観測地

モーリタニア国・イスラム共和国、アタール(Atar)
(西経13度02分53秒 、北緯20度30分16秒)
(天文測量による)

観測者と遠征計画

  • 守山史生
  • 日江井榮二郎
  • 徳家厚
  • 宮崎英昭
  • 石井明(医師:東大医科学研究所)
  • 京都大学
  • 緯度観測所
  • 水路部
1970年1月日本学術会議天文学研究連絡委員会日食分科会で、観測計画の検討が始まる。
1971年東京天文台の観測を、コロナ微細構造の偏光観測と、彩層微細構造の分光観測に選定。
1972年5月日江井がマドリッドで開催されたCOSPAR主催の日食関係者会議に出席。
        帰路、モーリタニアで現地状況の調査を行う。
1972年古畑正秋天文台長の方針で、日食の出張観測は分光部に代わって太陽物理部が行うことになる。
1972年8月アクジュジュトを観測地にしたいという希望をモーリタニア日食委員会に伝える。
1972年10月モーリタニア日食委員会から、アクジュジュトではなくアタールでとの連絡が入る。
1972年秋~年末観測要領の引継ぎを行う。
1973年1月機材をコンテナに収納
1973年3月機材がフランス郵船のSURCOUF号で横浜を出発。
1973年5月機材がセネガルのダカール港到着
1973年5月15日先発隊出発。16日、ダカール着
1973年5月19日後発隊出発。20日、ダカール着
1973年5月21日観測隊、モーリタニアのヌアクショット着。
1973年5月24日京大、緯度観測所、水路部の隊員は、機材受け取りのためアタールに向かう。
東京天文台の隊員は、通関交渉、帰路の機材運搬打ち合わせのため残る。
1973年5月28日東京天文台の隊員、アタールに出発。
1973年5月29日~機材開梱。設置準備。
1973年5月31日~基礎のコンクリート打ち開始。
1973年6月26日~砂塵に悩まされながら機材操作練習。
1973年6月30日皆既日食(砂嵐)
1973年7月1日~撤収開始。
1973年7月4日京大、緯度観測所、水路部の機材収納完了。隊員はヌアクショットに出発。
1973年7月5日東京天文台の機材も含め、トラックでダカールに出発。
1973年7月6日東京天文台の隊員、ヌアクショットに出発、到着。
1973年7月7日ヌアクショット出発。ダカール着。
1973年7月13日機材の到着確認、残務整理ののち、パリ経由で帰国。

観測結果とデータ

観測項目担当観測内容等装置等
水平望遠鏡によるコロナ微細構造の偏光観測 守山史生 直接写真:天候不良のため露光不足。最も露出の長いものだけ測定可能。
偏光写真:天候不良、機材故障のためtangentialのみ。
  • 溶融水晶シーロスタット(直径30cm、日本光学製)
  • 水平カメラ(口径20cmを15.8cmに絞って使用、焦点距離500cm)
  • 航空測量用カメラボディ(スイス・ウイルト製、幅24cmロールフィルム用)
  • Kodak Tri-X Aerographic Ester base Type 2403 100フィートロールフィルム(ASA:800)
  • ニューカークフィルター(日本光学製、新規製作)
  • 偏光板(偏光軸が中心に対しradial、tangentialの2枚)
SFカメラによるコロナの偏光観測 徳家厚 ほぼ予定通りに撮影。
  • 航空カメラ(口径68mm、焦点距離381mm、Wollensnak製)
  • 内部コロナ減光用NDフィルター(kodak製、D=2.01)
  • 富士航空フィルムSSロールフィルム(ASA:125)
  • 手動シャッター
  • 手動赤道儀
彩層微細構造の分光観測 日江井榮二郎
宮崎英昭
砂塵のため露出不足。
  • ダブレット望遠鏡(口径15cm、焦点距離225cm、日本光学製)
  • ニコンFカメラ(モータードライブ付き)4台
  • R69フィルター(通過光撮影用:Kodak Ⅳ F 35mmフィルム)
  • R64フィルター(通過光撮影用:Kodak SO-392 35mmフィルム)
  • 三鷹光器製赤道儀
皆既前後の空の確認 石井明 - -

論文

斉藤国治、秦茂、東条新
1973年6月30日アフリカ日食における太陽コロナの写真観測
東京天文台報、17、No.1、p1、1974
守山史生、日江井栄二郎、徳家厚、宮崎英昭
1973年6月31日アフリカにおける皆既日食観測の予備報告
東京天文台報、17、No.3、p389、1975

参考資料

観測隊全般について

森巧、井上圭典
973年6月30日の皆既日食
天文月報、65、No.1、p13、1972
日江井榮二郎
1973年アフリカ日食について
天文月報、65、No.1、p16、1972
アフリカ日食観測の予備調査
天文月報、65、No.11、p287、1972
香西洋樹
6月30日皆既日食の時の進展隊について
天文月報、66、No.9、p234、1973
(月報アルバム)
アフリカ日食隊スナップ
天文月報、66、No.10、p246、1973
(月報アルバム)
アフリカ日食
天文月報、67、No.1、p4、1974
日江井榮二郎
アフリカ日食観測、コロナおよび彩層の微細構造の観測
天文月報、67、No.1、p7、1974
角田忠一
白い太陽の国の赤い太陽観測
天文月報、67、No.1、p9、1974
森巧
1973.6.30 皆既日食観測報告
天文月報、67、No.1、p11、1974
神野光男
アフリカ日食観測記
天文月報、67、No.1、p13、1974
(表紙)
赤外フラッシュスペクトル
天文月報、67、No.1、表紙、1974
(表紙説明)
赤外フラッシュスペクトル
天文月報、67、No.1、p17、1974
中桐正夫
日食観測隊(守山隊長)に授与されたモーリタニアの勲章を収蔵
アーカイブ新聞、No.650、2012

年次報告ほか

学会講演など

公演名講演者日時講演会名等
アフリカ日食で得られた彩層日江井栄二郎、宮崎英昭1973年10月12日日本天文学会1973秋季年会