観測地

ミクロネシア連邦チューク諸島ローソップ島(東経152度43分56秒、北緯6度53分35秒)
※文献によりロソップ、ロサップとの表記あり

観測者と遠征計画

  • 早乙女清房氏
  • 窪川一雄氏
  • 藤田良雄氏
  • 服部忠彦氏
  • 福見尚文氏
  • 中野三郎氏
  • 竹田吉雄氏
  • 小野亀吉氏
1934年1月15日帝国海軍軍艦(海防艦)「春日」横浜を出港
1934年1月23日ローソップ島着
東京天文台観測隊、海軍技術研究所、逓信省電気試験所、東京帝国大学、はローソップ島を観測地に決定。
京都帝国大学観測隊、水路部地磁気班、春日に同乗の外国隊はレオール島で観測することに決定
1934年1月24日ローソップ島に上陸(春日→瑞鳳丸→ボート)、観測準備に着手
※南洋貿易会社の第6平栄丸が荷揚げを手伝う
1934年2月13日予備観測実施
1934年2月14日本観測実施(快晴。日食終了後に雲が出始め、復円1時間過ぎから雨)
※復円・・・日食が終了し太陽像が円形に戻ること
1934年2月19日撤収完了(教会堂前に記念碑完成)
アルフレッド村の野球場に観測場所を定める
1934年2月20日早朝、瑞鳳丸・平栄丸でローソップ島出発。夕刻、トラック島到着。
※トラック島は単一の島ではなくサンゴ礁と小島の群島のこと。
1934年2月22日春日に移乗
1934年2月23日トラック島出発
1934年3月3日横須賀着

観測結果とデータ

天候:朝は好天、10時ころから曇り。第1接触は雲のため不明。15時ころから雲が切れ始め、皆既の時はまったく雲がない状態になる。

観測項目担当観測内容等装置等
写真撮影 早乙女清房 アインシュタイン効果
  • 水平望遠鏡(口径20cm、焦点距離5.7m)
  • 平面鏡シーロスタット(直径47cm)
  • 四つ切乾板(1枚撮影)
窪川一雄
竹田吉雄
コロナ撮影
  • 水平望遠鏡(口径13cm、焦点距離11.5m)
  • シーロスタット
  • イルフォード・パンクロ八つ切乾板(20枚撮影)
  • イーストマン50番、イルフォード・パンクロ四つ切乾板(露出4秒、8秒12秒)
中野三郎 外部コロナ撮影
各1枚撮影(露出50秒)
  • 天体写真儀(ツァイス製口径15cm、焦点距離81cm)
  • イルフォード・スペシャルラピッド乾板
  • 彗星捜索鏡(口径20cm、焦点距離1.33m)
  • ルフォード・ハイパーセンシティブパンクロ乾板
  • 理化学研究所製ウルトラジンフィルター(5100Å以下を除く)
  • イギリス式赤道儀に搭載
位置観測 福見尚文 月、太陽の相対位置観測
  • 経緯儀式望遠鏡(口径16cm、焦点距離1m)
  • 動画撮影機(1分に1コマ)
分光観測 藤田良雄
小野亀吉
第2接触後フラッシュスペクトル1枚(5秒露出)
皆既中コロナスペクトル1枚(1分露出)
第3接触後フラッシュスペクトル1枚(4秒露出)
  • グレーティング分光器
  • 凹面格子(焦点距離50cm、スリットなし)
  • 理研ウルトラジン7番フィルター(2次で6500Å~~8000Åを狙う)
  • イーストマン・インフラレッド乾板(キャビネ1/2)
  • プリズム分光器、ヒルガープリズム(60°、スリットあり)
  • コリメータレンズ(ダルメヤー製口径10cm、焦点距離80cm)
  • イルフォード・ハイパーセンシティブパンクロ乾板(キャビネ判)
服部忠彦 第2接触後フラッシュスペクトル(5秒露出)
コロナ(10秒露出)
第3接触後フラッシュスペクトル(15秒露出)
皆既中コロナスペクトル1枚(1分露出)
第3接触後フラッシュスペクトル1枚(4秒露出)
  • 水平望遠鏡(口径15cm、焦点距離3.45mのツァイス製トリプレットレンズ)
  • 直径44cmシーロスタット、対物プリズム(45°)
  • イルフォード・スペシャルラピッドパンクロ乾板(四つ切横1/4)
その他 中野三郎 観測地の経緯度測定 バンベルヒ製口径50mm子午儀

論文

S.Ishii, K.Kubokawa, and M.Torao
"On the Positions and the Semidiameters of the Moon and Sun, Derived from Observations of the Solar Eclipse of February 13-14, 1934"
Japanese Journal of Astronomy and Geophysics(日本天文学及地球物理学輯報)第12巻、No.2、p121-130、1935
S.Ishii
"On the Positions and the Semidiameters of the Moon and Sun with Special Reference to the Results of Observations of Recent Solar Eclipses (Second Paper)"
Japanese Journal of Astronomy and Geophysics(日本天文学及地球物理学輯報)第13巻、No.3、p162-182, 1936
石井重雄
1934年II月13-14日の日食改正要素に就いて
東京天文台報、第1巻、Mo.4、p195、1933
日本天文学会要報、第2巻、No.8、p213、1934
中野三郎
南洋ローソップ島の經度及び緯度
日本天文学会要報、第3巻、No.11、p143、1934
東京天文台報、第2巻、No.3、p129、1934
石井重雄,窪川一雄,虎尾正久
1934年2月13-14日の日食觀測から求めた月と太陽の位置並びに視半徑に就いて
日本天文学会要報、第3巻、No.11、p167、1934
東京天文台報、第2巻No.3、p153、1934

