2019年12月の太陽活動 バックナンバー

solar cycle

 黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。

 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。
→ 2019年の黒点相対数

12月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 12月は、三鷹の黒点観測日数18日間に対し17日が無黒点日でした (白色光画像の12月のデータベースカレンダー)。月平均黒点相対数で見ると三鷹の観測では、全球で0.61、北半球が 0.00、南半球が 0.61 でした。フレアの発生数で見ても12月は非常に低調で、米国 NOAA GOES 衛星(※1, ※2)によるクラス分けにてBクラス以上のフレアが1例も発生しませんでした。太陽の磁気活動は、引き続き2017年の終わりから続く極小期の水準を維持しています。

 この様に低調な太陽の磁気活動ですが、11月に引き続き次の太陽活動周期 (第25太陽活動周期) の立ち上がりを示唆する黒点群が2つ (NOAA ARs 12753 & 12754) 観測されました (図1図2図3)。このうちNOAA AR 12753は、第25太陽活動周期の特徴を示すものとしては初めて1日程度を超えて存続した双極型の黒点群でした(図1図2)。

 一般に1つの太陽活動周期内での黒点群の出現緯度を見ると、活動周期の始まりでは比較的高緯度 (30度程度) に現れ、活動周期の終わりでは低緯度 (赤道付近) に現れる傾向があります [蝶形図へのリンク]。また各黒点群内での東西の磁極の並び順を見ると、北半球、南半球それぞれで周期ごとにほぼ決まった磁極の並びを示します (図4)。12月に出現した2つの黒点群 (NOAA ARs 12753 & 12754) は、第24太陽活動周期ではなく第25周期の特徴を示しています。この様な黒点はこの2年ほどで何度か現れているのですが、どれも1日程度以下の寿命を持つ短命で微小なものでした。今回のNOAA AR 12753のようにはっきりと数日間にわたり存続したのは初めてです。いよいよ第25太陽活動周期の特徴を持つ黒点群が安定して出始めているのかもしれません。
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※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって、太陽活動領域に番号が振られる。)
※2 GOES: Geostationary Operational Enviromental Satellite (米国 NOAAの地球環境観測衛星。地球に降り注ぐ軟X線の総フラックスも常時モニターしている。)
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fig1_AR12753_201912.png
図1. (a) 南緯29度付近に出現した第25太陽活動周期の特徴を持つ双極型黒点群 (活動領域 NOAA 12753) の2019年12月24日での様子(太陽フレア望遠鏡 連続光撮像装置)。(b) (a)とほぼ同時刻での太陽光球視線方向磁場に対応する画像 (太陽フレア望遠鏡 赤外偏光分光観測装置)。白がN極。黒がS極。東西方向の磁極の並びが、第25太陽活動周期に南半球に出てくる磁極の特徴 [西 (右) 側からS極-N極 (黒-白) の順に並んでいる ] を見せている。

fig2_AR12753_20191225.png
図2. 図1の黒点群 (活動領域 NOAA 12753) の翌日12月25日の様子。 この第25太陽活動周期の特徴を持つ黒点群は、12月24日から26日にかけて3日間存続した (太陽フレア望遠鏡 連続光撮像装置)。

fig3_AR12754_20191225.png
図3. 2019年12月25日に北緯24度付近に出現した別の第25太陽活動周期の特徴を持つ双極型黒点群 (活動領域 NOAA 12754)。 こちらは1日強の寿命であった。12月25日は三鷹は雲が途切れず、黒点相対数計測には含まれていない (太陽フレア望遠鏡 連続光撮像装置)。

fig4_201912.png
図4. (a) 第24太陽活動周期極大期付近での太陽光球全面像の例 (太陽フレア望遠鏡 連続光撮像装置)。(b) (a)とほぼ同時刻での太陽光球視線方向磁場に対応する画像 (太陽フレア望遠鏡 赤外偏光分光観測装置): 白がN極。黒がS極。図の上が北、左が東。各黒点群内での東西の磁極の並びを見ると、南半球では東側がS極、西側がN極が並ぶ。北半球では逆極性の並びを示す。この傾向は太陽活動周期の終わりまで続く。