勇さんの退職記念写真 アーカイブ新聞966号,2016年9月14日
渡部潤一:追悼 田鍋先生を偲んで 国立天文台ニュース2016年12月号,49p
<年次報告・ほか>
皆既日食観測行:東京天文台年次報告1958,56p
東京天文台年次報告1959,21p,29p
東京天文台年次報告1960,21p,28p
東京天文台年次報告1961,27p,35p
斉藤国治・篠沢志津代:明治以降わが国の天文および地球物理学者がおこなった日食観測の記録(総合報告) 東京天文台報14巻No.1,1966
<論文>
斉藤国治・清水実・山下泰正:1958年10月12日の皆既日食における太陽コロナの偏光写真観測の予備報告 東京天文台報12巻No.3, 306p, 1960.
Z. Suemoto and E. Hiei: Flash spectrum by the grazing incidence method at the total solar eclipse of October 12, 1958, Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.11, No.2, p.122, 1959.
Z. Suemoto and E. Hiei: Observation of the flash spectrum at the total solar eclipse of October 12, 1958, Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.14, No.1, p.33, 1962.
E. Hiei: Continuous spectrum in the chromosphere, Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.15, No.3, p.277, 1963.
K. Saito and Y. Yamashita: Polarigraphic observations of the solar corona at the total eclipse on October 12, 1958 in the Southern Pacific, Annals of the Tokyo Astronomical Observatory, 2nd series, Vol.7. No.4, p.163, 1962.
H. Tanabe and T. Tohmatsu: Observation of day airglow during the solar eclipse, Report Ionosph. Space research in Japan, Vol.13, No.4, p.290, 1959.
E. Hiei: A model of the coronal condensation, Journal of the Physical Society of Japan, Vol.17, Suppl. A-Ⅱ, p.227, 1962.
Z. Suemoto: Turbulence in the chromosphere, Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.15, No.4, p.531, 1963.
T. Hirayama: Solar quiecent prominence and the energy balance, Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.16, No.2, p.104, 1964.
Z. Suemoto: A new model of the chromosphere, Proceedings of Japan Academy, Vol.39, No7, p.463, 1963.
<天文学会講演><
田鍋浩義:日食観測船おしょろ丸船上における夜光観測 日本天文学会1959年春季年会
田鍋浩義・等松陸夫:日食時における airglow 観測 日本天文学会1959年春季年会
斉藤国治・清水実・山下泰正:スワロフ島皆既日食における太陽コロナの偏光写真観測 日本天文学会1959年春季年会
末元善三郎・日江井栄二郎:斜入射法による閃光スペクトル 日本天文学会1959年春季年会
末元善三郎・日江井栄二郎:彩層の徴細構造について 日本天文学会1959年春季年会
末元善三郎・日江井栄二郎:閃光スペクトルで見られるコロナ輝線 日本天文学会1959年春季年会
田鍋浩義:スワロフ島におけるコロナの偏光観測 日本天文学会1959年秋季年会
日江井栄二郎:閃光スペクトルで見られるコロナ輝線(Ⅱ) 日本天文学会1959年秋季年会
末元善三郎:彩層輝線の輪郭 日本天文学会1959年秋季年会
日江井栄二郎:コロナのコンデンセイションに於ける強度変化 日本天文学会1960年春季年会
斎藤国治・山下泰正:スワロフ白食におけるコロナの輝度と偏光〈中間報告〉日本天文学会1960年秋季年会
末元善三郎・日江井栄二郎:彩層の連続スペクトル 日本天文学会1960年秋季年会
斎藤国治・山下泰正:1958年10月12自の皆既日食における太揚コロナの輝度と偏光 日本天文学会1961年春季年会
日江井栄二郎:彩層の連続スペクトル(Ⅱ) 日本天文学会1961年春季年会
末元善三郎:彩層の構造 日本天文学会1961年春季年会
日江井榮二郎:彩層の連続スペクトル 日本天文学会1962年秋季年会
平山 淳:日食で撮れた紅炎のスペクトル 日本天文学会1963年春季年会<
平山 淳:日食で撮れた紅炎のスペクトル(Ⅱ) 日本天文学会1963年秋季年会