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国立天文台 太陽観測科学プロジェクト

2024年11月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

11月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年11月は冬に近づいたこともあり真っ青な快晴の日が多く20日観測ができました。一方で、上空で吹き荒れる寒気の影響で観測データのシーイングが全体的に悪化した印象です。平均の黒点相対数は128.60(北半球:28.85、南半球:99.75)となり、全体的やや減少傾向、また北半球と南半球の差が大きい状況は続いています。最も高い値になったのは11月1日で217.0でした(図1)。複雑で一周した黒点は少ないですが、細かな黒点が広範囲に散らばった黒点群が多く、黒点数、形状の変化を繰り返していた印象です。 今月新たに出現した活動領域はNOAA13881~13912の31群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
2024年11月1日の白色光画像
図1:2024年11月1日の白色光画像。北半球に複数の目立った黒点群ががりますが、太陽が自転して同じ領域が見えた11月末にはグループ番号13以外は見えなくなっていました。

フレアの発生状況は、Xクラス1回(↓)、Mクラス82回(↑)、Cクラス220回(↑)で大規模なフレアが少ないですが、Cクラス、Mクラスのフレアがいたるところで発生しており、観測数全体は上昇しています。唯一のXフレアは11月6日のNOAA13883で発生したX2.3で、地球正面に位置していましたが、磁気圏への大きな影響はありませんでした。
11月は南半球に巨大なフィラメントが存在しており、11月3日に東リムに見え始め、19日に西リムに沈むまで少し形が変わるものの、非常に安定して見えていました。さらに一周した12月11日時点でも見えています。

ムービー1.2024年11月のHα画像。月初めと月終わりに活動領域が多く見え、プラージュやフィラメントもたくさんあります。中旬は静穏領域が広がっています。

2024年11月11日と12月8日のHα線全面像。
図2:2024年11月11日(左)と12月8日(右)のH&alp;線全面像。2つの明るい活動領域に挟まれるかたちで、左下へ大きく曲がった巨大なダークフィラメントが存在している。約1か月経過しても安定した構造を保っている。

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2024年10月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

10月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年10月は天候が安定せず、数日観測して数日休止を繰り返し、30日中15日観測することができました。 平均の黒点相対数は139.20(北半球:34.07、南半球:105.13)となり、全体的やや減少傾向、また北半球と南半球の差が大きいという特徴が先月に続いて見られます。最も高い値になったのは10月30日で210.0でした(図1)。1月の黒点画像を繋げてみると、月初めに正面に見えていた黒点群が勢力を保ったまま自転1周して、再び見えていることが分かります(ムービー1)。今月新たに出現した活動領域はNOAA13844~13880の36群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
2024年10月30日の白色光画像
図1:2024年10月30日の白色光画像。巨大な黒点はないものの、南半球中央から西にかけて黒点群が複数密集しています。


ムービー1.2024年10月の白色光画像。太陽の赤道付近の自転速度は25日程度なので、南半球で1日に見えていた黒点群が27日にほぼ同じ位置に戻ってきていることが分かる。

フレアの発生状況は、Xクラス9回(↑)、Mクラス80回(↑)、Cクラス188回(↑)で観測回数は上昇しています。10月7日には西リムに移動した黒点群13842でX2.1、9日は同領域でX1.4、北半球正面の13848でX1.8の大規模フレアが短時間に発生しています。(図2)

2024年10月7日のHα線全面像。文字は活動領域の番号
図2:2024年10月7日のH&alp;線全面像。文字は活動領域の番号。南半球西側に活発な領域が密集している。

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2024年9月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

9月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年9月は前半はすっきりとした秋晴れが続き、後半になるにつれて雲が多い日が増えました。31日中19日観測することができました。 平均の黒点相対数は142.26(北半球:38.16、南半球:104.11)となり、数カ月続いた急激な上昇はいったん収まった印象です。北半球での黒点出現数が減少している一方で南半球はさほど変わらず、8カ月連続で南半球の方が多い状態は継続しています。この南北差に周期的な特性があるのかはまだ不明です。最も高い値になったのは9月11日で197.0でした(ムービー1)。今月新たに出現した活動領域はNOAA13809~13843の34群です。黒点として表出していないだけで、活動領域の出現数は減少しておらず、後述のようにプラージュは断続的に見えているため、極大期に向かっていることは変わりありません。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)

