観測地

メキシコ、プエロト・エスコンディド(Puerto Escondido)
(西経97度04分26秒、北緯15度51分54秒)
(水路部測定)

観測者と遠征計画

  • 斎藤国治(団長
  • 牧田貢
  • 秦茂
  • 東條新
  • 竹内端夫(臨時参加)
  • 花山天文台(京都大学)
  • 海上保庁水路部
1967年日本学術会議天文学研究連絡委員会日食分科会で、観測計画の検討が始まる。
1968年斎藤がメキシコ国立天文台長と連絡を取り始める
1969年メキシコ内陸部のOaxaca盆地Miahuatlanが有力観測地として話題になる。
日本の公式観測団は、気象衛星等の情報から、太平洋岸のPuerto Escondidoを候補地とする。
1969年8月プエロト・エスコンディドの町長あてに問い合わせの手紙を送る(返信なし)。
日本学術会議事務局長から、外務省国連局長に協力の申し入れを行う。
メキシコ駐在日本大使館が、メキシコ国内日食観測連絡委員会と連絡を取り合う。 
1969年12月観測機材を梱包(丸運K.K.)
1970年1月8日観測機材が川崎汽船ベネズエラ丸で横浜港を出港。
1970年1月27日斎藤(観測団長)と神野光男(花山天文台・観測副団長)がメキシコに先行出発。日本大使館、メキシコ国立天文台等と打ち合わせ。)
1970年1月30日オアハカを経由してプエロト・エスコンディドに向かう(1月31日着)。観測場所をメキシコ連邦配電組織のディーゼル発電所敷地に決める。
1970年2月4日アカプルコに向けて出発。
1970年2月5日後続観測隊員7名がアカプルコ到着。
1970年2月6日機材をトラック3台に積載。
1970年2月7日機材が未明にアカプルコを出発。17時30分ころプエロト・エスコンディドの発電所に到着。
1970年2月8日機材開梱。準備開始。
1970年2月26日観測リハーサル開始。
1970年2月28日総合リハーサル。
1970年3月4日絶対測光用の太陽撮影。
1970年3月5日本番用フィルムに強度目盛を焼きこむ。
1970年3月6日総合リハーサル2回。
1970年3月7日皆既日食(快晴)
1970年3月7日午後から撤収開始。
1970年3月9日機材をトラックに積み込む。牧田、秦、東條、久保(水路部)が夜行バスで出発。
1970年3月10日残りの観測隊員がアカプルコに移動。
1970年3月11日メキシコ市で隊員合流。
1970年3月12日メキシコを出発、ロサンゼルス・ホノルル経由。
1970年3月20日観測隊、羽田帰着。
1970年6月16日機材が横浜港に帰着。

観測結果とデータ

天候:早朝から雨。第一接触は雲の中、第二接触10分前から晴れ。

観測項目担当観測内容等装置等
水平望遠鏡による撮影 斎藤国治
牧田貢
コロナの偏光観測
コロナ流線をきれいにとらえ、目的を達成
  • 溶融水晶シーロスタット(直径30cm、日本光学製)
  • 水平カメラ(口径20cmを15.8cmに絞って使用、焦点距離500cm)
  • 航空測量用カメラボディ(スイス・ウイルト製、幅24cmロールフィルム用)
  • Kodak Aerographic Ester base Type 2403 100フィートロールフィルム
  • ニューカークフィルター(日本光学製)
  • 偏光板
牧田貢 彩層、スピキュールの撮影
角度3秒ほどの微細構造をとらえた。
  • コロナ撮影と同じ水平望遠鏡
  • 彩層撮影用観測筒(直径11cm反射鏡付き)
  • ニコンFカメラボディー、保谷R68フィルター
  • kodak IVFフィルム
4連カメラによるコロナの偏光撮影 秦茂 内部コロナ
極域流線、プロミネンスをとらえた
  • 長焦点四連カメラ(口径10.55cm、f=228cm、日本光学製)
  • イギリス式赤道儀(モーター駆動)
  • 偏光フィルターHN34、赤フィルター(フィルムの特性と併せて有効波長6200Å
  • フジ写真フィルム製四つ切シートフィルム(252×303mm、ASA-250相当)
東條新 外部コロナ
天空輝度を記録した
  • 短焦点四連カメラ(口径6.7cm、f=30cm、クスナー製)
  • 手動赤道儀
  • ※他は長焦点と同じ
コロナの状況写真撮影 東條新 外部コロナ
コロナ、プロミネンスをとらえた
  • 望遠鏡(口径6cm、焦点距離120cm、五島光学製)
  • ニコンFボディー
  • 子だクロームX要検証!!!!!!
接触時刻測定 竹内端夫

論文

斉藤国治、牧田貢、秦茂、東条新
1970年3月7日メキシコにおける皆既日食観測の予備報告
東京天文台報、15、No.3、p445、1971
Kuniji SAITO
Photometric and Polarimetric Analysis of the Corona Streamers Observed at the March 7, 1970 Mexican Eclipse
東京天文台年報、13、No.2、p93、1972
Shigeru HATA, Arata TOJO
Polarigraphic Observations of the Solar Corona at the Total Eclipse on March 7, 1970 in Mexico
東京天文台年報、13、No.2、p149、1972

参考資料

観測隊全般について

進士晃、佐藤友三
1970年3月7日(世界時)の皆既日食
天文月報、61、No.6、p160、1968
齋藤国治
メキシコ日食観測計画
天文月報、63、No.2、p7、1970
メキシコとメキシコ日食(月報アルバム)
天文月報、63、No.5、p112、1970
木村精二
メキシコ日食行き顛末記
天文月報、63、No.5、p125、1970
メキシコ日食写真集(月報アルバム)
天文月報、63、No.6、p136、1970
森本雅樹
日食について
天文月報、63、No.6、p139、1970
齋藤国治
メキシコ日食観測記
天文月報、63、No.6、p140、1970
神野光男
メキシコ日食観測記~花山天文台班~
天文月報、63、No.6、p143、1970
牧田貢
彩層の直接写真をねらって
天文月報、63、No.6、p146、1970
森巧
接觸時刻の観測
天文月報、63、No.6、p147、1970
コロナ写真
天文月報、63、No.6、表紙、1970
神野光男
1970年3月7日の皆既日食についてのシンポジウム
天文月報、64、No.9、p242、1971
秦茂
思い出の日食遠征⑨ メキシコ日食
日食情報、No.40、p1、1989

年次報告ほか

メキシコ日食観測用望遠鏡の制作
東京天文台年次報告、1968年、p35
談話会No.734
東京天文台年次報告、1968年、p48
1970メキシコ日食観測のための準備
1969年、p36
1970年3月7日メキシコ日食観測の実施
東京天文台年次報告、1970年、p39
臨時談話会
東京天文台年次報告、1970年、p64
談話会No.793
東京天文台年次報告、1970年、p67

学会講演など

公演名講演者日時講演会名等
1970年3月7日メキシコ皆既日食観測概報斉藤国治、牧田責、秦 茂、東条新1970年5月13日日本天文学会1970年春季年会
太陽コロナの流線構造の解析斎藤国治1971年10月27日日本天文学会1971年秋季年会