1955年6月20日 セイロン島およびベトナム


観測地

セイロン島中東部ポロンナルワ(Polonnaruwa)
(東経81度01分55.9秒、北緯07度55分42.5秒)
標高:30m

観測者と遠征計画

  • 古畑正秋氏(団長)
  • 田鍋浩義氏
  • 末元善三郎
  • 清水実氏
  • 秦茂氏
  • 海野和三郎氏
    京都大学
  • 川口市郎氏
  • 今川文彦氏
    東北大学
  • 高窪啓彌
  • 加藤愛雄氏
  • 小坂氏
  • 桜井氏
    天竜運輸
  • 足土氏
1955年4月18日古畑・足土が羽田発
1955年4月21日コロンボ着
1955年4月25日ポロンナルワの試験農場構内に観測地決定
1955年4月27日観測機器を積んだ三井汽船の吾妻山丸がコロンボ入港
1955年4月30日荷揚げ終了
1955年5月2日機材の貨車積み終了
1955年5月7日ポロンナルワ着
1955年5月9日農場に機材到着
後発隊が羽田発
1955年5月10日後発隊、コロンボに到着
1955年5月12日後発隊、汽車でポロンナルワに向かう
1955年5月13日後発隊、ポロンナルワ着
1955年5月末主要な機材の設置が終了
1955年6月上旬ほぼ準備完了
1955年6月20日観測日
1955年6月21日静養日
1955年6月22日荷造り開始
1955年6月28日車でポロンナルワ発、キャンデーへ
1955年6月30日コロンボに向かう
1955年7月1日コダイカナル天文台見学のため、インドに向かう
1955年7月5日コロンボ帰着
1955年7月7日BOAC機でコロンボ発、羽田へ

観測結果とデータ

天候:前日は曇り。当日、早朝から空は薄い雲に覆われていた。太陽が欠け始めた7時8分ころは、まだ薄雲を通して太陽を見ることができた。8時近くになり、厚い雲が広がり始め、皆既の始まる8時12分にはさらに雲が厚くなり、皆既中の太陽を見ることはできなかった。日食後2~3日も曇り。(前年、前々年のセイロン大学によるこの地の天気記録では、5、6月の曇天は1日だけだった)

現地セイロンの放送局が日食の実況放送を行っていたため、共同通信が予定稿の「観測成功」を報道したが、実際は雲のため観測できていなかったので「誤報」となった。

観測項目担当観測内容等装置等
分光観測 末元善三郎
清水実
彩層およびコロナ輝線 日本光学30cmシーロスタット
日本光学30cmカセグレン望遠鏡(f=5m)
分光器(F/4.5アエロニッコールカメラレンズf=50cm、2個のガラスプリズム、分散能:4000Åで13Å/mm、5200Åで43Å/mm)
富士フィルム製SSシートフィルム
写真観測 高窪啓彌 4連カメラによるコロナの偏光写真観測
  • 長焦点四連カメラ(日本光学口径110mm、f=1225mm)
  • 単焦点四連カメラ(ダルメヤー口径30mm、f=190mm)
  • 偏光フィルター、干渉フィルター(0.625μm、半値幅200Å)
  • 赤道儀
  • フジフィルム製10×12インチ乾板(25.4×30.5cm)
FF.Dissanayaka
D.D.Kumarasingh
天頂光の測光
  • ポ天頂光測光用箱
  • キャビネ乾板
  • 偏光フィルター
F.Dissanayaka
D.D.Kumarasingh
空の状況写真撮影
  • f=75mmカメラ
  • 小型赤道儀
測光観測 古畑正秋
田鍋浩義
外部コロナから黄道光までの光電測光
  • 光電測光用望遠鏡(ニッコールレンズ口径10cm、f=50cm)
  • 光電流増幅装置(RCA 1P21)
  • 磁気オシログラフ
  • 自記経緯台(電気的記録装置付き)
海野和三郎 単色測光法によるコロナF,K成分の分離観測
  • 屈折望遠鏡(口径10cm、f=90cmを口径5cmに絞る)
  • リオ・フィルター
  • 自記経緯台(電気的記録装置付き)