ムービー1.2024年9月の白色光画像

フレアの発生状況は、Xクラス2回(↓)、Mクラス67回(↓)、Cクラス153回(↓)で観測回数は減少しています。彩層をHα線と同様に太陽彩層の活動を見ることができるCaⅡK線の画像(図2)では、黒点群と周辺のプラージュを含めた活動領域が明瞭になっています。大規模なフレアを起こす複雑な黒点群は少ない月でしたが、黒点として表出していなくても依然として太陽全体として活発な状態です。また活動領域を取り囲むようにして大きな静穏型プロミネンス(フィラメント)が見えていたのも特徴です。

2024年9月9日の白色光画像、CaⅡK画像、Hα線画像
図2:2024年9月9日の白色光画像、CaⅡK画像、Hα線画像。黒点の周辺に白く広がったプラージュ。それを取り巻くように点在するフィラメント

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2024年8月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

8月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年8月は夏らしい天気が続き、ゲリラ豪雨の影響もありながらも31日中22日観測することができました。 平均の黒点相対数は197.32(北半球:77.68、南半球:119.64)で直近30年で最大の値です。7カ月連続で南半球の方が多く、その傾向は徐々に大きくなっているように見えます。この南北差に周期的な特性があるのかはまだ不明です。最も高い値になったのは8月7日で261.0でした(図1)。また、自転に伴う移動だけでなく、黒点の出現、消滅が頻繁に発生していた印象を受けます(ムービー1)。今月新たに出現した活動領域はNOAA13774~13808の34群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
2024年8月7日の白色光画像
図1:2024年8月7日の白色光画像。大小さまざまな黒点が複雑に密集した黒点群があちらこちらに存在している。

ムービー2.8月に観測した白色光画像。細かな黒点が出現したり消滅したりを繰り返している。また目立つ黒点群の形状変化も明瞭。

フレアの発生状況は、Xクラス4回(↑)、Mクラス119回(↑)、Cクラス224回(↓)で総回数は若干増えています。8月4日に南西リムで大規模なプロミネンス噴出が観測されました。フレア望遠鏡のHα線観測ではHα線波長(nm)から少しずらした波長を同時に観測することで、彩層ガスの視線方向(手前ー奥行)の運動も見ることができます。ムービー2では、プロミネンスが炎のように揺らめきながらアーチが外側に膨らみ徐々に見えなくなっていくことが分かります。同時に、速度場像ではガスが手前(青)や奥(赤)に入り乱れながら激しく動いていることも分かります。


ムービー2.2024年3月4日のHα線全面像(上)と速度場像(下)。南西リムのプロミネンスがおよそ5時間かけてゆっくりと消滅していく様子が分かります。

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2024年7月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

7月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年7月は初旬は梅雨の影響が残り、また中旬は曇りと多発したゲリラ豪雨があったため、黒点観測ができたのは31日中14日でした。 平均の黒点相対数は156.41(北半球:53.76、南半球:102.65)で、南半球の黒点相対数が明らかに高いことが分かり、出現した個別黒点の面積で比べても、南半球に大きく複雑な黒点が多い月でした。この南北差に周期的な特性があるのかはまだ不明です。最も高い値になったのは7月18日で268.0でした(図1)。今月新たに出現した活動領域はNOAA13736~13773の37群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)

2024年7月18日の白色光画像
図1:2024年7月18日の白色光画像。全体に小さな黒点群が散らばって存在している。

フレアの発生状況は、Xクラス3回(-)、Mクラス96回(↑)、Cクラス238回(↑)でした。Xクラスの回数は先月と同様ですが、Xクラスにわずかに及ばないMクラスが多く発生していた印象です。7月31日00:05UT~00:45UTでNOAA13773の明るいプラージュでサージが発生しました(ムービー1)。サージとは、フレアまたは、フレアに達しない小爆発から、細く絞られたジェット状の形でガスが加速される現象です。大きな黒点群がひしめいている中に急速に発達した領域で、黒点が出現したばかりに起きた現象でした。サージが終了するとほぼ同時刻(00:45UT頃)に、南西リムでプロミネンス噴出が発生し、アーチの片方がちぎれたように上昇しガスがらせんを描きながら惑星間空間に飛び散る様子が見られました。両者とも噴出型プロミネンスですが、速度と形に違いがある他、噴出前にプロミネンスまたはフィラメントが有るか無いかで区別されます。
ムービー1.2024年7月31日のHα線全面像動画。日付が変わってすぐに西でサージが発生。その直後に南西リムでプロミネンスの噴出が見られる。