参考資料

観測隊全般について

神田 茂
1934年に皆既日食のあるロソップ島
天文月報、第25巻、No.9、p174、1932
藤田良雄
1934年2月14日の皆既日食
天文月報、第26巻、No.5、p84、1933
中野三郎
年2月14日の皆既日食
天文月報第、26巻、No.12、p232、1933
石井重雄
天文学談話会記事(1934年2月13-14日の日食の改正要素に就いて)
天文月報、第27巻、No.1、p15、1934
神田 茂
2月14日の日食
天文月報、第27巻、No.2、p36、1934
服部忠彦
日食観測隊出発の準備を終えて
天文月報、第27巻、No.2、p37、1934
神田 茂
日食観測隊を送りて
天文月報、第27巻、No.2、p37、1934
服部忠彦(瓢)
日食観測隊通信
天文月報、第27巻、No.3、p54、1934
神田 茂
ローソップ島通信より
天文月報、第27巻、No.3、p55、1934
神田 茂
2月14日の日食
天文月報、第27巻、No.3、p57、1934
画像
南洋日食観測隊写真
天文月報、第27巻、No.3、口絵、1934
橋元氏(本名不明)
部分食写真
天文月報、第27巻、No.3、表紙、1934
藤田良雄
南洋日食観測隊の観測概況
天文月報、第27巻、No.4、p61、1934
神田 茂
本年2月14日の日食観測記録
天文月報、第27巻、No.4、p63、1934
服部忠彦(瓢)
日食観測日記より
天文月報、第27巻、No.4、p65、1934
神田 茂
2月24日日食後記(14日の誤記)
天文月報、第27巻、No.4、p78、1934
画像
コロナと閃光スペクトル、観測隊の写真
天文月報、第27巻、No.4、口絵、1934
渡辺敏夫
日食観測紀行
天文月報、第27巻、No.5、p84、1934
大野勝治
日記帳より
天文月報、第27巻、No.5、p87、1934
服部忠彦(瓢)
日食観測日記より
天文月報、第27巻、No.5、p87、1934
第52回定会記事
天文月報、第27巻、No5、p91、1934
日本数学物理学会年会
天文月報、第27巻、No.5、p96、1934
第275回天文学談話会記事
天文月報、第27巻、No.5、p98、1934
日食写真新刊
天文月報、第27巻、No.5、奥付、1934
五藤光学
天文月報、第27巻、No.5、広告、1934
ローソップ島西海岸全景
天文月報、第27巻、No.5、表紙、1934
日本天文学会要報第3巻第1冊
天文月報、第27巻、No.6、p116、1934
東京天文台報第2巻第1冊
天文月報、第27巻、No.5、表紙、1934
福見尚文
日食と月の位置
天文月報、第27巻、No.7、p121、1934
天文学談話会記事(第278回、第280回)
天文月報、第27巻、No.11、p219、1934
日本天文学会要報第3巻第3冊
天文月報、第27巻、No.12、p236、1934
早乙女清房
天文台の思い出 その1
天文月報、第46巻、No.11、p165、1953
竹田吉雄
日食観測の思い出
天文月報、第46巻、No.11、p171、1953

観測隊員について

宮地政司
早乙女先生を偲ぶ
天文月報、第50巻、No.10、p203、1957
藤田良雄
早乙女先生を偲んで
天文月報、第50巻、No.10、p204、1957

学会講演など

公演名講演者日時講演会名等
日食観測隊歓迎会-東京帝国大学御殿
コロナに就いて窪川一雄-日本数学物理学会年会
グレーチングによるフラッシュスペクトル及コロナスペクトルに就いて藤田良雄
物鏡分光器によるフラッシュスペクトル及コロナスペクトルに就いて服部忠彦
ローソップ島の経緯度に就いて中野三郎
1934年2月14日三鷹に於ける部分食の実視観測神田茂
南洋日食観測談服部忠彦・藤田良雄・中野三郎・窪川一雄・福見尚文
東京天文台員の日食観測概要窪川一雄-天文学会春季定会(東京科学博物館との共催の講演会)
南洋に於ける日食観測概要福見尚文

東京天文台以外の記録

著者不記載
昭和9年2月14日の日食に就いて
水路要報,128,1933,275
柴田淑次
日食遠征日誌(1)
天界,155,1934,189
柴田淑次
日食遠征日誌(2)
天界,156,1934,237
柴田淑次
日食遠征日誌(3)
天界,157,1934,271
宮地政司
1934年2月14日日食中の無線聴度
東京天文台報,1,1934,34
宮地政司
1934年2月14日日食中の無線聴度
日本天文学会要報,9,1934,34
荒木俊馬
ローソップ島感想
天文月報,6,1934,106
箕原勉・伊藤庸二
南洋に於けるイオン層の冬期状態及び昭和9年2月14日の日食時に於ける電波観測
天文月報,7,1934,122
大野勝治
日記帳より
天文月報,5,1934,87
前田憲一
1934年2月14日日食時に於ける電離層の測定
電信電話学会誌,135,1935,443
秋吉利雄
昭和9年2月14日の日食に於ける地磁気偏差の測定
水路要報,147,1936,41
大野勝治
昭和9年2月 ローソップ島状記
故秋吉利雄氏保存資料