論文

羽原澄子、乙黒美子
1955年6月20日の皆既日食の日本に於ける狀況
東京天文台報、第11巻、No.1、p1、1954
Y.Sato, S.Habara, T.Takasaki
A Total Eclipse of the Sun, June 20, 1955
Tokyo Ast.Bulletin、第22号、p165、1950
M.Utida
Observations of the Contact Times of the Solar Eclipse of June 20,1955
Tokyo Ast.Bulletin、第82号、p847、1956
M.Huruhata, H.Tanabe
Method of photoelectric survey from the corona to the zodiacal light
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p863、1956
K.Saito, S.Hata
Instruments and Preparation for Polarigraphic Observations of the Solar Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p856、1956
Z.Suemoto, M.Shimizu
Spectrographic Observation of the Transient Layer between the Chromosphere and the Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p860、1956
W.Unno, K.Takakubo
A Birefringent Filter for the Separation of F and K Components of the Solar Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p866、1956
W.Unno, K.Takakubo
A Birefringent Filter for the Separation of F and K Components of the Solar Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p866、1956
W.Unno, K.Takakubo
A Birefringent Filter for the Separation of F and K Components of the Solar Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p866、1956
T.Hatanaka, K.Akabane, F.Moriyama
Solar Radio Spot and Calcium Plage
Publications of the Astronomical Society of Japan、第8巻、No.3~4、p126、1956
Kuniji SAITO
Equatorial Coronal Streamers of The Sun
Publications of the Astronomical Society of Japan、第11号、No.4、p234、1959
Kuniji SAITO
A Birefringent Filter for the Separation of F and K Components of the Solar Corona
Tokyo Ast.Bulletin、第83号、p866、1956
Kuniji SAITO
Polar Rays of the Solar Corona
Publications of the Astronomical Society of Japan、第10巻、No.2、p49、1958
Kuniji SAITO
The Gegenschein and Coronal Streamers of the Sun
Publications of the Astronomical Society of Japan、第13巻、No.4、p376、1961

参考資料

観測隊全般について

佐藤友三
1955年6月20日の皆既日食概況
天文月報、第45巻、No.9、p134、1952
1955年6月20日の皆既日食観測計画
天文月報、第47巻、No.10、p147、1954
三鷹に出現した日食村
天文月報、第48巻、No.4、p63、1955
セイロン日食を待つシーロスタット
天文月報、第48巻、No.4、表紙、1955
セイロン島への出発近づく
天文月報、第48巻、No.5、p79、1955
来る6月20日の日食の状況
天文月報、第48巻、No.6、p86、1955
古畑正秋
セイロン便り
天文月報、第48巻、No.6、p88、1955
京大ムービーカメラ
天文月報、第48巻、No.6、表紙、1955
6月20日の日食観測状況
天文月報、第48巻、No.8、p119、1955
ヴェトナムでの物々交換
天文月報、第48巻、No.8、p130、1955
日食写真集
天文月報、第48巻、No.8、p131、1955
水路部撮影のコロナ
天文月報、第48巻、No.8、表紙、1955
セイロン日食観測行
天文月報、第48巻、No.9、p135、1955
古畑正秋・末元善三郎・今川文彦・高窪啓輔
外国観測隊見学記
天文月報、第48巻、No.9、p138、1955
田鍋浩義
日食こぼれ話
天文月報、第48巻、No.9、p142、1955
セイロンに集った日食屋さんたち
天文月報、第48巻、No.9、p147、1955
オランダ隊の閃光スペクトル撮影装置
天文月報、第48巻、No.9、表紙、1955
天文学会秋季年会特別講演
天文月報、第48巻、No.10、目次、1955
赤羽賢司
マイクロ波帯に於ける日食観測
天文月報、第49巻、No.6、p86、1956
かろうじて”世紀の日食”をとらえる
天文と気象、1955、7.8月号、p25
J.M.Chamberlain、O.Gingerich
Eclipse in Ceylon
Sky and TELESCOPE、September、p435-436、1955

年次報告ほか

コロナの極域流線の研究
東京天文台年次報告、p25
皆既日食観測行
東京天文台年次報告、1957_58年版、p56
太陽コロナの赤道流線について
東京天文台年次報告、1959年版、p28

学会講演など

公演名講演者日時講演会名等
1955年 6月20日の皆既食の中心線と本邦に於ける概況佐藤友三,羽原澄子1950年10月13日日本天文学会1950秋季年会
6月20日の皆既日食について(公開講演会)末元善三郎1955年5月1日日本天文学会1955年春季年会
日食観測より求めた太陽電波煽昂輻射源のモデル畑中武夫,赤羽賢司,守山史生,田中春夫,柿沼隆滑1955年10月23日日本天文学会1955年秋季年会
セイロン日食観測行(特別講演会)古畑正秋,今川文彦
1955年日食における太陽コロナの測光斉藤国治1956年10月6日日本天文学会1956年秋季年会
極小型コロナの特性斎藤国治1957年4月27日日本天文学会1957年春季年会
太陽コロナの極域流線について斎藤国治1957年10月15日日本天文学会1957年秋季年会