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2024年6月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最初の3年ほど(2020年~2023年)は第24周期と似た推移をしていましたが、それ以降も順調に黒点相対数が上昇しています。
→ 2024年の黒点相対数

6月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年6月は曇りがちな日が多く、21日に関東の梅雨入りが発表されました。その影響で観測することができたのは30日間のうち16日でした。黒点相対数の月平均は134.38(北半球42.75、南半球91.62)で、3ヵ月連続で第25周期の最高値を更新しています。ムービー1は6月1日から30日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像16枚をつなぎ合わせたものです。大規模フレアが頻発し巨大な黒点群が出現した5月と比べて、大きくまとまった黒点は少ない一方、微小な黒点が広範囲に散らばったような黒点群が多く出現しているのが特徴です。14日~19日の画像で南半球に見えている大きな黒点群はNOAA13712です。今月新たに出現した活動領域はNOAA13699~13735の36群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)


ムービー1.白色光で撮影した6月の太陽、16日分の連続画像。

フレアの発生状況は、Xクラス3回(↓)、Mクラス53回(↓)、Cクラス259回(↑)と先月と比べれば大規模なフレアは減少しているものの、2024年のXフレア発生回数は52回となり、過去50年で第2位(1位は1989年の59回)に浮上しました。また黒点数が増加していることに伴いCクラスの小規模フレアは増加しています。 ムービー2はフレア望遠鏡で撮影したHα線全面像です。白く光る活動領域が絶えず見えており、特に南半球にまとまった領域が多く見えていました。13日に南東に現れた樹形のプロミネンスが、正面に回り込みフィラメントへと姿を変え、24日に噴出して消失するまでの一連の流れを見ることもできます。


ムービー2.Hα線撮影した太陽彩層の様子。縁から大きく飛び出しているのはプロミネンス。正面で黒い筋に見えるのはフィラメント、白く明るい領域がプラージュ。

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2024年5月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期を上回る活動になっていることがうかがえます。
→ 2024年の黒点相対数

5月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年5月前半は快晴の日が続き、後半は梅雨が近づいてきたことを感じさせる不安定な天気が続きました。31日間のうち19日観測することができました。黒点相対数の月平均は131.11(北半球63.79、南半球67.32)で、第25周期最高を更新しました。ムービー1は5月1日から31日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像19枚をつなぎ合わせたものです。南北とも黒点群が途切れることなく出現し、8日に正面に見える大きな黒点群がNOAA13664、そして30日に東側に見えているのが、同領域が半周して再び出現したNOAA13697です。勢力は衰えつつあるものの、いまだ活発です。今月新たに出現した活動領域はNOAA13663~13698の35群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)

ムービー1.白色光で撮影した5月の太陽、19日分の連続画像。8日に正面に見える巨大な黒点はNOAA13664

フレアの発生状況は、Xクラス21回(↑)、Mクラス112回(↑)、Cクラス235回(↑)と極めて多く、Xクラスフレアはひと月で昨年の合計数を超えてしまっています。図1はフレア望遠鏡で撮影した連続光画像にHα線を重ね合わせたものです。北半球のNOAA13663と南半球のNOAA13664の黒点群では断続的にXクラスフレアが発生し、特に5月8日から11日の4日間で9回のXクラスフレアが発生するなど、猛烈な活動を見せました。三鷹では4回フレアを観測することができ、中でも最大は5月11日のX5.8でした。このフレアでは、モートン(Moreton)波と呼ばれる衝撃波が伝播し彩層を上下に運動させる現象を捉えることができました。ムービー2はHα線と、ドップラー速度場像を並べたものです。赤が奥行方向、青が手前方向への運動を表します。矢印で示したように波が超高速で伝わっていきます。 fig1_202405 図1.フレア望遠鏡が撮影した連続光画像とHα線全面像
NOAA13663と13664の2か所をXフレアが発生した日のみ抜粋して合成している。


ムービー2.5月11日に発生したX5.8クラスフレアとモートン波
左がHα線画像。右がドップラー速度場像で赤が奥行方向、青が手前方向の運動を表す。矢印で波が伝播している場所を示している。
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2024年4月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期を上回る活動になっていることがうかがえます。また第24周期はピークが2つある二子山のグラフとなりました。黒点数は横ばいに見えますが、平均をとっていくと今後上昇していくと推察されます。
→ 2024年の黒点相対数

