2024年1月の太陽活動 バックナンバー

solar cycle

 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
→ 2024年の黒点相対数

1月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年1月は第25周期の極大に向けていよいよ活動が活発化してきたことを感じさせる月となりました。 黒点相対数の月平均は105.21(北半球53.08、南半球52.12)でした。
活動領域はNOAA13537~13568の31群が新たに出現しました。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。) ムービー1は1月1日から31日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像24枚をつなぎ合わせたもので、赤い四角は黒点群を示しています。単一黒点や微小な黒点群が目立つ中でも、東西に広がりを持つ発達した黒点群が見られるようになりました。 中でもNOAA13559は東西に長く黒点数が最大19(NOAA発表では32)となりました。


ムービー1.白色光で撮影した1月の太陽
24日分の連続画像。南北に絶えず黒点群が見ている。

Mクラス以上のフレアが31回発生しました。29日4時38分UTのM6.8フレアが最大で、南西リム近くにあった13559黒点群で発生し、大規模なCMEが見られたほか、フレア後期に見られるポストフレアループと呼ばれるループ状のプロミネンスがはっきりと観測されました。ムービー2はHα線で観測したフレアとポストフレアループの様子です。1000万度のフレアが彩層温度まで冷却することにより見られる現象で、冷えたプラズマが磁力線に沿って流れ落ちています。構造全体としてはループの足の間隔がだんだん広がり、より上昇していくように見えます。 ※それぞれのループが上昇しているのではなく、外側に熱いループが生まれ、内側は低温になり暗く見えなくなっています。 図1は、ほぼ同時刻に「ひので」衛星がX線撮像装置で撮影した太陽の様子です。Hα線で見るよりもさらに上空のコロナ域に生じた高温のループが見えており、極めて明るく光っていることが分かります。


図1.NOAA13559で発生したM6.6フレアとポストフレアループ
1月29日4時UTに太陽フレア望遠鏡で撮影。フレアが発生し明るく光った後、リムに向かってループが上昇していくように見える。

fig1_202401
図2.「ひので」衛星で撮影した太陽の様子
Hα線で見るよりも上空にループが形成されており、極めて明るく光っている。