Melbourne (July 2007)

渡航先
Australia・Melbourne(Monash University)
目的
国際会議 "SOHO19/GONG2007 Seismology of Magnetic Activity"に出席、口頭発表するため。
日程
07 Jul 2007 - 14 Jul 2007

(以下文責:長島)


会議の概要

SOHOはSOlar and Heliospheric Observatoryという ESAとNASAの共同開発による太陽観測衛星で、1995年の打ち上げ以来、10年以上にわたって観測を続けています。 12の観測機器を搭載し、太陽の内部探索のための観測から太陽風のin situ 観測まで、 幅広い観測ターゲットを持っています。 一方、GONGとは、Global Oscillation Network Groupという、 地球上の6地点で連続的に太陽を観測するためのプログラムの名称で、 日震学 (helioseismology) の手法で太陽内部の構造やdynamicsを解析するための 観測を行っています。

SOHO19/GONG2007 というのは、SOHOに関する19回目の会議とGONGの2007年度の会議を 合同で行ったもので、"Seismology of Magnetic Activity"、すなわち 太陽の活動現象の日震学的な研究がテーマでした。 太陽の活動領域まわりでの振動現象に関して、 SOHOやGONGの成果にとどまらず、他の観測プロジェクトによる成果、 さらには最新鋭のシミュレーションによる成果まで報告・議論が行われました。

日本からは2006年に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」の 最新の成果について、私を含めて3人が口頭講演を行いました。 ひのでの高分解能の観測データとその成果は、 非常に反響の大きいトピックでした。

program
↑会議のプログラムの表紙

日本からの参加者は、国立天文台ひので科学プロジェクトから3人でした。 関井さんによるひので衛星搭載のSOTでの日震学的研究の現状の紹介、 また勝川さんによるSOTでの微細構造の観測の紹介が行われました。 どちらも招待講演で、非常に注目を集めていました。

私(長島)自身の口頭講演は"Distribution of Acoustic Power in NOAA AR 10935 Seen by Hinode/SOT"と題したもので、 ひのでのSOTで観測した「黒点の振動」について報告を行いました。 講演時の聴衆の反応もよく、 質疑応答の際には、こういう可能性はないのか、と新たな解釈の提案が出るなど活発な議論を交わすことができ、 たどたどしい英語になってしまったという準備不足を反省する一方で、 まずまずの発表ができたという手ごたえを得ることができました。


↑会場(休み時間)

↑会場の入っているビル(中央)

会場はMonash University のconference centre でしたが、 市街地の高層ビルの一角にあり、いわゆる大学のキャンパスの中、という 雰囲気ではありませんでした。 数十名規模の講演会場とポスター会場の小部屋で構成されており、 参加者は60名程度でした。 国際会議としては比較的こじんまりしたものだと思いますが、 質疑応答も活発で、また参加者全体を把握することもできる規模であるため、 アットホームな雰囲気でよかったと思います。


Medley Hall

宿泊場所

今回の宿泊先は、 The University of Melbourne の 学生寮のMedley Hall でした。 どうやら冬休み期間の空き部屋を斡旋してくださったようです。 左の写真はその外観ですが、初めにたどり着いた時には、これが学生寮とはとても思えませんでした。 宿泊室自体は特に意外な光景ではありませんでしが、 建物の中には、暖炉のあるcommon roomや 長い机の並んだ食堂などがあり、Harry Potterの世界を思い浮かべてしまうくらい、 気分は「イギリス」でした。


その他

梅雨の蒸し暑い日本から乾燥した真冬のメルボルンへの旅、ということで、 温度・湿度差にはなかなか慣れませんでしたが、 真冬とはいっても降雪があるほどではなく、比較的過ごしやすい気候でした。 ただし天気は変わりやすく、時折強い雨が降ることもありましたが、通り雨でした。

美しいイギリス風の街並みに加え、トラム(路面電車)の交通網の発達した便利さ、 治安の良さなど、メルボルンが「世界で最も暮らしやすい都市」に選ばれるのにも 納得がいきました。

個人的には、太陽が北側で「南中」することや、天頂付近まで上った 蠍座や木星、また南十字星も見ることができたことが とても印象的でした。

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↑会場付近の市街地の光景:
トラム(左)と教会(右奥)

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