4月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年4月は初夏らしく晴れていても薄雲がかかる日も多く、30日間のうち18日観測することができました。黒点相対数の月平均は129.72(北半球60.33、南半球69.39)で、先月から大幅に上昇、2019年12月から始まった第25周期の中では観測上最高を更新しました。南北とも黒点群が途切れることなく出現し、月の中旬から南半球では非常に複雑で広範囲に広がる黒点群が発生するなど、黒点数の上昇に寄与しています。
新たに出現した活動領域はNOAA13626~13662の36群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
ムービー1は4月1日から30日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像18 枚をつなぎ合わせたものです。16日から25日まで南半球には4つの活動領域が密接し、非常に複雑な黒点群を形成していました。大きな塊にはならず、点描画で描かれたような見た目をしていました。25日は黒点群数18、黒点数59、相対数239で、こちらも今周期最大となりました。 ムービー1.白色光で撮影した4月の太陽
18日分の連続画像。南北ともに平均的に黒点が出現、16日から25日にかけて南半球ではNOAA13637,13668をはじめ複数の領域が密接した巨大な黒点群が見られた。

フレアの発生状況は、Xクラス0回(↓)、Mクラス48回(↓)、Cクラス185回(↓)と先月よりは減少しています。 最大のものは4月30日から5月1日に日付を跨ぐように発生したM9.5フレアで、Xフレアに若干届かないものの大規模なものでした。あいにく悪天候のため三鷹では観測できていませんが、ひので衛星にはフレア後太陽コロナが明るく光っている様子がとらえられました。(図1fig1_202404 図1.「ひので」衛星でX線で撮影した太陽の様子
M9.5フレア発生後、NOAA13654領域の周辺がX線で明るく光って見える。

ムービー2はHα線で撮影した19日の太陽全面像です。南東リムに見えていたプロミネンスの弧が大きく広がり、糸の束がほどけたように離散していく様子が見えています。
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2024年3月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期を上回る活動になっていることがうかがえます。また第24周期はピークが2つある二子山のグラフとなりました。第25周期も黒点巣の上昇率は穏やかになり、1つ目のピークを迎えつつあるように推察されます。
→ 2024年の黒点相対数

3月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年3月は31日間のうち25日観測することができました。黒点相対数の月平均は86.17(北半球38.30、南半球47.87)で、 昨年の平均を大きく下回る数値となっています。月中旬に南半球に巨大な黒点群が出現しましたが、正面に来ている3日間の観測ができなかったため過小評価されていることに留意です。
新たに出現した活動領域はNOAA13597~13625の28群です。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。)
ムービー1は3月1日から31日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像23 枚をつなぎ合わせたものです。18日から30日まで南半球を通過する大きな黒点群はNOAA13615で、複雑に発達したβγδ型の黒点群です。22日の観測データでは1群36個で第25周期でも上位に入るまとまった黒点群です。

ムービー1.白色光で撮影した3月の太陽
23日分の連続画像。南北ともに平均的に黒点が出現、18日から30日にかけて南半球ではNOAA13615の巨大な黒点群が見られた。

フレアの発生状況は、Xクラス2回を含むMクラス以上が54回(前月比-1)で先月と同程度です。そのうちX1.1フレアを含む45回が前述したNOAA13615で発生しました。もう1回のXフレアは北半球のNOAA13614で23日01:33UTに発生した、X1.1フレアでしたが、この領域はCクラスフレアが時折起こるような活動度の高くない黒点群で、黒点分類もβ型と少し予想外ではありました。図1は「ひので」衛星のXRT撮像装置が撮影したX1.1フレア 直後の太陽全面像です。もともと活発だったNOAA13615も呼応するようにMクラスフレアの頻度が増大しています。

fig1_202403 図1.「ひので」衛星でX線で撮影した太陽の様子
X1.1フレア発生直後の03:29UTに撮影。北半球で光るNOAA13614、南半球で光るNOAA13615。

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2024年2月の太陽活動 バックナンバー

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 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期を上回る活動になっていることがうかがえます。また第24周期はピークが2つある二子山のグラフとなりましたが、いまのところ減少に転ずる傾向は見られません。
→ 2024年の黒点相対数

2月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年2月は閏年にあたるためひと月が29日あり、うち観測できたのは18日でした。黒点相対数の月平均は105.78(北半球45.39、南半球60.39)でした。南北差が出ていますが、後述する巨大な黒点群が北半球に見えていた時期に安定して観測ができたことも1つの要因です。
活動領域はNOAA13569~13596の28群が新たに出現しました。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。) ムービー1は2月1日から29日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像18枚をつなぎ合わせたものです。7日から南半球に見えている大きな黒点群はNOAA13576、20日から北半球に見えているものはNOAA13590です。どちらも複雑に発達したβγδ型の黒点群で、大規模フレアが頻繁に観測されました。
ムービー1.白色光で撮影した2月の太陽
18日分の連続画像。南北ともに平均的に黒点が出現、特に巨大な黒点が1つずつ見られた。

Mクラス以上のフレアが55回(前月比+24)発生、うちXフレアは5回、第25周期に入って最も多くXクラスフレアが観測された月となりました。最大は2月22日22:08UTにNOAA13590で観測されたX6.3フレアで、2006年(第23周期末期)のX6.5フレアに次ぐ大規模なフレアでした。さらに同領域では21日の22:52UTにX1.8、22日6:17UTにX1.7と短い期間にXフレアが発生するなど、非常に活発な様子が見られました。画像1は太陽観測衛星「ひので」X線観測装置で撮影したX6.5フレア直後の太陽全体の様子です。強烈に明るく輝く部分とループ構造が見えています。

fig1_202402
図1.「ひので」衛星でX線で撮影した太陽の様子
X6.5フレアが発生した22日22:52から数時間経過した後も、極めて活発な状態の続くNOAA13590

ムービー2.「ひので」衛星がX線で撮影した2月の太陽
色反転しているため、黒いほど明るく光っている。

国立天文台 太陽観測科学プロジェクト

2024年1月の太陽活動 バックナンバー

solar cycle

 黒点相対数の変動。緑線・青線・赤線はそれぞれ2018年1月以降の太陽全体・北半球・南半球の13カ月移動平均の黒点相対数で、最近半年分は同じ色の点で示しています。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 現在の第25周期の黒点数を以前の値と比べられるよう、極小(2019年12月、縦の点線)をそろえて過去の各周期の相対数(太陽全体)もプロットしました。灰色の実線が第24周期、点線がそれ以前の周期を表します。

 第25周期の活動度については、最近100年で最低となった第24周期よりさらに低くなるというものも含め、様々に予想されてきましたが、グラフを見ると、第24周期と同等もしくはそれを上回る活動になっていることがうかがえます。
→ 2024年の黒点相対数

1月の太陽:黒点望遠鏡 連続光・G-Band・CaK Hα線 赤外線偏光

2024年1月は第25周期の極大に向けていよいよ活動が活発化してきたことを感じさせる月となりました。 黒点相対数の月平均は105.21(北半球53.08、南半球52.12)でした。
活動領域はNOAA13537~13568の31群が新たに出現しました。※NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって太陽活動領域に番号がふられる。) ムービー1は1月1日から31日までフレア望遠鏡で撮影した白色光画像24枚をつなぎ合わせたもので、赤い四角は黒点群を示しています。単一黒点や微小な黒点群が目立つ中でも、東西に広がりを持つ発達した黒点群が見られるようになりました。 中でもNOAA13559は東西に長く黒点数が最大19(NOAA発表では32)となりました。


ムービー1.白色光で撮影した1月の太陽
24日分の連続画像。南北に絶えず黒点群が見ている。

Mクラス以上のフレアが31回発生しました。29日4時38分UTのM6.8フレアが最大で、南西リム近くにあった13559黒点群で発生し、大規模なCMEが見られたほか、フレア後期に見られるポストフレアループと呼ばれるループ状のプロミネンスがはっきりと観測されました。ムービー2はHα線で観測したフレアとポストフレアループの様子です。1000万度のフレアが彩層温度まで冷却することにより見られる現象で、冷えたプラズマが磁力線に沿って流れ落ちています。構造全体としてはループの足の間隔がだんだん広がり、より上昇していくように見えます。 ※それぞれのループが上昇しているのではなく、外側に熱いループが生まれ、内側は低温になり暗く見えなくなっています。 図1は、ほぼ同時刻に「ひので」衛星がX線撮像装置で撮影した太陽の様子です。Hα線で見るよりもさらに上空のコロナ域に生じた高温のループが見えており、極めて明るく光っていることが分かります。


図1.NOAA13559で発生したM6.6フレアとポストフレアループ
1月29日4時UTに太陽フレア望遠鏡で撮影。フレアが発生し明るく光った後、リムに向かってループが上昇していくように見える。

fig1_202401
図2.「ひので」衛星で撮影した太陽の様子
Hα線で見るよりも上空にループが形成されており、極めて明るく光っている。

過去の太陽活動 : 2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年